日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

最終日に駆け足で巡るあいちトリエンナーレ2019

芸術監督が津田大介氏になったときから、え、大丈夫?と思っていたあいちトリエンナーレ2019。え?大丈夫?と思ったのの数倍の勢いで大変なことになってしまい、行くタイミングを計りかねているうちに会期終盤。『表現の不自由展・その後』の展示再開とともに、抗議で閉鎖していた多くの作品も再開されたのが10月8日。会期終わりまで1週間も無い。

そして最終週の3連休初日は台風直撃。過去3回とも皆勤賞だったのに、これはいけないかなー、と思っていたのだけれど

 

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妻氏が持ち帰ったパンフレットでよい切符があることを知る

JHT 愛知■日帰り1day豊橋・蒲郡・岡崎・安城・三河安城|ツアー|JR東海ツアーズ

JR東海ツアーズの『日帰り1day 豊橋蒲郡・岡崎・安城三河安城』なんと、新横浜から豊橋まで、往復11,300円で新幹線往復できるではありませんか。しかも自由席も選択できるので、ぷらっとこだまみたいに発売数の制限も無さげだし、乗り逃がしても後続の新幹線に乗れるし、乗車日によって高くなることも無いし、良いことずくめ。しかも今回、あいちトリエンナーレ豊田市にも行くから、豊橋からでも名古屋からでもそれほど利便性が変らない。

これはあいちトリエンナーレに行くためにある切符ですね!というわけで、金曜日の夜に、14日の月曜日祝日の切符を、台風直撃で東海道新幹線が運休になる前に大阪に向かう人たちでごった返す新横浜駅の、JR東海ツアーズの窓口で購入した、というわけ。

この日は朝5時起床。6時前に家を出て、新横浜から6時46分のひかりに乗る

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 1時間ちょっとで豊橋駅に着き、そこからは名鉄特急に乗り換え。知立でまた乗り換えて、豊田市駅に着いたのが9時18分。

本当は、今回の展覧会No.1と言われていて、人が並ぶらしい、ホー・ツェーニンの作品がある喜楽亭に最初に行こうと思ったのだけれど…。駅ではチケットが買えず、豊田市美術館に先に向かうことにした

で、例のプールである。

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高峰格の作品は、学校のプールの底を引っぺがして立てたもの。とにかく物質の存在感がすごい。風景の異化効果。しばし立ちすくんでしまった

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 豊田市美術館にすぐ脇にある作品から、美術館に着いたのは10時10分前。まだ開館前かと思ったら、今日は9時30分にオープンしていたみたい。そして、同時開催中のクリムト展に入る人たちで、チケット売り場が大行列していたのだった

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そんな豊田市美術館、タリン・サイモンによる、アメリカ各地の隠された場所の写真が異彩を放っている。そして、レニノール・レイバ・ノボのモニュメントの存在感

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この作品は、『表現の不自由展・その後』の展示閉鎖後、閉鎖に抗議してクローズされており、10月8日に再開されたばかりのもの。ここ以外にも至る所に、ステートメントや意思表明が貼りだされていた

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スタジオ・ドリフトの浮遊するオブジェは、花のような、スカートのようは、ふわっと舞い降りてくる様を下から眺めているのが楽しい

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高嶺格の「例のプール」含めて、物質の存在感が印象強い展示が多かった。美術館を出て、喜楽亭へ。ホー・ツーニェンの作品を見たかったんだけれど…

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ものすごい行列が出てきていて、断念。どうやら2時間以上の待ち時間であるらしい。いつか、どこかで見る機会が出来ればいいな、と思いつつ。

本来であれば、もっと早く来ていれば!という話なんだけど、今回、表現の不自由展・その後を含めて、展示を完全に見られたのが、開幕から3日間と、最後の7日間(しかも、そのうち1日は台風でクローズ)だけだったのだよ。だから、もう、開幕日に来れば!くらいの話になってしまい、厳しい

