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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

水戸芸術館『田中功起 共にいることの可能性、その試み』とギャラリー桜林

土曜日、6時に目覚めて、6時半出発。上野で常磐線普通列車にに乗り換える。今日は青春18きっぷで水戸に向かうわけですが、この2時間は本を読むための時間。青春18きっぷは、本を読む時間を与えてくれる

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水戸駅9時32分着。小雨降る中を歩いて水戸芸術館へ。

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本日の展覧会は、田中功起 共にいることの可能性、その試み』である

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水戸芸術館|美術|田中功起 共にいることの可能性、その試み

この展覧会は、新作1点と既作2点からなる。新作は、合計240分にもなる映像の断片からなるインスタレーション。6人の参加者、4人のファシリテーター田中功起やキュレーターによる、6日間の共同生活。その中におけるワークショップ、ディスカッション、インタビューの映像の断片が、会場内にちりばめられている。

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240分まるまる見なくとも、少なくとも2時間、出来ればそれ以上の時間と心の余裕を持って臨んでほしい。展示はわりと不親切で、パッと見は何が行われているかの理解が難しい。映像の断片とアーティストとキュレーターのノートをつなぎ合わせていくと意味が立ち上がり、引き込まれていく。

公募した6人の参加者が、田中や複数ファシリテーターのもと、仮設の共同生活をするのだが、その過程で今日の日本におけるコミュニケーションが抱える様々な問題点が浮き彫りになってくる。しかし私達は解りやすい形でそれを観察しない。その問題点の表出の仕方がまた日本的な問題を浮き上がらせる。

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一緒に陶芸作品を作り出す微妙な空間が作り出す空気、社会運動についての語りの横での仕草と顔、インタビューに答えた後の個々人の振り返りと共有、その各場面で少しずつ積み上げられてきた違和感や課題が、最後のディスカッションで突如曖昧な空気のまま狼煙を上げ、しかしまた、それも唐突に終わる。

その様を、鑑賞者たる私達は神の視点で理解するのではない。時系列もバラバラな、誰が誰かも認識に時間を要する、映像の断片をパズルのように組み立て、行きつ戻りつして、私たち自身もそのコミュニケーションの一介在者となって“察する”のだ。鑑賞者自身のコミュニケーションに対する意識が問われる。

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断片において、例えば在日コリアン、国会前デモ、ジェンダー、合意形成、日本における社会とコミュニケーションの問題を曝け出しなつつ、その全体においても、鑑賞者にコミュニケーションの問題を突きつけてくる。ぜひ、時間と心の余裕を持って鑑賞をしてほしい。

たとえば、6人の中で唯一の男性参加者の、ディスカッションの最後の方の発言、インダビューで明示されるパートナーとの関係、社会運動についてのファシリテーターの横に座った時の顔と仕草、それらをいろいろ、つなぎ合わせたり、人間関係に立ち入っていくような興味深さもある。

大舘奈津子さんが書いているレビューが読みごたえがある。

http://www.art-it.asia/u/admin_ed_exrev/rlB0D6PQyxCOf8icaJXS

『見るべき展覧会である、と断言できる。会場滞在時間6時間』と書きつつ、その中で『登場人物(とあえて言う)は皆魅力的で、善人であり、一方で、すくなからず美術の素養があるが故にどうしても超えられていない一線があった。』とあり、その部分に頷く。

確かにこれはあった。つまり、私達は社会において期待される役割を演じることがしばしばあるし、場を理解すれば尚更、その傾向は顕著になりがちだ、ということ。私に期待される役割を演じない私を期待されて演じる、という場合もあるだろうし、それは時に意識的であり、時に無意識である。

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この新作のインスタレーションの合間に、陶芸家が5人でひとつの作品を作り出す映像、ピアニストが5人でピアノの前に座り、試行錯誤と行き違いから最終的に素晴らしい演奏が紡ぎ出される映像、もあり、これもやはりコミュニケーションの問題を扱いつつ、楽しい作品だった。いずれにしても、見るべき展覧会、であると思います。

ずいぶん長い時間滞在してから出て、さて、昼飯。

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水戸芸術館の前の繁盛する中華料理屋で、チャーハン唐揚げ定食750円、すごいボリューム。美味かった。

水戸駅まで歩き、ちょっとお土産など物色し、常磐線を友部で乗り換えて福原という駅へ。

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こじんまりした駅から歩いて10分ほど。住宅街を抜け、国道50号線に出ると、常陸国出雲大社があらわれる

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食堂とか売店とかいろいろあって、賑わっている神社のようですが、ここに先月、ギャラリー桜林がオープンした

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開館記念展『Impacts! 勢み展』では、山口晃会田誠山口藍、O JUN、天明屋尚天野喜孝など、ミヅマのアーティストの作品が30点あまり。落ち着いた使いやすそうな空間でした

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境内桜林館にギャラリー桜林2月20日オープン 一般入場は21日から:新着情報 - 縁結びのおやしろ ~ 常陸国出雲大社

で、作品はいいんだけど、一番インパクトがあった、というかうるさいのが入口にいたPepperくんだった。なんとかならんのだろうかw

この出雲大社、ずいぶん立派な神社なんですね…

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拝殿の天井のこれも、何か作品なのかな?

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あ、こんなものも見つけた

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少し高台になった神社からは、北関東らしい風景を眺める

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また駅に戻り、水戸線で小山まで

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小山からは上野東京ラインで横浜まで2時間。本日は家で晩飯にいたしました

在華坊(@zaikabou)/2016年03月19日 - Twilog