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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

必見の展覧会、京都国立博物館『海北友松』と、大阪市立美術館『木×仏像』

京都のカプセルホテルでおはようございます。

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7時過ぎに出発。京都国立博物館は9時半からなので、それまでぶらぶらお散歩しましょう。まずは清水寺を目指したけれど、清水寺自体はこのあいだ行ったばかりだし

三寧坂に人がいないな、と、そちらに歩き出す

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昼間は人でごったかえして、最近はあまり散歩もしたくないようなところだけれど、朝はとにかく人がいなくて素晴らしい。これなら散策したくなる

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途中、前田珈琲高台寺店であさごはん

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さらに、高台寺あたりをぶらぶらしていた

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お散歩は朝に限りますな。8時をまわると、ぼちぼち人が出てきて、8時半くらいには清水寺に向かう修学旅行生も

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こちらは人を避けて、大谷本廟の墓地のほうから山を下りて

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京都国立博物館へ。9時半開館なのに9時に着いてしまい、どうしよう…と思っていたら、なんと、この時点で数十人並んでいる

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9時15分に門が開いて、平成知新館の前に並んだわけですが

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9時半の時点では、300人以上並んでおりました。この次の日曜日に日曜美術館で特集されたので、さらに混んできそうです。

さて、展覧会である。

京都国立博物館『海北友松』後年まで、あれを見たかと語り継がれるであろうエポックメイキングな展覧会になるのは間違いない。海北友松の凄さ素晴らしさが全部わかる。最後の最後まで驚かされ続ける構成もパーフェクト、見ないと絶対に後悔するでしょう、これは。とにかくまずは京都に駆けつけるて欲しい!

狩野派の絵師として60まであまり名前も出ずに過ごし、狩野派のそれであった海北友松の才能が独立後に一気に花開くカタルシスがすごい。このあたりの解説は導入部で詳しくされているのだが、以前の講演会で、京都国立博物館の山本学芸部長と、橋本麻里さんとお話を聞いたのも、理解に役立った

導入部の最後に「比較用」に狩野永徳の国宝琴棋書画図襖があり、というか、比較用に国宝がポンとおいてあるのが凄いのだが、これを見て永徳がまさに技法とマネジメントの人であるとわかり、そして、海北友松はセンスの人なのだ、というのが階を下るとわかる。

第三章、花鳥図襖の近代絵画のような花、唐人物図襖の自由なようでまったく破綻の無い線、松竹梅図襖の一気呵成な線の迫力と躍動感、おぉっ、と驚くその飛躍、エッセンスがそこに詰まっている。そしてそれに続き、建仁寺大方丈障壁画の壮大なスケール感の雲龍図が、どーん!と目の前に。すごい。

建仁寺大方丈障壁画は、雲龍図だけでなく、竹林七賢図の衣服の線や、没骨法で描かれた山水画の空気感や、琴棋書画図の柔らかさや、魅力が詰まっており、さらに続く作品で、自由で洒脱な友松のセンスがどんどん溢れてくる様子がわかる。何十年の狩野派修行の技術に裏打ちされた、時代を先取りしたセンス。

没骨法の黒馬と一筆書の白馬の対照の面白さ、浜松図屏風の江戸時代の浮世絵の大胆な構図を先取りしたような視点、花卉図屏風の生命力が溢れかえって圧倒されるような牡丹。…ほんとに室町から江戸初期の人だったの?という驚きの連続なんですよ、海北友松は。

で、そろそろ展示も終盤…と一息つきたい所に…暗い空間に、スポットライトに照らされて並ぶ雲龍図!キャプションも別置にして作品だけが浮かび上がる空間、やりやがったな、という展示であるとともに、終盤のあそこにもってくる展覧会の構成もすごい。最後までまったく油断することができない。その後に並ぶ洒脱な絵もかわいい…。

最後の部屋は、米国ネルソン・アトキンズ美術館の月下渓流図屏風、60年ぶりの初帰国。長谷川等伯の松林図屏風と並び称してよい、まったく引けをとらない、渓流の朝の空気感を描き切った水墨画で幕を閉じる。この部屋も幸せな空間で、そこだけでもずっといたくなるのだった。

