日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

千葉市美術館『小沢剛 不完全 パラレルな美術史』

月曜日、祝日。昼前に出て、長々と電車に乗って千葉へ。駅が綺麗になっていて驚くが、駅から出るとまだ工事中。千葉で一度は行ってみようと思っていた『パントリーコヨーテ』へ。

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ハンバーガー大変美味しい。

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アボカドのディップも良いし、ハンバーガーもいろんなメニューが気になるし、自家製のジンジャーエールも美味かったし、ビールも良い品揃え。千葉市美術館すぐ近くにあるので、また行こう。客足賑わってた

千葉市美術館『小沢剛 不完全 パラレルな美術史』

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石膏デッサン、芸術と工藝と民話、戦争画、見世物としての油絵、偽美術史体系の醤油画、貸画廊批判…。

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小沢剛からの、日本の美術史美術体系への問い掛け、疑問符が一貫していて、作品へと昇華されている。小沢剛の足腰の強さを改めて感じる展覧会だった。 

小沢剛の作品って、仕上げのクオリティがとても高いわけじゃないし、一点一点が凄く面白いかと言われると拍子抜けで微妙だったりするんだけど、ちゃんと説得力があって、それでいて随所にクスリとして、作品全体として強度がある。海外で長く活躍しているのも、そういうところなんだろうな、と

なんか、そこが、会田誠と大きく違うところ、というか。優劣の話でなく、アプローチの方向性が違う感じ

美術館を出て、目の前を眺めると、千葉市美術館に行く度に入っていた『宝家』の崩れっぷりはますます、えらいことに。2階部分が無くなっている。

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以前に入った記録はこちらで 

千葉県物産館に寄り、千葉駅から横浜に戻れば、もう6時半ごろ。酒房ぴーに寄り、昭和43年と、平成29年の、野毛の地図を見比べていた。

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銭湯『柳湯』は、いまの「でんがな」「鳥良」のあたり。隣の萬里や、近くの叶屋は昔からある。見比べるの楽しくて、ずっと見てしまう。宮川町の『くに乃湯』の場所は、今は駐車場かな

 そんなこんなで帰宅

在華坊(@zaikabou)/2018年02月12日 - Twilog

横浜市歴史博物館・横浜開港資料館『銭湯と横浜』から思いを馳せる綱島温泉

横浜市歴史博物館と横浜開港資料館の合同企画で、『銭湯と横浜』という展覧会をやるという。銭湯大好き、横浜大好きな自分としては、何をおいても行かないといけない。というわけで、展示がはじまって早々に行ってきた。まずは日本大通り、横浜開港資料館へ

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横浜開港資料館

こちらの展覧会は『”ゆ”をめぐる人々』と題して、横浜開港以来の、横浜の銭湯の歴史を辿る展示になっている。

開港資料館の展示室はさほど広くないのだけれど、浮世絵に描かれた湯屋からはじまって、とにかく情報量の多い資料が多い。

銭湯業界の組合の発展や、国会への進出、あるいは新潟や石川出身者の活躍…そう、ご存じのように、銭湯を経営しているのは、新潟や石川の出身者が多いのですね。東京や横浜で銭湯をはじめて、そこをクニから出てきた人が頼り、また独立していく。そして成功した人は故郷に錦を飾る。今回の展覧会のために石川まで行って取材のしてきている。

津村順天堂が銭湯に入浴剤を売って発展していった話や、労働者救済のための公設浴場、そして大震災や第二次世界大戦を経ての銭湯の役割、大きく数が増減しながら、やがて今日に至る。第二次世界大戦直前の銭湯一覧なんてものまで表になっている。開港資料館は撮影禁止だったので、これは図録から

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伊勢山から野毛越しに横浜を見下ろす写真が度々登場して、風呂屋の煙突があちこちにある様子、そして二度の厄災で灰燼に帰す様子、また復興する様子…などを垣間見る。野毛にも2丁目の人参湯、3丁目の柳湯、2つの銭湯があったんですね。

とにかくもう力も入った展覧会。そして、自分的にどんぴしゃだったのが、綱島温泉の話題が超充実していたことだった。

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東横線綱島は温泉地として発展したところで、樽町あたりで湯が出たところからの発展の様子が数多くの写真と資料で紹介されている。観光案内図とか、東急が沿線客誘致のために作ったガイドマップとか、食い入るように見てしまう。電鉄経営の浴場があったんだよね。いちじく園まで作られていたとは。

綱島温泉にあった梅島館のマッチとかパンフレットとか、元経営者が持っていたものもたくさん。そして総合レジャーセンター『行楽園』が綱島にあったとか、元綱島在住民としてはへーっ、ほーっ、の声が出るばかり。

