日毎に敵と懶惰に戦う

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横浜美術館『石田尚志 渦まく光』

土曜日だけれど、何しろ年度末であるので、出勤してお仕事。なんとかかんとか仕事を終わらせて、閉館1時間半ほど前に横浜美術館にすべりこむ

石田尚志展 | 横浜美術館
横浜美術館『石田尚志 渦まく光』を見る。良い。素晴らしい。
石田尚志は大好きな映像作家で、壁などに描いた線がうねうねと動くコマドリアニメーションに引き込まれて、その動きをめまいがするような感覚で眺めてしまう。結構追いかけてるが、その石田尚志の、まさに集大成にしてさらに可能性を感じさせる展覧会なんじゃなかろうか。
美術館に入った瞬間から、薄暗い照明の空間は夢のなかに誘われるようであるし、いきなり正面に、横浜美術館で滞在制作した代表作『海の壁』が。石田尚志のひとつの完成形の作品と思う。これだけなら入場料いらずに見られるので、ぜひ見てほしい。
入場して冒頭にある『絵巻』は、最初期の作品、荒削りなぶん、描くということの凄みがダイレクトに感じられる。そして『フーガの技法』。このフーガの技法が、関連する展示…そうなのだ、何しろ緻密な作業を積み立てて出来上がる石田の作品なので、ラフ画とか、完成作品にいたる関連資料が膨大にあるのだ…その関連展示が豊富で、『フーガの技法』自体の鑑賞環境も良好で、めくるめく音と映像の世界に囚われる。
色の洪水のような新作『渦巻く光』がある展示室には、ライブドローイング…緻密な作品を作っているのにライブドローイングがまさにライブ感というか、作品製作過程の緻密さと出来上がった作品の躍動感をつなげているのはこういうところか、と思ったりするんだけれど、そんな踊り跳ねるようなライブドローイングは、沖縄の照りつける太陽の下での活動につながる。この展覧会、沖縄にも巡回するので、沖縄でも見てみたい。
そして最後の展示室は、これまた視聴環境がとてもよい、やはり代表作のひとつと言える『部屋/形態』を見た後で、新作含む多くのスクリーンが複雑に構成されて、インスタレーションと化した音と映像の世界にまさにたゆたうような…ああとにかくほんと、この展覧会は素晴らしい。
映像を見ているうちにふっと眠りに落ちてしまって、ぼんやりと、沈んだ海面から浮き上がるように目を覚ますと、目の前に繰り広げられている映像世界が無限の円環を描いていて、夢か現か、不思議な世界にたゆたい続ける…。そんな、ほんとうに、夢のような時間が過ごせるのです、石田尚志の作品は。
ひとつの到達点、それっぽい、作品を作ってから、いろんな方向を模索していて、それがひとつ明瞭な形になりつつあるような、そういう変化を楽しむワクワク感もありつつ、なのでありました。
かならず時間に余裕を持って、映像と音楽が織りなす重層的なインスタレーション空間に身を任せてほしいのです。そして今回、コレクション展もちょっと高踏的なんだけどとにかく構成が際立っていて、全体で荘厳さすらあって、良い展覧会と思いました。また行こう。
ふわふわしながら美術館を出て、どんどんかわるみなとみらいの街を眺めつつ

帰宅し、ちょっと酒房ぴーで軽くやったりした土曜日なのでした
在華坊(@zaikabou)/2015年03月28日 - Twilog