とにかく素晴らしい展覧会で、空いているに越したことはないので、金土の夜間開館を狙って行きましょう。新発見もたくさんある。海北友松人気はあれから始まったと言われるだろう展覧会になると思います。京都でこんなに興奮したのは、2013年No.1の『狩野山楽・山雪』以来です。

建仁寺大方丈障壁画や月下渓流図屏風など、メインの作品を除いてかなり入れ替えがあるので、また後期も来ようかな。そして、建仁寺にも行ったほうが良さそう。レプリカだけど、お寺の環境で障壁画も見てみたい。

すっかり興奮して、図録も買って出て来てみれば、目に入るのはこの看板。

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今回の特別展もすごいし、次回も空前絶後の国宝展である。大変です…。しかしそれにしても、この素晴らしいパスポートはもう買えないのであるなあ

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七条駅に向かい、京阪に飛び乗り、淀屋橋乗り換えの天王寺。お次はこちらへ

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大阪市立美術館『木×仏像 日本木彫仏1000年』は、一級品を見ながら学ぶ日本の木彫仏、という様相。飛鳥仏から時代毎に円空まで木彫仏の変遷を辿り、すべての仏像が間近に360°眺められる、木材見本や構造解説まである、勉強になって非常に充実した展覧会だった。

宝誌和尚立像の背中に謎の穴が空いていたり、正面から見ると似たように見えても反り返っていたり前かがみになっていたり、かなり前傾姿勢の仏像があったり、内刳りの中の削り方はこうなっているのかとか、塑像仏の芯の木とか、木の由来、伐採地の由来、あまり注目していなかったことにとても学びが多い。

宝誌和尚立像を地蔵菩薩立像が囲む様子や、最後の部屋の大きな仏像が林立する様子や、とにかく木彫仏だらけの展示風景も見応えあり。あまり時間がなかったので駆け足気味になったけど、じっくり比較しながら、やはり1時間半くらいは欲しい内容だろうかと思ったのです。

大阪市立美術館は、2階のコレクション展も相変わらずの充実ぶり。ここのコレクションの素晴らしさは何度でもうったえたい

『木×仏像』展に併せて、『木×美術』のコーナーでは福田平八郎に小野竹喬に徳岡神泉、関西らしい絵画に、カザールコレクションの工芸も素敵。写経も地味な感じですけど、重文がずらずら並んでいて、ほんとに油断できない、この美術館。

『新蔵人物語絵巻』は、女性に生まれながら男装して参内して、帝との間に子をもうけて、男装のまま出家する様子が、「素人女」(解説ママ)が描いたような白描画、あのセリフ付きのほとんど漫画で描かれていて、室町時代の同人BLコミックか!という感じです。これは必見。この本、面白そうだから読んでみようかな

室町時代の少女革命: 『新蔵人(しんくろうど)』絵巻の世界

室町時代の少女革命: 『新蔵人(しんくろうど)』絵巻の世界

 

 絵巻物撰のコーナーでは、他に、長谷寺縁起が、ヘタウマっぽいけど力強い筆致で仏像を彫り出す様子が描かれていて面白いし。とにかく、大阪市立美術館に行ったら、特別展はもちろんのこと、コレクション展も見ないと勿体無いのでした。

美術館を出て、駆け足で。猫の看板がかわいい『てんしば』を駆け抜けて

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ピクニックの背景がラブホテルなんですけどね

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あべの橋からバスに乗って、20分ちょっとで伊丹空港。羽田へ向かい、京急で日の出町。一旦帰宅して荷物を置いて着替えて、またお出かけ。横浜美術館へ。『ファッションとアート』展に行ったんですが、その件はまた項目を改めましょう。

その後、いつもの馬車道の五味香で、台湾ビール飲んだりしていたのでした

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今日はたいへん、充実したいちにちでした…

在華坊(@zaikabou)/2017年04月22日 - Twilog