その何十軒も旅館のあった綱島温泉関東大震災復興博覧会の指定宿泊地にもなっていた綱島温泉は遠方の温泉に気軽に行けるようになってやがて衰退し、旅館はなくなり、そして、最後のパラダイス東京園も、つい先日、鉄道工事のために閉めてしまった。あの楽園については、思い入れが強すぎて…過去の記事を貼っておきますね 

 

図録も迷わず購入。2館合同の図録になっており、1300円はお買い得。季刊横濱の銭湯特集号も売っているので、持ってない人はこれも買いましょう

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今回の展覧会のメインヴィジュアルのなっているのは、西区藤棚にある『中乃湯』の昔と今

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この様子も目に焼き付けつつ、翌日は地下鉄に乗ってセンター北へ。横浜市歴史博物館『銭湯と横浜』は、「ちょっと昔のお風呂屋さんにようこそ!」というお題

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銭湯と横浜 ちょっと昔のお風呂屋さんへようこそ! | 横浜市歴史博物館

昭和30~40年あたりをひとつのターゲットにして、銭湯のその周辺を紹介する企画なので、最初に昭和レトロな家電の数々があったりして。これは洗剤とお湯を入れて、膨張圧で洗う洗濯器ですね

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 で、その、ちょっと昔のお風呂屋さんのコーナーがとても楽しい

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廃業してしまった銭湯から寄贈を受けた、番台やらドライヤーやらマッサージ器があって、実際に上がれるのでありますよ

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マッサージ機に至っては、ちゃんと20円入れると3分動く!これは楽しい…。写真撮り放題で、銭湯で使われていた道具がいろいろ山盛りです

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銭湯の料金の変遷もあって、これを見ていると、高度経済成長期の物価上昇ぶりにあらためて驚きますね。あと、昔は洗髪料がえらく高かったのね

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情報流通の場としての銭湯…ということで、いろんなポスターも。はまれぽのステッカーまであったぞn

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んで、こういう展示物も楽しいのだけれど、こちらも労作である。最近は銭湯マップをを作って配布しているけれど

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昔はこんなものはなかった。銭湯が必要な人にとっては銭湯はすぐ近所にいくらでもあるものだから、別に必要無かったんでしょう。そこで今回の展覧会に合わせて、昭和43年の横浜の銭湯マップが作られている

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今の約5倍、347軒の銭湯が乗っているマップ、これを見ていると、銭湯の所在地の偏りがよくわかる。鶴見区神奈川区、西区、中区、南区にとにかく密集していて、工場労働者などが集住した地域に集中しているのですね。郊外に行くと、農家は家に風呂があるので、銭湯は必要無かったのだ。

そしてこれらの銭湯マップを作るための昭和43年の住宅地図も置いてあり、座り込んでじっくり見てしまう。綱島温泉に温泉旅館がたくさんある様子や

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野毛の地図で、2丁目の柳湯、3丁目の人参湯はこんなところにあったのか、と。昔の店の名前を追うのも楽しい…

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銭湯出身者に石川や新潟の出身者が多い…と言う話はもう一つの会場でも見たけれど、横綱羽黒山新潟市西蒲区(昔の中之口村)出身で、上京して銭湯で働いているところに体格の良さを見込まれて角界入りした話も面白い。

そして、『銭湯と横浜』のパンフレットに使われている、西区藤棚の中の湯の、昭和30年ごろの写真も数多くあった。で、この写真を見たことが、あとにつながるのである…

さてこの展覧会、スタンプラリーもやっておりまして

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横浜市浴場協同組合との協力で、2か所の展覧会と、横浜市内の68か所(うち、綱島の東京園と、中区の翁湯は、休業中)を廻ると、スタンプに応じていろいろ記念品がいただけるのです。銭湯好きとしては行かずばなるまい。さっそくその夜、西区藤棚の中の湯、今は『中乃湯』へ行っていた

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住宅街の中、団地に隣接した銭湯は落ち着いた雰囲気で、地元の人がぬるめのお湯と熱めの薬湯にゆっくり浸かっている。能登半島のポスターが貼られていて、ここも石川出身の人が、と改めて思うのだった。

そしてあがる時にスタンプを押して貰ったら、なんと、スタンプを押すのはこれがはじめてとか…。押してくれた女将さんは、横浜市歴史博物館で写真を見た男の子の奥さんであった。

そんなこんなで、銭湯、綱島温泉に思いを馳せ、さらに銭湯巡りまで楽しめるこの企画、是非2つ合わせて遊びに行って、さらに銭湯も入ってほしいのです。

横浜 アーカイブ | 【公式】神奈川の銭湯情報

ちなみに、私の好きな横浜の銭湯は、綱島温泉東京園は別格の思い出としておいて置いて…。八幡橋の仲乃湯、弘明寺の中島館、であるかな。安善の安善湯も素敵なところで

それについてのお話は、『はま太郎』の13号に書いているので、そちらも読んでほしいのでした

「はま太郎」の星羊社

そんなこんなの『銭湯と横浜』なのです