日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

石狩上川の旅1日目 コロナ禍の札幌で観光について考える

夏休みはどこに行くか…ということになり、JALの「どこかにマイル」でどこかに行こうか、という話になった。6000マイルで、選択肢として提示される4か所の中から、JALが決めた場所までの往復航空券が貰えるサービスである。妻がコツコツためていたマイルが6000マイルに届いており、かつ、有効期限切れ間近のものもあったので。

普通、こんなお盆のど真ん中は適用外になるかすぐにチケットが無くなってしまうのだが、状況が状況のため、4択の中に「那覇」「石垣」あたりがゴロゴロでてくる。普通なら沖縄に行ける!と喜ぶところだが、今の沖縄の医療状況などから、沖縄はまずかろう、という話になる。旅程を検討している7月末の段階では沖縄の緊急事態宣言はまだ出ていなかったのだが、いずれにしても沖縄にしなくてよかった。

結局、何度かガチャを回した結果「新千歳」「出雲」「広島」「山口宇部」の4択ならどこでも面白くできそうだ、ということになり、この4つで7月29日に申し込んだところ、翌7月30日には、新千歳行が決定したのだった。

朝の6時半に家を出発、羽田空港のhitoshinayaであさごはん。ここのお粥は朝にぴったり

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8:20の便は空いているA350の居心地の良い機体。

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新千歳に向かい、エアポート快速で札幌駅へ。

とりあえず、今日のお宿に荷物を預ける。札幌駅直上、JRタワーホテル日航札幌。まともに予約すると朝食付きで2人で36000円なのだが、今回はここにいろいろ特典が付く。まず、札幌市が観光振興で「さあ!サッポロ夏割」という企画を行っており、1人あたり6000円以上の宿だと、5000円の補助金が出る。ホテルの公式サイトからこれが適用されるプランで予約し、26000円になる。

その上で。GoToTravelキャンペーンについては、旅行代理店(楽天トラベルなどのサイトを含む)から予約するか、申請をした宿泊施設を直接予約するか、2つの方法があるのだが、後者の場合でも、還元のされ方は2通りある。

すなわち、ホテル側がGoToTravel適用プランを用意している場合は、深く考えずにそれを予約すればよい。はじめから支払う金額は、35%OFFの金額となる。

もう一つ、まだホテル側で適用プランを用意できていない場合は、とりあえず正規料金を支払った後、あとから個人で事務局に申請して、事後還付を受ける方法がある。私が予約した8月3日の段階では、JRタワーホテル日航札幌はGoToTravelキャンペーン申請中の段階だったので、まだ適用プランが用意されていなかった。なので、とにかくまずは宿泊料金を支払い、ホテルから証明書を受け取って、自分で還付を受ける選択肢とした。

https://goto.jata-net.or.jp/

これで26000円の35%引きで、16900円になるのだ。あとから9100円が返ってくるはず。

なお、この証明書については後からひと騒動あった。

端的に言うと、ホテルから「宿泊証明書」はチェックアウト時に受け取ったのだが、これとは別に「支払内訳書」が必要で、予約した8月3日の段階では、公式サイトが使っている事前決済の収受代行サービス「JTB Book&Pay」からもらってくれ、という通知をホテルから受けていた。実際問題、領収書は金銭を直接受け取ったところでしか発行できないので、領収書は「JTB Book&Pay」で、というのは正しい。

しかし実は、その収受代行サービスの「JTB Book&Pay」が発行する領収書では、支払内訳書としては使えない、という話なのだ。これは実は、8月7日の段階で「JTB Book&Pay」のほうからその旨のメールが来ていた。しかしホテル側は「JTB Book&Pay」で発行する領収書が使える認識だったようだ。8月6日にメールで念押しの確認をしたときも、ホテル側からは、GoToTravelの申請に使う領収書は「JTB Book&Pay」からもらってほしい、という回答だった。

実際、当初は「領収書」で良い、という話だったらしい。クオカード付きプランだとどうなるのかとか、怪しげな話が出てきたので、総額だけの領収書ではなく、内訳をちゃんと出せ、という話になったのだろう。こういう話は勝手にキャンペーン事務局のサイトに掲載されるだけで、ホテルへのお知らせは無いらしい。申請時の必要書類が途中でどんどん増えたこともホテルには特に知らされず、勝手にサイトを見てね、ということらしく。

なんにしても、方針がコロコロ変わった結果なので、ホテルも代行業者もすべて被害者、という感じがする。支払内訳書自体は、あとからホテルにお願いして、メールで貰うことが出来た。みなさん、お疲れ様です。

