見出しは演出です。大阪府の図書館の開館日が少ないのではないかというのが、話題になっている。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/080628/edc0806281151001-n1.htm
府教委によると、橋下知事から先週、綛山(かせやま)哲男教育長を通して「府民が利用しやすいよう開館日数を必ず増やしてほしい。現在は休館日としている長期蔵書整理期間(年間11日)も開館させてほしい」と要望があった。
図書館の性質上、年1回の整理期間は不可欠なので、関係者は橋下知事に対して、そのへんのところをちゃんと説明してあげてほしい。知事も図書館を“聖域化”するんだったら、それぐらいは知っていて欲しい。ところで、そうすると、他の自治体の図書館はどうなんだろう?という気になってくる。産経の記事にも
同図書館の今年度の年間開館日は276日で、都道府県立図書館の平均を10日以上も下回っている。
とあるので。で、1都3県と、京阪神について調べてみた。比較のために、それぞれの県(府)庁所在地の市立中央図書館も確認。東京都は区立の図書館の一つを仮に確認してみる。
図書館 週の休館日 月の休館日 祝日 整理日 年間休館 備考 都立中央 なし 1回 開館 工事期間中 73日 工事休館43日 目黒区立八雲 月 第3木 開館 1月の17日 83日 神奈川県立 月 第2木 開館 4月の7日 76日 横浜市立中央 なし 1回 開館 6月の4日 21日 埼玉県立浦和 月 第4金 開館 10月の9日 87日 システム更新11日 さいたま市立中央 なし 2回 開館 4日 34日 千葉県立 月 第3金 開館 3月と10月の10日 86日 千葉市立中央 月 第3木 開館 不明 不明 京都府立 月 第3木 閉館 2月の10日 90日 京都市立中央 火 なし 開館 9月の10日 70日 兵庫県立 月 第3木 閉館 5月の15日 87日 神戸市立 月 なし? 閉館? 4月の10日 ? 大阪府立中央 月 第2木 閉館 6月の11日 89日 大阪市立中央 金 月末 開館 4月の14日 80日
都立中央図書館は工事中なので、あまり参考にならないとはご承知おきください。
どの図書館でも、特別の整理期間はとっている。とはいえ、その日数は4日間から17日間と幅がある。たとえば市立図書館の場合、館数が多いので、他の図書館と時期をずらすことで応援を得ることが出来、短期間で済ますことができるのだろう。都道府県立図書館は館数が少ないので、人材をやりくりするのは難しいと思う。
定休日もまちまちだが、都道府県立では、都立中央図書館以外は週1回の定休日があった。これも、横浜市立中央とさいたま市立中央は定休日が無いのだが、やはり、館数の多いために、人材のやりくりがつけやすいのだろうか。
とはいえ、首都圏では開館している祝日が、京阪神では閉館していることが多いのはちょっと気になった。地域性のようなものがあるのだろうか。
全体としては、大阪府立中央図書館の閉館日が突出して多いとは言えない。“都道府県立図書館の平均を10日以上も下回っている”というのは、一部のがんばっている図書館が、平均を押し下げているためと思われる。
とは言え、住民サービスの向上につながることなので、なるべく休館日を減らしてほしいとは思う。まあしかし、都道府県の図書館と市立の図書館が補完しあえるのが次善だろう。千葉と神戸は、休館日が重なってしまっているのは困ると思う。
大阪府立図書館は、整理期間を短縮して開館日を増やすということだけれど、無理して整理がおざなりになったりしないだろうか。開館日を増やすならば、人材もそれなりに充当しないといかんと思う。現状でよっぽど職員が暇しているなら別だが、図書館の職員も学術研究員なのだという視点で、人材の拡充もちゃんとやって欲しいと思った。
あと、個人的には、自宅から徒歩1分の横浜市立中央図書館はとても頑張っているんだなあ、と感心したのでした。