日毎に敵と懶惰に戦う

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ポーラ美術館『紙片の宇宙』


ポーラ美術館
ポーラ美術館については、もう説明不要というか、まずはその空間だ


入口から、エスカレータを下っていくのに、天井からの自然光が空間全体を照らしていて、国立公園ゆえに地下に掘るしかない…という制約を逆手にして、空から光の降り注ぐ空間を作り出している


レストランも明るくて素敵だし(ちょっと高いけど、まあ箱根価格であるし…)


最近、建物の外側に遊歩道が整備されて、地下深くに掘られた建物を廻り込んで


遊歩道をぶらぶら歩くのも気持ち良い


だから、箱根の観光地でこの空間、だけでも満足してしまいそうになるのに、そこに、国立西洋美術館とも向こうを張れるような素晴らしい印象派のコレクションが…というのがまた素晴らしいわけであり。
なのでもう、箱根の観光地で、ちょっと美術館も行っとこうか、という皆様に、コレクションただ並べて置くだけでも印象派好きの日本人大満足!のあらかじめ成功を約束されているような場所なんですが、今やってるの企画がなかなか攻めてて面白い(写真は許可を得て撮影しています)

紙片の宇宙 | ポーラ美術館
『紙片の宇宙』という展覧会、シャガールマティス、ミロ、ダリ…などなど、普段絵画作品で目にすることの多い作家の挿絵本を並べ、同時に油彩や水彩の作品も一緒に観よう、という

この挿絵本、ピンとこない人も多いかと思うんですが、「芸術家のよる挿絵本」というのはフランスで19世紀末から20世紀中盤にかけて隆盛した出版であり。美麗でいろいろな技法を使って作成された挿絵本は、数十部からせいぜい、数百部しか作成されない豪華限定版。なかには、はじめは綴じられておらず


購入者が、これまた好みの装幀家に依頼して装幀させて、愛蔵するというものも。まあとにかく、贅沢なしろものなんでありますよ。ポーラ創業者二代目の鈴木常司氏がこの挿絵本のコレクションをしており、今回の作品もすべてポーラ美術館所蔵品であるとのこと


さまざまな版画技法多様性を見るのも楽しいし、普段目にする絵画との表現の違いを見るのも楽しいし、豪華な装幀を見るのも楽しい。ルオーのこの作品なんか、どうやって版画でつくるんだろう

ドガ、ロートレック藤田嗣治、ルオー、レジェ、ブラック…とても贅沢な展覧会でありました。もちろん、印象派などのコレクションの展示もしっかりやってますし


絵画に照度の違うあかりをあててみて、違いを見る展示もあって、これ面白かった