そんなこんなで話を戻し…。ホテルに荷物を預ける。その際、札幌市が行っているもう一つのキャンペーン「スマイルクーポン」を貰おうとしたら、もう無いと。

このスマイルクーポン、1泊につき1人3000円の金券をくれて、札幌市内のお店で使える、というもの。安いホテルに泊まると、サッポロ夏割とスマイルクーポンで、お金をもらってホテルに泊まれる、みたいな状態になっていたらしい。

しかし当然、このスマイルクーポンも上限があり、ホテルごとに割り振られていたらしく、JRタワーホテル日航札幌は、2~3日前に終了していたらしかった。札幌グランドホテルはこの段階ではまだあったようなので、ちょっと失敗。しかし、5000円の補助だけでも大変ありがたいです。

荷物を預けて、小雨がぱらつきだした中、まずはサッポロビール園へ。昨日までの東京での猛暑がうそのように涼しい。東京は今日も暑いらしい

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1890年に製糖工場として建てられた赤レンガなどをリノベして、1966年に、ビール工場に隣接した施設としてオープンしたサッポロビール園。

ビール園紹介|サッポロビール園

レストランや博物館などが集積されている場所。ここで、まずはジンギスカンをいただきましょう

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この広い吹き抜けのケッセルホール、普段なら予約を取るのが大変らしい。しかしこのご時世でそんなことは全くなく、そもそも、新型コロナの影響でずっとお休みしていて、先週ようやく営業再開したばかりらしい。

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まずは美味しいビールをいただきまして…。ここ限定のサッポロファイブスター、美味しいなあ。ジンギスカンは食べ放題にするのがデフォなのかもしれないけれど、今回は単品で

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トラディショナルなタイプも美味しいけれど、やはり生ラムタイプが美味しかったな。壺漬けのジンギスカンも美味しかった。

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お支払いをしていると、別のお客さんはスマイルクーポンを使っている人もおり、ホテルのよって残り具合にばらつきがあるのだね…

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さて

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博物館を眺める。

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サッポロビールの歴史、すなわち、北海道開拓の産業の歴史、という感じだった。官営から民営になる一時期、大倉組名義で作っていた時代もあるんですね

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ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー

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サッポロビールというと「男は黙ってサッポロビール」のポスターばかり思い浮かべてしまうけれど、特に水着だったりしない女性のポスターもたくさんあるのね

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博物館を出て、ここからアートクラスタ的にはモエレ沼公園…という手もあるんだけれど、どうもお天気がいまいち。今回はモエレ沼公園は止めて、別のところに向かう。最寄りの地下鉄の駅に歩く途中、セイコーマートに寄ってお惣菜の安さに驚いたり、通りかかった大音響で盆踊りを流すワゴン車に驚いたり、ハタメク防犯の旗に北海道を感じたりする。沖縄ほどではないが、内地とはどこか違う感じ。

地下鉄で円山公園に出て、バスで大倉山ジャンプ競技場

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大倉山ジャンプ競技場のジャンプ台上の展望台に至るリフト、普通なら往復1000円なのだが、なんと、札幌市の観光振興で、8月いっぱいは無料であるとのこと。

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チケットを受け取り、リフト乗り場へ

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無料なので日によってはかなりの待ち時間が発生しているらしいけれど、この日は待ち時間はまったく無し。タイミングが良かったかな。リフトに乗ると、ジャンプ台の斜面に震えてしまう

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上がった展望台からは、札幌の街がよく見えた

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札幌の街が見渡せる場所…というと、もいわ山ロープウェイが有名で、なんと、そちらの往復1800円のロープウェイとケーブルカーの料金も無料になっているようだ。そのほか、時計台、テレビ塔豊平館羊ヶ丘展望台、美術館…主要観光施設がほぼ無料ではないか。やり過ぎ感すらある。

www.sapporo.travel

これ以外にも夏割もスマイルクーポンもあるし…札幌市は、この観光振興にどれだけのお金を使っているのか。本来であれば全国から観光客が殺到するはずのお盆の期間、これは大変なことだ…

少し振り出した雨の中、リフトを下る

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ミュージアムもあるのだが、そちらのほうは人が大勢並んでいるのでパス。15:30、気温は18.4℃。むしろ肌寒い

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バスで円山公園に戻り、地下鉄で大通り公園へ。少しデパートを覗いたが、入り口の検温や消毒や、カウンターのシートなど、対策の内容そのものは東京と同じだが、ひとつひとつが丁寧に行われているな、という印象を受けた。

