日毎に敵と懶惰に戦う

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光市の事件について

最高裁判所から明確なメッセージが出されていた以上、情状での無期判決は望めず、弁護団に取りうる減刑の戦略は検察側が提示する事実に真っ向から反論するしかなかった」
というところまでは理解できるのだが、ではその「真っ向からの反論」が裁判官の理解を得て死刑を免れ得るという見込みを、弁護団はどの程度持っていたのだろうか。情状をさらに訴えるよりも、あの『ドラえもん』云々によって死刑を免れ得る可能性が高まると本気で思っていたのだろうか。
いやいや、戦略の問題ではない、少年は本当にそのように訴えていたのだから、戦略によって可能性云々ではないのだと言われれば、なるほどそうですか、と言うしか無い。これが事実であり、かつ、そのような事実においては死刑は免れなければならないというのが被告ならびに弁護団の主張になるわけだろう。
それはそれでいいのだが、そうなってくると、最初の『弁護士に取りうる減刑の戦略は…』ということで理解する人たちは、果たして、弁護団にそれによって死刑を免れ得るとの目算があったのだ、とお思いになりますか?私には、このあたりがいちばんよくわからないのです。
だからそうなると、

元少年がそのような理解しがたい供述を始めたのは死刑回避のためではなく、彼が裁判戦術として反省の態度を見せる事に抵抗を感じていたから
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20080422/p1

というのが、一番理解し、納得しやすくなってくるように思う。
ただしこうなってくると、この控訴審は、少年にとっての目的と裁判団の目的が乖離しているような気もするのだが、少年の『反省したくない』という心情は『死刑にして欲しい』とイコールではない…つまり、死刑回避を戦略的に積極的に行うつもりはないけれど死刑にして欲しいわけではない、のだろうから、死刑を免れるという点において、元少年と弁護団の目的は一致すると理解してもよいのだろうか。
マスコミがBPOに注意された件とか、世間の吹き上がり批判とかについての話は概ね理解も納得もできるが、理解納得がまったくできないのはこの点なのです。

追記:ブクマでコメントをいただいた

2008年04月23日 synonymous あくまでも憶測でものをいえば、被告青年は飾るのをやめたんだと思いますよ。「こうすれば無期懲役はとれるから」って戦術が挫折したわけだし。

そうですね。私も推測ですが、少なくも、被告の意に反して(被告を唆して)弁護団が荒唐無稽なことをいっていたのでは無いと思います。実際の被告の主張なのでしょう。その主張をそのまま活かしながら、おそらく困惑しつつも、弁護団としては被告の利益のために忠実に仕事をしたんだと思います。