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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

越後のミケランジェロ、石川雲蝶に会いに行く

旅仕度というほどでもない仕度をしていたら、なんだかんがでギリギリ、東海道線で東京駅の銀の鈴に到着してみれば、6人中の最後でござった。今日は一村雨さんの発案で、TakさんあおひーさんKINさん、らと魚沼へ、石川雲蝶の作品を見に行くのだ。
で、上越新幹線で越後湯沢に向かうべくホームに上がってみれば、向かい側には『はやぶさ』が!


3月11日の震災以来、ゴールデンウィークに全線復旧はしたものの、まだまだ徐行区間も多かった東北新幹線。それが本日9月23日から完全復旧し、3時間10分で走るようになるのだった。はやぶさがデビューしたのは3月5日、震災が3月11日、九州新幹線全線開業が3月12日だったので、新青森から鹿児島中央まで、新幹線がはじめて北から南まで本領を発揮した日、なのだなあ。と、いきなり余禄が大きくなりましたが

はやぶさを見送って、こちらはときで。自由席の2階に乗っていろいろ話していればあっとゆう間、越後湯沢駅。天気は小雨が降ったりやんだりだけれど、元気に参りましょう。レンタカーを借りて越後堀之内まで足を伸ばし、まずは永林寺へ

建碑と御利益いっぱいの寺 永林寺 | 名匠、石川雲蝶の数多くの作品を展示。参詣に是非お越しください。
さて、ここで、石川雲蝶について。1814年に江戸に産まれた雲蝶は、江戸彫りの名人。30代前半で越後に入り、終生を越後で過ごし、三条周辺、魚沼のあたりで、寺や神社に数多くの作品を残しておるのです。その作品は、これは永林寺のものですが

その彫の深さがとても印象的、パースの面白さがあり、とにかく、躍動感が素晴らしい。永林寺の堂内は写真撮影は禁止なんですけれども、欄間の雲水龍、天女、孔雀などなど、圧倒されます。30cm以上が奥行きがあろうかという彫物、その複雑な構造をいったいどうやって彫上げたのか。写真で見るだけでは迫力がわからない、実物を見てこその価値。建物自体が雲蝶によるものだそうで、あちこちの意匠も見ものです
…んでまあ、この永林寺、雲蝶没後100年間は作品を大っぴらには公開していなかったそうで、公開するようになったのは今のご住職、29年前から。ご住職が、いろいろ洒落好きというか、面白いと言うか、なんというか、ふふふ



堂内にどっかで見たことがある字があるにゃー、と思ったら、橘右近でありまして。かの小島貞二の『有遊会』から贈られたそうでありまして、ふふふ、いろいろと、面白かったです。さて、次に、小出のあたりまで下り、西福寺へ。さっきのお寺は空いていたけれど、こちらには観光客が沢山。作品自体は甲乙つけがたいのだけれどね

http://ww5.et.tiki.ne.jp/~hirasawa/
魚沼の寺って、田んぼから山に向かうあたりに、立派な並木を伴ってあるでしょう、あの佇まいが好きだなあ。で、この西福寺開山堂、その外観にまずびっくりするような彫刻が



これがほどこされた開山堂は1857年に建てられたもので、保護するための覆い堂にまず目を奪われる

そしてその内部には、透かし彫り『道元禅師猛虎調伏の図』が三間四方の大吊り天井。極彩色のそれを真上に、見回せば一面の欄間彫刻が大迫力で息を呑む。彫刻に限らず、絵画の数々もなかなかのもの

とにかく、永林寺と西福寺は必見でありましょう。これは他所に持ってこれないから、ここで見るしかないもの。さて、ここで一息ついて、昼飯は蕎麦を。やっぱりへぎそばですね

美味い蕎麦を食べて山菜も堪能し、突如降りだした豪雨をやり過ごして店を出る。さらに下って、次に穴地十二大明神へ。この神社、ひっそりとした村の鎮守…という感じなのだけれど

やはり、そこにも壮麗な雲蝶が


蜘蛛の巣に覆われて、それほど、大事にされているふうでもないのだけれど…(笑)魚沼には、それだけ、雲蝶が溢れているのかしら?実は堂内にさらに作品があるらしいけれど、観ることは出来ず。なんとなくこの神社、周囲に惹かれるものがいくつかあり、たとえばこの並べ方はライアン・ガンダーの近作を彷彿とさせる何か、とでも申しましょうか。とにかくセンスが素晴らしい

この小屋もなんか、素敵な佇まいだぞ

小沢剛が注目したカマボコしかり、魚沼頚城には、トタン使いの名手が多いんではないかしらん。
続いて龍谷
龍谷寺/にいがた観光ナビ
石川雲蝶を見に来たのに、まず目を惹くのがこれ

別に仏教として珍しくはないんだけれど、新潟の山のなかにいきなり現れるとびっくりしますね。何事か、と思いながら中に入ってみると、生活空間が混然一体となった寺の奥に、これまた、雲蝶の素敵な作品の数々が



とにかく、雲蝶の作品は躍動感がどれもこれも素晴らしい。で、その中に、ちょっと静かな作品もあって、これまた素敵だったりするのだ

で、まあ、この寺もそうなんですが、魚沼の寺と言うのは、生活と信仰が密着しているから…なのかな。どこか取り澄ました東京の寺などには見られない、定型にはおさまりきらない逸脱、アナーキーさをところどころに感じるのよね。ちゃんと仏教が活きている…といいますか。ま、これは都会の人間だけが感じる不思議さであって、地方の人には、何言ってるんだ、と思われるかもしれませんけれども。そういうね、割と、外向きでない寺の姿が見られるという意味でも、面白い旅でありますな
さて、さらに車を南に走らせて、最後に長恩寺へ。ここはちょっとした作品が、蔵のような建物に


こんなところにも…というような所に作品が多く残っており、ということはつまり、失われた作品も相当数あることが予想されて、まるで木喰のように作品を作りまくった人であったのかなあ、石川雲蝶。とにかく、これは現地でなければ、見られない。今回写真が撮れなかったところに凄いものがいっぱいありますので、是非越後を訪れてみることをオススメする。三条のほうにも面白いものが沢山あるようで、新潟県観光協会では特設サイトもあるし
越後のミケランジェロ、石川雲蝶作品を中心に芸術の南魚沼を完全制覇/にいがた観光ナビ
立派なパンフレットも作ってます
今回同行させていただいた方の記事も
石川雲蝶 | 弐代目・青い日記帳
石川雲蝶(永林寺、西福寺開山堂、穴地十二大明神、龍谷寺、長恩寺) - あお!ひー
さて、越後湯沢で車を返して、おみやげを覗いたり、酒屋に立ち寄ったりしていれば5時。近所のお店へ開店時間に押し掛けたら店員さん1人しかおらず、すみませんなあ、連休のこんな早い時間から。ビールで乾杯、あとはもちろん日本酒へ。馬刺しも

栃尾の油揚げも、イカわたのホイル焼きも、大変美味しゅうございました。そして最後には魚沼こしひかりのおにぎりで幸せ気分

楽しい大人の遠足を終えて、帰宅したのでありました