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日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題、さいごに

日本人の観光旅行先として中国本土が人気がないのはなぜか、中国は外国人観光客フレンドリーではない、という話をしてきました 

しかし、以下のデータを見ていただきたいのですが

世界観光ランキング - Wikipedia

 このデータによれば、中国は2017年は6074万人が訪れ、フランス・スペイン・アメリカに次ぐ、世界第4位の観光大国なんですね

そして日本人も中国に行かないのか?といえば、2017年のデータでは、海外渡航先TO10を見てみると

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/20190521.pdf

1.アメリカ 3,595,607(ハワイ 1,587,781) 

2.中国 2,680,033

3.韓国 2,311,447

4.台湾 1,898,854

5.タイ 1,544,442

6.シンガポール 846,440

7.香港 813,207

8.ベトナム 798,119

9.グアム 620,547

10.ドイツ 584,871 

 日本人、中国に行ってるではないか!そして海外旅行先として中国は大人気ではないか!これまでの話の前提が崩れるぞ!

…いや、まてしばし。この数字がどういう性格のものなのか、もう少し見ていく必要がありそうです。

 

1.中国の6074万人の内訳は?

最新のデータを見つけられなかったため、2015年のデータで比較します。以下のリンク先を見てください

https://t.co/Ybx78hf9fp

この資料の68ページによれば、2015年のインバウンド延べ宿泊観光客数(万人泊)は5688.57万人。世界観光ランキングの2015年の数字と一致しています。

一方で、62ページによれば、2015年のインバウンド観光客数合計は13382.04万人、そのうち外国人は2598.54万人、香港・マカオ・台湾は10783.50万人。

後者のインバウンド観光客数には宿泊しない人数も含まれます。地続きの場所以外からはほぼ宿泊ありと想像されますので、外国人はおおむね宿泊していると想定します。

また、台湾からの中国への訪問者数は、以下の資料によれば2015年で5,498,600人

https://www.jnto.go.jp/jpn/inbound_market/market_basic_taiwan.pdf

中国における国別訪中者数については、2015年については1月から8月のデータを見つけることができました。下記のデータはひと月当たり200万人程度ですので、この年間合計が、上記の2598.54万人に相当すると考えられます。

|中国国家観光局 駐大阪代表処

9~12月のデータがありませんが、1~8月の合計の比率と同等と考えると、以下のような年間内訳になります

1.韓国 451.8
2.日本 254.1
3.ベトナム 215.2
4.アメリカ 213.5
5.ロシア 150.5
6.モンゴル 104.9
7.フィリピン 100.3
8.マレーシア 98.4
9.シンガポール 86.5
10.インド 73.9
11.カナダ 68.2
12.ドイツ 63.6
13.タイ 61.9
14.オーストラリア 61.4
15.イギリス 59.7 

 以上から、2015年の中国のインバウンドの内訳をみてみると、ざっくり

5700万人のうち、香港マカオの合計が2550万(45%)。台湾550万(10%)、韓国450万(8%)、日本250万(4.5%)、ベトナムアメリカは各200万、ロシア150万、モンゴル・フィリピン・マレーシア・シンガポール各100万、というあたりになるかと思います。2017年でも比率的にはあまり変わらないのではと思われます。

もちろん、観光客が多いことには違いが無いのですが、世界4位の観光大国、という話からは少し印象が変わってくるかと思います。

ただ、世界観光ランキングを見ると、欧州や北米で陸続きに人が往来していることを考えると、中国だけをどういう言えるわけではないとは思うわけですが…(その意味で、わざわざ飛行機なり船なりで日本とか韓国とかに大勢来るってすごいよな)

 

2.日本からの268万人の内訳は?

さんざん、日本人の海外旅行先として中国メインランドが人気がないという話をしておいて、海外渡航者数ではNo.2である、という話。ではこの内訳は?という話になります。

ここで注意しないといけないのは、渡航者268万人というのは、全員が遊びに行くわけではない。次のデータを見てください。2015年のデータですが

「中国訪問の日本人」が訪日中国人の半分以下に、商用も観光も減少 韓国人の訪中はさらに活発化=2015年統計 (2016年1月20日) - エキサイトニュース

中国政府・国家観光局(国家旅遊局)によると、2015年通年で中国を訪れた日本人は前年比8.1%減の249万7700人(中略)韓国人の訪中は全体で前年比6.3%増の444万4400人

