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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

金沢文庫『愛された金沢八景』、横須賀美術館、夜のかねよ食堂

日記

日曜日、昼過ぎから出掛けて京急金沢文庫駅まで。歩いて神奈川県立金沢文庫

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金沢文庫『愛された金沢八景―楠山永雄コレクションの全貌―』を見る。

神奈川県立金沢文庫 展示案内

楠山永雄氏は、大阪のある店での、江戸時代の金沢八景絵地図との出会いの驚きを発端に、関連する浮世絵、絵地図、古文書などを集めた人。そして観光周遊地である金沢八景に注目したところから、京浜急行の案内図や絵葉書、記念切符など、数千点のコレクションを行う。今回、その資料がすべて寄贈されたを記念した展覧会となっている。

楠山永雄さんの凄いところは、たとえば金沢八景が中国の西湖の見立てと知ると西湖の絵地図まで集めたり、金沢区長浜の検疫所で野口英世ペスト菌を食い止めたことを知ると野口英世関係の資料を集めたり、京急への興味から、観光案内図から能見台の住宅地分譲案内から手を出したり、関連するものにどんどん興味対象を拡げて、ひたすらなんでも集めてしまうコレクター魂。

今回の展覧会はそうして集めた資料がところ狭しと並べられており、個人コレクションの面白さという意味でも必見だし、とにかく、横浜、金沢八景京急に興味のある人には必見の内容と思う。

今回の展覧会『愛された金沢八景』の図録と、楠山永雄コレクションの図録が、セット割引で合わせて1900円で売られている。欲を言えば金沢八景周辺の寺社が刷って配った絵地図など、もっとしっかり読めるくらいの大きさにして欲しかったけど、とにかく展示物の写真を詰め詰めに詰め込みまくった充実した内容で良い。

落語の大山参りでも、お山の帰りに金沢八景にまわって見物する、そして舟に乗るという話が出てくるから、江戸時代から有名観光地だったんですよね、金沢八景。あと興味深かったのは、大正以降、軍機保護法と要塞地帯法によって金沢八景周辺も規制がかけられて、地図や絵葉書の発行が許可制になって、構図などの多様性が減って類型的になって、面白くなくなった、という話。

要塞地帯法について、こんな記事があった。とても面白い

http://www2.ttcn.ne.jp/heikiseikatsu/seikatsu/haiku_yousai.html

広重の浮世絵が要塞地帯法に引っかかって憲兵隊に摘発された話とか、ばかばかしいなあ、と。

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展覧会を見た後、称名寺から金沢八景の駅までぶらぶら歩く。絵地図に現れる寺社の多さに改めて気づいたり

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金沢八景駅近くの瀬戸神社や琵琶島弁財天に面影を感じたり

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浜辺の千代本楼から船遊びに繰り出したのかな、とか思いを馳せたり、展示内容と実際の地誌が連動して楽しかった。このお散歩を含めて展覧会に行くことをオススメしたい。

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シーサイドラインの駅直結工事が行われている金沢八景駅からまた京急に乗り、堀の内乗換えで馬堀海岸まで。駅前の道が狭いのでタクシーの待機列が難儀そうだなー、というのを眺めつつ、少し遅れているバスを待って、観音崎に向かう。で、久しぶりの横須賀美術館

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展覧会:横須賀美術館

中村光哉展』を見る。友禅の人間国宝の息子として産まれ、若い頃には蝋染めをやっていたけれど、後に友禅をやるようになった人。横須賀にずっと住んでいて、ゆかりのある人物とのことです。

深い黒と遊園地などのモチーフが印象的な初期の蝋染めもなかなか面白いけれど、横須賀の漁港でスケッチした、漁船や漁具などをモチーフにした友禅がとても素敵だった。とくに一面に漁船を配したものは、デフォルメの具合、色の使い方、とても面白いデザインで、暖簾にして欲しいなあ、と。日展作家で、友禅といっても着物はあまり作らず、壁に飾るようなタイプの作品がメインだったんですね。お父さん作の着物もいくつか展示されており、これもなかなか。

ところで、日展で漁具というと、洋画のモチーフに漁具多すぎ問題が思い浮かぶわけでして 

これは何か関係あるんでしょうか。無いかな。無いな。

そして、横須賀美術館のコレクション展も見る。実のところ、ここのコレクション展、以前はあまり印象良く無かった。名のある作家のイマイチな作品ばかり無定見に並べた感じで。しかし、今回見て前言撤回、地元に密着した内容や特集展示を厚くしていて、以前よりかなり良くなってる。今回、五島三子男や若林砂絵子の特集展示はなかなか良いものだった。

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見終えると時間は5時半、そろそろ夕暮れも近づいてきていて、いつもは昼間に自転車で来て去ってしまうので、この時間にここにいるのははじめてだな。美術館の売り物である風景は勿論素晴らしい。

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夕暮れの美術館をあとにして

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さて、もうよい時間なので、ばんごはんにしましょう。バスにちょっとだけ乗って、シンとした漁港を通り抜けて、こんな先に人がいるのかしら…と不安になりながらたどり着けば、まだ寒い日曜日の夜にけっこうな数のお客さんがいたのです、かねよ食堂。

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昼間は何度か行っているけれど 

夜ははじめて。若い人の仲間内とか、ご夫婦とか、子供さん連れとか、なかなかの賑わい。そして雰囲気がとても良い。これからの季節は混むのだろうなあ。予約したほうがいいでしょうね。(この写真は帰り際に撮ったのであまり人がいません)

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かねよ食堂のオーナーは漁師?とのことで、マグロと金目鯛以外の魚は自給自足してるらしい。この日は前菜盛り合わせのメカブのハニーマスタード、ワカメと蛸のサラダ

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パクチー山盛りのピザや、野菜たっぷりのマグロのグリルなど

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地の食材たっぷりで美味しかったですけれど、他にもお魚、いただきたいです。

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満腹になってお店を出て、食堂の目の前は海なので、しばし海を眺めて。

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もう少し暖かくなると最高ですね。店も混むんだろうけど 。

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かねよ食堂から馬堀海岸までは、バスを目の前で逃してしまったので歩いた。途中でヴェルニーの水に寄ったり、海岸通りの遊歩道から夜の海を見たり、30分ほどの散歩もまた楽し。

馬堀海岸の手前で海から住宅街に入り込むと、静かな住宅街の特定の角を、客を乗せないタクシーが次々に曲がって行っており。なんだろうと思いつつ駅前までやってくると、防衛大学の学生さんが大勢、タクシーに相乗りしてどんどん出発していた。駅前にタクシーの待機場所があまり無いから、客待ちのタクシーがぐるぐる廻ってたんですね。

そして防衛大学の寮は、日曜日のこの時間が門限前ということなんでしょう、遊びに行って帰ってきた学生さんが次々にタクシーを捕まえているので、ぐるぐる廻っていてもお客にあぶれることはないのでしょうね。門限は何時なのかな。

堀の内で乗り換えて、途中の横須賀中央でも反対側の電車に大勢の防衛大学校の学生をみつつ、帰宅したのでした。また、もう少し暖かくなったら、自転車できましょう。

在華坊(@zaikabou)/2017年03月12日 - Twilog