日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

東京大学総合研究博物館小石川分館「グローバル・スーク」

10時に目が覚めた。珍しい。そんなに疲れていたつもりはないのだけれど。
家でのんべんだらりんとして、2時前に出掛ける。東横線で渋谷まで出て、湘南新宿ラインで池袋、丸の内線に乗り換えて茗荷谷東京大学総合研究博物館小石川分館を2度目の訪問。前回の訪問は
小石川から秋葉原、銀座 - 日毎に敵と懶惰に戦う
の時で、今回は以下が目当てである。

国際協働プロジェクト「グローバル・スーク」展
本プロジェクトは(中略)世界各地の人々から寄せられた様々な人工物を観覧に供することで、人間の有する造形感覚、表現手法、価値体系がいかに多様であり、その多様性を相互に認め合い、結び合う寛容さこそが、現代社会に分断をもたらしている言語、宗教、文化、人種の隔てを克服する上でいかに大切であるかを、視覚的かつ悟性的に理解させるためのものである。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/real/tokubetsu/2005GlobalSouk/

どういう内容のものだか判然とせず、公式サイトもろくろく見ずに行ってみたら、これが大当たり、というか大爆笑だった。だってあなた、いきなりこれですよ。



もともと、小石川医学校の建物を改装して、様々な標本を展示してある素敵施設なのだが、そこに『世界各地の人々から寄せられた様々な人工物』が一緒に展示されている。この『様々な』が曲者で、印刷用の活版のような価値がありそうなものはまず稀で、海岸の漂着物的な「いかにも」なものも一部。日用品の類、仕事の道具、そのつもりで作った芸術作品、チラシで折った折り紙、おもちゃ、なんでもかんでも人工物ならやりたい放題である。
さっきのような半ば冗談、小学生が教科書の著者イラストにいたずら書きをするような感覚の展示から、梶井基次郎のレモン的な、それを置くことで空間の異化を狙ったもの、あるいは建築模型の横に建築模型を置かれるとなんだか意味不明になり、あるいはもとの標本と組み合わせることで美術作品としてなにかを訴える水準にあるもの、タイプライターに敷物が敷いてあったり、とにかくなんだかよくわからない。
元の模型の展示からして「見栄え」に拘った珍しい資料館であるところの上に、さらにいろんな人工物が加わることで、混沌の極みになっている。どうやらWEBサイトと連動させた企画であるらしく、私もこれから見てみようと思うが、とにかく現物が非常に面白いので是非見てみるべし。
ただし、私は本来のこの博物館の姿を前に見ている(本来、という言い方には語弊があるだろうな。今回の企画展をやる前の姿、という意味だ)ので、それとの比較で楽しめる部分があったのだが、最初に今の状態を見ると何が何だか訳がわからないかもしれない。