日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

国立新美術館『貴婦人と一角獣』、Bunkamuraザ・ミュージアム『アントニオ・ロペス』

金曜日、ゆるっと出社。為替と株価の乱高下がめちゃくちゃでありますな…。もろもろお仕事。昼飯は何時ものように弁当。
18時過ぎにあがって、大江戸線で六本木、国立新美術館で『貴婦人と一角獣展』を見る
www.lady-unicorn.jp
国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
フランス、クリュニー中世美術館にある、1500年ごろ制作の、6面の大きなタピスリー『貴婦人と一角獣』が、なんと日本に来るぞ!ということで、お好きな方の間では随分前から話題になっていた展覧会。私はあまりこれについてよく知らなかったんだけれど、最近のガンダムにも出てきたのね
ガンダムUCに登場するタピスリー「貴婦人と一角獣」の本物を見てきた! 会場の音声ガイドはシャア&オードリー
天井の高い国立新美術館、展覧会の入口から回廊のような道があり、右に折れるとパッと開ける大空間。そこに一面拡がる、鮮烈な色彩の6枚の大タピスリー、そのインパクト!おおっ、となる。赤地に貴婦人と一角獣、獅子、そしてたくさんの動植物がちりばめられた高さ4mほどもあるタピスリーは、左から人間の五感、触角、味覚、嗅覚、聴覚、視覚をあらわし、そしていちばん最後、我が唯一の望みへと連なる。
順を追って見れば見るほど印象深く、心に焼くタピスリー、籠められた寓意を追い、考えながら、タピスリーの間を行ったり来たり。そして同時に、織物の、光の表現の巧みさに唸ったり。広い空間の中をぐるぐる。ほかにもいろいろ展示物はあるんですが、つまりは『貴婦人と一角獣』を解説したり、背景を説明したりするための展示でありますから、まさに、この6面の『貴婦人と一角獣』!と向き合うための展覧会なのですね。そして実物を見る価値大いにあり、だったのでした。
タピスリーのあの色彩を留めておく引っ掛かりが欲しくて、グッズ売り場を漁ってマグネットを買ったんだけれど、いちばんグッと来たのがツバメノート。さすがに最近、ツバメノート、いろいろコラボし過ぎやろ…と食傷気味だったんだけど、今回のは久しぶりのヒット、デザインと色味が素晴らしい。
さて次は…渋谷の文化村へ。金曜夜の渋谷に行くのは正直気が乗らなかったんだけど、国立新美術館乃木坂駅から千代田線で表参道、半蔵門線で渋谷に出て、地下通路通って3a出口、109脇から地上に出たら、あまり混雑に揉まれずに文化村まで辿り着けた。渋谷駅の地下化は不便になったという声が多いけれど、道玄坂とか東急本店方面にいく分には、さほど、便は悪くないのかもしれない。
Bunkamuraザ・ミュージアムで、『アントニオ・ロペス展』を見る
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アントニオ・ロペス展 | 展覧会情報 | ザ・ミュージアム | Bunkamura
現代スペイン・リアリズムの巨匠、待望の日本初個展…ということで、アントニオ・ロペスさん、まだご存命。生涯で個展は7度目らしいんですが、とにかく一枚一枚、描くのに時間がかかるので、なかなか個展は開けないらしく。で、その作品なんですが…
とにかく、もう、凄かった。震えた。平面にこんな可能性があったのか、と打ちのめされるぐらい。お前はものをちゃんと見ているのか?お前にとって見るとはなんだ?って、一枚一枚に迫られているような気がしてくる。そうだな、なんていうんだろう、美味しんぼの山岡さんじゃないけれど、『30年待ってください、本物のリアリズムを見せてあげますよ』って言われてるみたいなんだよ。
私たちがものを見ると言っても、写真のようなのっぺりとした映像が常に目の前にあるわけじゃない。そこには当然、脳の働きがある。視点の動きと対象の動き、ものを見た時の瞬間の感動と時の経過…そんな、見る、それは目だけじゃなくて、見て感じる、そのことを、一枚の平面に落とし込んでいく、それがどういうことなのか。ピカソ的に対象を解体、脱構築していくんじゃなくて、あくまでもリアリズムなんだけれども、そのリアルさというのは写真にはない絶対無理な、人間の脳の働きの帰結としての超絶技巧なんだわ。吹いている風、漂ってくる匂い、サウンドスケープ、気配…そんなものが、アントニオ・ロペスの絵から感じられるのですよ。どうやったらこんなものが描けるんだろう。
もうとにかく、すごい…すごい…と思いながら、展覧会場で右往左往、うぉー……と、唸りながら、熱に浮かされたように彷徨ってしまったよ…。これはちょっと、見逃したらいけない展覧会ですね。4-6月の四半期は、京博の山楽山雪、愛知県美の応挙、奈良博の當麻寺がスリートップでしたが(ボストン美術館展再訪とか都現美のコレクションとか漱石絵画とか仙台の若冲とかセゾン現代美とかミュシャとかも良かったけど)、アントニオ・ロペスが滑り込んできた感じです。
大満足して出て、目の前にある嵯峨谷で蕎麦。なるほど、この値段でこのクオリティはすばらしい。JRで桜木町に出て、ちょっと酒房ぴーに寄り道して帰宅、河内音頭江州音頭をかけて歌いながら、家事を片付けていたら2時になっていたのでした
在華坊(@zaikabou)/2013年06月07日 - Twilog