これはデパートに限らず、地下鉄やバスや観光施設でも同様で、札幌は感染症対策がかなり丁寧でちゃんとしている印象だった。

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やはり札幌に来たからには、時計台へ。今回はベタな感じの観光をしますよ。ここの内部見学も無料。中に入ったのははじめてかな。

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もともと、ほぼこの場所に札幌農学校の演武場として建てられた建物であり、ガッカリ名所、みたいな声を少なくない。しかし、その歴史を知るに及び、昔は遠くからでもランドマークになったような建物が、ビルの谷間に沈むくらい札幌が反映したのだなあ、という感慨に変わった。

今回は徹底的にベタでいくぞ、ということで、雪印パーラー

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スノーロイヤルと水出しコーヒーをいただきます。

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スノーロイヤル、濃厚なのに優しくてふわっと溶けるようで、本当に美味いアイスクリームだなぁ。パフェも美味しいと思うんだけど、晩飯もあるから控えめにしたのだ…。

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この雪印パーラー、昔からここにある名所で、味もとても良いのに、気取らない雰囲気だし

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こういう、修学旅行生が勢いで頼んでゲンナリするような馬鹿みたいな大きさのパフェを出していたりするところも好き。

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北海道庁の赤レンガを眺めつつ

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虚しく響く北方領土返還のスローガンを眺めつつ

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唐沢俊一・なをき兄弟のご実家のカラサワ薬局を眺めつつ、帯広に本店があるはずなのに札幌にも本店がある六花亭へ向かい、お土産購入

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駅に戻り、本日のお泊まり、JRタワーホテル日航札幌

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部屋からの眺めもなかなかよろしい

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一休みして本日のお食事へ。最初、回転寿司のトリトンに行こうと思っていたのだが、お盆の最繁盛期は密になるのを避けるため、夜はテイクアウトだけになっていた。

そのほか、教えていただいた寿司屋や居酒屋などもあったんだけれど、さすがに地元の人に愛される個人経営のお店などは満員のところも多く、結局、「花まる」にする

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しかしこの『寿司と炉端焼 四季花まる 北口店』は、花まるの中でも落ち着いた店舗で、寿司を食べつつ、居酒屋的にも使えるよいお店なのだ…

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めふんを食べて、あ、うまい…となり

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この時期だけの若鮭、時しらず。鮭を焼いただけのものが、美味しいなぁ。なんか、食べるたびに、しみじみ、美味しいなぁ、と。フレッシュで、ハッとするような味。

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アスパラガスは自家製と思われるマヨネーズも美味しい!そしてお寿司

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10カン2310円税込の特選握り、びっくりするくらい質が高い。北海道すごいな!さらにいろいろ追加してしまいましたよ…

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店舗数も多いチェーンなので、正直そこまで期待していなかったけれど、期待を大きく上回っていた。客先はかなり余裕をもって配置されていて、それにしても空いていて、申し訳ないぐらいゆったりさせてもらい、お会計は2人で1万円くらい。ごちそうさまでした…

まだそんなに遅い時間じゃないので、雨の中をお散歩して、さっぽろテレビ塔へ。

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ここも無料になっている。もう、札幌の観光振興策が気の毒なくらいのレベルになっている。

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程よい高さからの札幌の夜景を楽しみました。ここもエレベーター乗るのは10分も待たなかったかな

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札幌に来たからには夜パフェ…ということで『パフェ、珈琲、酒、佐藤』にて、珈琲と赤果実のパフェ。

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からしか出さない、珈琲味のアイスと酸味のある果実の組み合わせ、食感の変化も、とても楽しいパフェだった。

食後は南三条を泣きながら走る…ことはなく、狸小路をぶらついてホテルに戻る

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浴槽に浸りながらぼんやり考えていたが、お盆休みど真ん中に、決死の観光振興策山盛りの札幌で、ベタを極めた観光をしていたけれど、とにかく、観光業は、目も当てられない惨状なのだな、ということが感じられる。これだけやっていても、どこもここも、あまり混雑してない…。北海道は初期にコロナ流行が来て以来、ずっとこんななのか。どうなるのか。

普段ならこんな時期、予約が取れない、1時間平気で並ぶ、みたいな店が、どこも客席をかなり減らして営業しているのに、すんなり入れてとても空いている。札幌は東京よりもよほど感染予防策がしっかりして見えるけど、でも、人の動きはぜんぜんなのだ。どうやったら打開の目処が立つのだろうか。

韓国でさえ一時期落ち着いた感染者がまた増えていて、台湾レベルで抑え込む方法はあるのだろうか。警戒を緩めたり強めたりしながら、長く付き合っていくしかないのだろうか…

在華坊(@zaikabou)/2020年08月14日 - Twilog