読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

京都国立博物館『魅惑の清朝陶磁』など

本日も遅れ気味の京浜東北線で8時過ぎに出社、10時には出て、のぞみに乗って新大阪まで。客先で打ち合わせ。終了後、天満橋

ちょっと歩いてARTCOURT Galleryで、野村仁の個展を見る。

表現が、なんというか、ずぎゃーん、としていて、関西のおっちゃんぽくて、好ましい。ずぎゃーん、てなんだよ、と思われるでしょうが…なんか、してたのよ、ずばーん、というか、どぎゃーん、というか。やりたいようにストレートにやってる感というか、気持ちいい感じが。したんです。
京橋まで歩き、京阪の特急に乗って七条まで。またちょっと歩き、京都国立博物館に行く。『魅惑の清朝陶磁』がお目当てです

http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/131012/index.html
いきなり伝円山応挙長崎港之図」があり、うそぉ、ほんとに応挙?みたいな作品で不穏な空気になる。唐蘭館絵巻は、清の商船が長崎に入港してから出港するまでを絵物語にしたもの。なんだけれど。無事長崎を出港したあと、最後の絵が、どこかの浜辺で船が燃やされているんですよ。で、それについては何の説明もない。入ってすぐから一味違うぞ、という展覧会である…。
続いては沈没船の引き揚げ陶磁(わざわざ粗製と解説付き)、江戸京都長崎の遺跡出土陶磁(年代別分類)と続き、美術品の展覧会に来たはずなのに、考古学の展覧会来ちゃったのかな?という気分になる。続く京都の寺伝来の陶磁あたりまで、地味な青い紋様の茶碗ばかり…。
なんだか不思議な展覧会だ…と思いつつ進むと、日本から清に発注した陶磁器の章では、発注者の意向を理解しないまま作られた、中国趣味と和物意匠の意図せざる融合の末のヘンテコなものが並び、あきらかに仮名を知らない中国の職人さんが書いた仮名が書かれた陶磁器があったり。京博が時々見せる悪ノリなキャプションもノリノリに筆がすべり、いろいろ大笑いしてしまう。ますます不思議な展覧会になってくる。
ここで挟まる休憩コーナー。長崎の中国趣味な料亭がなんとなーく雰囲気的に再現されております。比較的低予算だと思います


続くは旧家伝来清朝陶磁のコーナー。冒頭のキャプションからして、ここからが本番ですよ、しっかりしたものが残っているのはこのへんですよ、と鼻息荒い感じで、これまでには無かったような質の良い、色彩豊かな陶磁器の数々がならび、おおっ、と驚く。所謂、十錦手と呼ばれる、茶碗や皿などが十種に色付けされた作品も目を惹く。よくぞこれだけの色が…という中でも、ピンク色が凄いよなあ。そして、これに続く日本での清朝陶磁の再現を追うコーナーが圧巻で、色彩豊かな清の元作品と日本の模倣作品が交互に並べられ、明治の輸出用の派手な陶磁器においても、清朝陶磁の模倣の要素が多く含まれていることがわかる。宮川香山の作品も多数。よくも集めたり、な作品の数々。作品の質的には最も見応えがある90点ほど。
で、最後に、逆の模倣も無いと不平等ですよね、と。清朝が一時期貿易を制限した時期、欧米では清朝陶磁に変わり有田焼が人気だった。そのため、清が貿易を復活させてしばらくは、有田焼を模倣した作品がわりと作られたらしい。その清の壺が、とても珍妙な和もの柄で、中国と日本が混じってなんだかよくわからないものになっている。この章は2点だけの展示で、オチをつけた感じで、唐突に展覧会は終わる。
とにかく、全編これ、なんだか不思議な展覧会。近所の寺からちょっと借りてくれば超豪華展覧会できちゃうんだろ…みたいな京都国立博物館のノリからは掛け離れた企画力。普段だったから国宝と重文があふれてるんだけど、今回は重文が一点あるだけだし。江戸時代の中国趣味がよくわかる企画展であるし、面白いから是非、見に行ったほうが良いと思います。
会場を出ますとすっかり真っ暗、来年開館する新しい常設館はこちら

七条からまた京阪に乗り、祇園四条へ。本日は遊亀に飲みに行く…のはやめて、四条通をてくてく歩き、京都芸術センターへ

明倫小学校を再利用しているんですね、素敵な施設

ここでは『高嶺格:ジャパン・シンドローム〜ベルリン編』を見る

水戸の個展でも上映された関西編、山口編、水戸編の映像と、10月5日に京都市役所前で行われた砂山典子のパフォーマンスの映像の上映。ベルリン編、というようなものは無し。本来は、ベルリン編、というようなものを10月5日に京都市役所前パブリックビューイングする予定だったんだけれど、昨今の原発を巡る世論の情勢を見て、これは賛否の中間にいる人に見てほしいんだけれど、急速に中間がなくなって賛否が断絶してしまっている、それでは流す意味が無い…と判断したとのこと。で、その断絶を修復するのが目的のパフォーマンスと映像であった、とのことであるが、さて。
それはともかく、『ジャパンシンドローム』については、未見の人には是非見てもらいたい。商店、飲食店、動物園などに行き、放射能の影響を聞いて交わした会話を、舞台で再現した映像。地域、個人による反応の温度差を見るとこで、自分の今の立ち位置、考えについての再考を迫られる。見ていて物凄く居心地が悪い映像。問われているのはコミュニケーション。
水戸芸術館『高嶺格のクールジャパン』茨城県立近代美術館『二年後。自然と芸術,そしてレクイエム』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
もう一つのギャラリーで、『ビリー・カウィー ART OF MOVEMENT and DARK RAIN』も。赤青の立体眼鏡をかけて見るダンスパフォーマンス映像、時間切れでちょっとしか見れなかった範囲では、何かの試みに名を借りた僕の私のフィティッシュ博覧会か?と思ったけど、たぶん違う…んだろうな…。
さて、このまま京都駅に向かうか、ちょっと1杯には時間がないか…と思っていると、この京都芸術センターのカフェ、前田珈琲がなかなか素敵なお店じゃありませんか。晩飯を食べていこうかと

赤みそオムハヤシ、おいしゅうございました。珈琲も飲んでしばしのんびりし、いよいよゆっくりもしていられないので、地下鉄で京都駅へ。ひかり号の自由席で帰宅したのでありました。
在華坊(@zaikabou)/2013年10月18日 - Twilog