(中略) 商用で中国を訪れた日本人は前年比6.9%減の77万8100人、観光目的の訪中は11.8%減の39万2800人(中略)商用で中国を訪れた韓国人は前年比6.2%増の110万5800人、観光目的の訪中は9.1%増の202万2400人

(中略)親戚・友人訪問を目的として中国に入国した日本人は前年比15.1%増の5万3500人、韓国人は41.7%増の3万4300人

 日本から249.8万、韓国から444.4万という数字は、上のほうで年間推計した「日本から254.1万、韓国から451.8万」とほぼ合致します。ですので、数字の意味は同じと考えてよさそう。

そして、日本からの訪中者のうち、観光はわずかに15%ほどなのですね。韓国の場合は45%が観光客なのと比べても極端に比率が低い。

中国に行くとよく「韓国人?」と聞かれるんだけど、日本人観光客が40万人、韓国人観光客が200万人なら、そりゃ、韓国人?と聞かれるはずだわ

さて、上記の数字、商用でも観光でも親戚・友人訪問でもない日本人が127万人くらい訪中していることになり、これは何?となるのですが、ここでもう一つデータ。

中国の在留邦人数 平成30年(2018年)要約版 - 広州とほほ日記

中国の在留邦人は年々減少気味ですが、それでも13万人ほど。日中間は近いので、駐在員やその家族などは年に複数回は往来していると思われますので、127万人のうち、かなりの割合が在留邦人と想定されます。

ちなみに、アメリカの駐留邦人は40万人以上。日本人の海外渡航先としてアメリカ本土が多いのは、商用や駐留邦人の往来がかなりの割合を占めているんでしょうね…

さらにちなみに、日本に来る外国人における、商用、観光の比率は発表されていて、たとえば2017年の場合

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/tourists_2017df.pdf

アジアからのインバウンドは90%が観光客、欧州は75%、アメリカは80%。地域によって差はありますが、それでも訪中日本人の15%という数字はかなり特異だと思います。

ちなみに、訪中日本人は2011年ごろは400万人にせまる勢いだったんですよね…その後減少し、再度回復傾向、というのが現状です。

【図解】日本人出国者数2017、韓国・台湾・香港への過去10年間をグラフで比較してみた | トラベルボイス

いずれにしても、韓国・台湾・香港にビジネスで渡航する人がどの程度いるかの資料が無いと比較はできませんが、訪中日本人は観光以外が極端に多いために、訪中者合計数と観光客数は乖離している、と言えそうです。

 

3.日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題、さいごに

さて、これまで書いてきたことの続きとして、中国に観光によく行く人の、中国への観光が厳しいという意見をいくつか紹介しておこうと思います。

 

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 mounungyeuk.hatenadiary.jp

 

このあたりの指摘についてはまったくその通りなんですよね…。先日北京から上海に移動した際も、事前にチケットをネット予約していても、チケット売り場でパスポートチェックと荷物検査と身体検査、駅入口でパスポートとチケットの確認と荷物検査と身体検査、そしてその後も、改札でチケット確認、列車入口でパスポートとチケット確認、どんだけ厳重なのか…。 

zaikabou.hatenablog.com

しかし、こういうことを言ってる人たちが、散々、中国大陸に通うような魅力が、また、あるんですよね。中国の旅はエネルギーが無いとつらい。人民の熱気に当てられ、揉まれ、自分もエネルギーを出し切っていかないと移動もできない感じ。しかし、それがなんだか癖になってしまう。なんかこういう言い方すると、中国に行く人がいかにもオタク的である、というのが実感できてきますが… 

中国に関しては、政府の胸先三寸でこの先本当に「気軽に観光に行くにはお勧めできない国」になる可能性も十分あり得るとは思っており、だからこそ21世紀の覇権国家を今見ておいた方が良いとも思ってる。もし、本当にそういう事態になったら、詳しい中国ウォッチャーの人達が真っ先に警鐘を鳴らしてくれるはずです

逆に、もちろん、インバウンド大歓迎な観光大国になる可能性も十分にあると思います。いずれにしても変化の早さがすごいので、もっと昔に行っておきたかったと思ってるし、今を見ておきたい、とも思うわけです。いずれにしろ中国が21世紀の超大国であることは間違いないわけですから

G20でビザ無しで中国に行けるのは日本だけです。黄昏国家日本ですが、過去の資産で世界最強の威力を誇るパスポートがある。今後の世界経済に占める日本の位置や、昨今の米中対立や、民族主義の台頭や、不法移民問題を見ていると、この立場がこれより良くなる未来はあまり見えない。海外行くなら今ですよ、と思うのです。