日毎に敵と懶惰に戦う

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国立歴史民俗博物館『性差の日本史』と、エリックサウスマサラダイナーのモダンインディアンコース 2020冬のコース

日曜日、本日も朝からお出掛け。上野に出て、京成の特急で佐倉に至る。駅から歩いていくと、ドーンと

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ドーンと

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ナウシカの原作に出てくる墓所みたいな形の建物に「 歴 博 」と書かれたものが迫ってきて、圧が高い…

国立歴史民俗博物館。通称、歴博。今回は「性差(ジェンダー)の日本史」を見に来たのだが、土日は必要な事前予約をしていなかった。当日枠で入れるのは入れるのだが、少し待たねばならなかったので、早めのひるごはん

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この黒米のハヤシライスが、うーん…いまいち…カレーのほうが美味しいらしいとは聞いた。しかし、今晩、カレーだからなあ。ハヤシライスは1000円、黒米のおにぎりが100円。おにぎり3つくらい食べた方が良かったのでは

さて、昼も食べたので、展示を見ます

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国立歴史民俗博物館『性差の日本史』を見る。物凄い情報密度で、あまり広く無い企画展示室に2時間以上滞在してしまった。

企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館

古代から近代にかけて、政治や経済の場において女性が分離され、排除され、特定の役割を固定化されていく制度と体制の有様を、情報を詰めるだけ詰め込んで見せている。非常に面白いが、なかなかしんどい企画展。

2つめの部屋の売春の歴史も非常に厚みがあり、公の貸金を利用して拡大する吉原の大店(おおみせ)とか、三井などの大店(おおだな)が福利厚生として利用する吉原とか、今まで意識しなかった視点も得られたり。軍隊と売春とか身売りの実態とかも、大変に興味深い内容だった。売春を含めて、職業の場における女性の主体性についても。

例えば、古代においては田植えは男女隔たりなくする仕事だったものから、『早乙女』という、女性の仕事の「美しい」イメージが徐々に作り上げられていく様、役割の固定化が行われていく様を、資料から克明に読み解く展示内容は、常設展示でまったく同じ資料が別の読み解きをされているのと比べると、とてもスリリングなのだ。

一番最後に、村木厚子さんが展示を見たうえで語る4分間の映像があり、これはYoutubeでも見られるんだけれど、展示内容についてよくまとまっていて、その上で、これからの人達に語り掛ける内容だったので、是非見て欲しい。Youtubeだとロングバケーションが見られる

www.youtube.com

浦島もよさんが美術手帖に書いているレビューがよくまとまっているので、お読みください

「性差」はいかにつくられてきたのか? 国立歴史民俗博物館で「性差(ジェンダー)の日本史」を見る|美術手帖

ある一面から歴史を俯瞰していく試みなので、もちろん、うん?と思う点や、ちょっと違うんじゃないかと思う点もあると思うが、そういう部分含めて、是非見て欲しいのです。個人的には、今年の展覧会のベスト3には入ると思う。

解説の多い展覧会なので、興味があるけれど現地まで行けない場合は、図録だけ取り寄せるのもありかと思う

企画展示図録 性差(ジェンダー)の日本史 - 国立歴史民俗博物館ミュージアムショップ

さて、その後、一休みして常設展示も見たのだが、何しろボリュームが凄いので、とうてい全部は見て廻れない。駆け足で、2時間で、6つの展示室のうち、民俗・近代・現代の3つを見るのが精一杯でしたよ…

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 かなりセンシティブな内容含めて常設も充実している。ここの博物館の「民俗」のコーナーなんか、外国人に見せたら喜ぶと思うんだよな。空港が成田にあることのメリットを見出すとしたら、この博物館が近いことかもしれない。

閉館前ギリギリまでいて、ミュージアムショップを覗き、書籍のコーナーも見る。ここに在籍していた、暴力でぶ太郎先生の業績もありますね…

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昔、ここの博物館に来て感想を書いたときに、メッセージを貰ったことがあったな…と思い出すなど 

zaikabou.hatenablog.com

読み返して改めて思ったけれど、国立歴史民俗博物館、近年相当改修してるんですね。2010年に「現代」の部屋が出来たり、近代や民俗のコーナーもガラッと展示内容見直したり。

京成佐倉から勝田台に出て、そこからとてもお高い東葉高速鉄道と地下鉄を乗り継ぎ、渋谷へ。本日の次なる目的地、エリックサウスマサラダイナーである。

ERICK SOUTH MASALA DINER - ERICK SOUTH MASALA DINER

2か月に一度のお楽しみ、モダンインディアンコース、2020年冬のコース。全般的にスパイス盛り盛りな中、考えながら食べる前半から、怒涛のメイン2品へと雪崩れ込む、一つの音楽のように構成された、舌も鼻も脳も食感も腹も大満足なコース。お値段も変わらずの税込5,500円。やはり値段がおかしい。

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1品目、ドライトマトのウタパムは、パンケーキにチーズやベーコンで甘さしょっぱさが重層的にやってくるような、不思議な楽しさ。これ一品で贅沢な朝食みたい。

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2品目、牡蠣と蓮根のパコラ。スパイスたっぷりな衣に包まれて旨味が閉じ込められた牡蠣も蓮根も、とても豊かな味がする。

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3品目、大根ラッサム。スパイスガンギマリな謎おでんである。複雑な辛さのスープを受け止める大根を、新鮮な驚きで食べるうちに、あ、無くなってしまった。もっと食べたい…

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4品目、羊肉の石窯グリル。マトンもも肉と、ラム背肉の、旨味の違い、脂もそれぞれに美味しい。黒ひよこ豆のカレーがまた良いし、スパイスやら柿やらのソース…とにかく、忙しく、全て美味い!この皿凄い!

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5品目、ポルチーニ茸のプラオのキノコが口いっぱい広がる豊かさ、濃厚さの奥にスパイスがしっかりなチキンクルマ、苦味も嬉しいキーライマシヤル、鰹出汁ラッサム…これだけで大満足なのに

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プラオがおかわり自由。さらにライス、サンバル、チキンカレーまで追加可能なのである。頭おかしいのでは、なんだこのコースは。さすがに、プラオとサンバルだけにしておいたけれど、ライスとチキンカレーを追加すれば、普通にカレーが食べられる…。

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6品目、胡桃のラヴァケサリ、シナモン紅玉、ビターキャラメルアイス。サクボロな食感のケサリとリンゴが、口の中で4つのスパイスとアイスと共に渾然一体となり、ホットチャイと共に、最後まで幸せに包まれてコースは〆まる。

今回も美味しくて楽しかった、ありがとうモダンインディアンコース。ありがとう稲田さん。

これまでのモダンインディアンコースの記録はこちらにあります 

zaikabou.hatenablog.com

大変幸せな気持ちで、帰宅するのでした

https://twilog.org/zaikabou/date-201101