駅に戻り、小田原のどかの長崎への原爆投下などに関する作品も見て、さて、お昼時。豊田市駅前のビルで、スガキヤの特製ラーメンとソフトクリーム。横浜市民的には、スガキヤのラーメンは、今は無きユニーの思い出なのよ…

豊田市駅から名鉄、直通して名古屋市営地下鉄に乗って小一時間熟睡していれば、大須観音前。名古屋市美術館

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アフリカ国旗のごみ箱がなかなか不穏だ。ここでは、藤井光が印象的

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戦前に台南に作られた「国民道場」における、若者の精神修養の様子を映し出すフィルム。それに合わせて、同じことを現代の若者にパフォーマンスさせる映像が、ズンと重い。どこか遠い世界の白黒のフィルムの中が、現実感を伴って迫ってくる

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モニカ・メイヤーの、ジェンダー不平等を告発する作品は読み込んでしまう。これも会期最終盤に、やっと再開されたものでしたね

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この作品のすぐ隣に、楽しい焼き物がずらっと並んでいるのは意外だった。青木美紅の羊のドリーをめぐる物語も印象的

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しかし、パスカレハンドロの作品、あれ、絶対、怪しいアカンヤツなセミナーじゃないですか?そういうのを告発する作品かと思ったら、あのセラピー自体が作品なの?作品に対してどういう距離感とればいいかよくわかんない…

名古屋市美術館を出たのが14時過ぎ。早足で愛知芸術文化センターに向かう。建物の前で、津田大介のコスプレをした人から謎の塗り絵と祝儀袋を貰う。なんだこれは

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 そして、建物の前では、表現の不自由展・その後の再開に抗議する活動家と、カウンターの活動家が絶賛やってる最中だった

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 で、ここから建物の中に入り、表現の不自由展・その後の抽選に並ぶわけだけれど、15倍の倍率なのに当選して見てしまった話はこちらで… 

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 正直、話のネタとしては見てよかった…なのだが、作品の質とかから言えば、閉館までの限られた時間、もっと他の作品をしっかり見たかった…という思いも強く

とにかく愛知芸術文化センターは、ボリュームが多く、映像が多く、かなり消化不良気味…。田中功起、永田康祐、イヌ・ミヌク、CIR、キャンディス・ブレイツなど、じっくり取り組めば面白そうな作品を、かなり雑に見てしまったことは心残りとなる。とくにイヌ・ミヌク

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そんな中、タニア・ブルゲラの、強制的な感情喚起装置が、現代美術の価値とは…という感じで衝撃的。ハッカ臭が充満した空間が強烈

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袁廣鳴の人のいない台北

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ウーゴ・ロンディノーネのピエロ

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そして、クラウディア・マルティネス・ガライ、あたりが印象に残っている

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18時の会期終了時間まで、頑張ってまわっていたら、途中で愛知県知事の大村さんが現れ、あちこち見ていた

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そして18時、最後のお見送りをする芸術監督と、実行委員長。お疲れ様でした

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しかし、まだあいちトリエンナーレは終わらない。四間道・円頓寺は、20時までやってますからね。

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四間道・円頓寺は、名古屋にこんな場所があったのか!という驚きで、ここを会場にした価値は存分にあったなあ、と。伊藤家住宅はフィナーレ直前で混んでたけど。生々しい商家の空間を使ったインスタレーションとても良かったし

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葛宇路は標識も映像も展示物も、見せ方がよく出来てて面白かった

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そろそろ時間切れ、円頓寺商店街では大村知事が胴上げされていたり、別の作品でもひょっこり現れたり、今日だけで何度も知事とすれ違ったぞ。名古屋駅に向かい、松坂屋の地下で飯を確保し、東海道線の20時13分の新快速で豊橋へ。

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 豊橋からは新横浜に直通で帰れる便がすでに無く、静岡までこだま、そこからひかりに乗り換えて、なんとか日が変る前に帰宅できたのだった。

疲れたけれど、ともかくも、この祭りに参加できてよかった、という気持ち。明日からまた仕事ですが、頑張りましょう…

在華坊(@zaikabou)/2019年10月14日 - Twilog