日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

自転車で東京のギャラリー巡り、現代美術系16軒

久しぶりにギャラリー巡りをしようと思って調べていたら、今の東京の現代美術系ギャラリーの企画展、特に日本人作家によるものが、非常に粒ぞろいであるな!と改めて感じたわけで。スムーズに沢山廻れるように、自宅から自転車で出掛けた。国道15号線を北上、信号を守らないローディーが目立つ。ああいうのは、イージーライダーのラストシーンみたいにだね…
多摩川を渡り、蒲田。この踏切も今日まで?明日全部高架になるんじゃないのかな?(この写真の人は、信号を守っていました)

新橋駅のあたりで脇に入り、宝塚の入り待ちで賑わうあたりを通り過ぎて、日比谷のパティオまで。ここまでで30km。11時のオープンまでしばらく休憩して、最初の目的地

高橋コレクション日比谷『会田誠天明屋尚山口晃』◎

http://www.takahashi-collection.com/exhi/exhi.html

ジューサーミキサーが見られて良かった。「みんなといっしょ」シリーズもいいっすね。支那料理は、メッセージがどうであれ、中国で展示したらえらいことになりそう。山口晃の、『何かを造ル圖』が楽しそうで大好きです。入場料300円ですが、代表的な作品をまとめて見られてお得。8月8日まで。高架下を通り抜けて銀座に移動

SHISEIDO GALLERY『椿会展2010』○

ページが見つかりません|ワタシプラス/資生堂

塩田千春、やなぎみわ、丸山直文、伊庭靖子、袴田京太朗、佑成政徳の6人をいっぺんに。塩田千春の映像、そうか、あの、いつも関係性を強調したり、どこかにしばりつけていたあの糸って、血管だったのだろうか。伊庭靖子の絵の質感もいいですね。6月13日まで。中央通りを北上して

ギャラリー小柳『寺崎百合子 音楽』

ヴァニラ画廊 -Vanilla Gallery -
楽器の一部のドローイング。客層が不思議だった。音楽教室の先生が個展をやるから知り合いが来ています、みたいな…。たまたまかな。5月29日まで

ヴァニラ画廊『人造乙女博覧会2』○

ヴァニラ画廊 -Vanilla Gallery -
オリエント工業ラブドールの展示。製造工程の写真も多数。500円だけど、『オリエント工業の歴史』という、特製ブックレットがついている。実際に触らせてもらえて、案外骨格がしっかりしてて、表面にシリコンの吸いつく感触の肌。人間の肌を忠実に再現する…のとは方向性が違うのだな、という気がした。じっと顔をみつめていると、不思議な気分になってくる。これは15日でおしまい。取り壊し中の歌舞伎座を横目に、新富町方面に移動

TKGエディションズ『奈良美智 エディション作品とグッズを中心に』

http://www.tomiokoyamagallery.com/tkge/

清澄白河で始まった奈良美智の企画展に関連して、作品の展示とグッズの販売。あの犬のぬいぐるみとか、かわいいなあ。6月19日まで

MEGUMI OGITA GELLERY『中村ケンゴ 自分以外』○

http://www.megumiogita.com/exhibition/index.html

手塚治虫のキャラクターをモチーフにした作品、吹き出しの作品、東京の間取りをモチーフにした作品など、最近の代表的なシリーズを沢山展示。ボリューム多い。記号が分解されてもアイデンティティを保っているような、認知とか関係性について考えさせられる、そんな作品。6月5日まで

アラタニウラノ『加藤泉』◎

ARATANIURANO
一目見て加藤泉だっ!てわかる木彫りの…なんだけれど、あんまり広くないギャラリーの、事務所スペースまで侵食する凄いボリューム。そして、これまでの作品からさらに突き抜けてしまっている感じ。ちょっと興味のある人なら、今回の充実ぶりは必見。5月22日まで

ワダファインアーツ『土屋多加史 FLARE』

Wada Fine Arts | 株式会社 Iseyoshi Art Project

花に食われるかと思った…。5月27日まで


さて、ここから清澄白河に移動。途中、昼飯を食おう…定食屋がいいな…と、ランチ営業している居酒屋を発見。足を踏み入れるまえに、ちょっと失敗の香りがしつつも足を踏み入れたら…。なんか予想以上の失敗感であり。広い居酒屋はうす暗く、ランチ用に一部だけ片づけてある。日本語のあやしいおばちゃんに案内されて座る。最初、客がいないのかと思ったら、サラリーマンが2人、それぞれ単身でいたんですね。静かなんで気がつかなかった。もちろん一人だから静かなんだけど、なんかそれ以上に沈痛な空気が感じられまして、ああ、これはヤバイな…という。
カキフライ定食を頼んだら、奥の厨房から作る音が。店内はそして、うす暗く耐えられないほど静か。ややあって無言で定食が運ばれてきて、厨房で作っていた中国人青年、作り終えたら、空いている席に座ってたばこふかしながら新聞読み始めた。おばちゃん…これは、会話の雰囲気から(中国語なので中味は不明ですが)、どうも親子だと思われる…も、同じテーブルに座ってぼんやり。なんでオフィス街の居酒屋でランチに入ったのに、けだるい中華料理屋の雰囲気なのか。味は…。ごはんは推して知るべしで、まあいいんだけれど。カキフライの中の火の通り具合が怪しく、温泉卵は汁の海に泳いでいて味が濃すぎ、なぜか漬物はザーサイ。あの2人のサラリーマンの沈痛な雰囲気のわけも合点がいった。なんだかなあ。
オーナーとは思えない。推測するに。オフィス街だから土曜日はランチ営業していなかったんだけれど、従業員の中国人男性が、土曜日も営業させて貰えないか、と店主に持ちかけて、お母さんを手伝わせている感じ。そうやってやらせて貰えるということは、店からの信頼はそれなりに篤いのだろうが…いや、ここまで完全に勝手な推測ですが。
そんなこんなな昼飯を済ませて、さらに新大橋通りを北上、川を渡れば清澄白河

小山登美夫ギャラリー 清澄『奈良美智展 セラミック・ワークス』◎

http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/yoshitomo-nara-exhibition-2010/

本日がオープニングとあって、会場は大混雑。あの貨物エレベーターに専属のアルバイト雇うほど。セラミックの像が7階に、壺が6階に。大きな白い像、あの奈良さんの子供の、どこを見つめているのか見つめられているのか、不安になるような目が、陶器になることでますます強調されている。そして、壺がなんとも言えず、丸みがあってかわいくてなあ。お値段は、200万〜800万と、あまりかわいくないけれど(笑)。奈良美智ファンの人は必見ですね。6月19日まで

Taka ishii Gallery『荒木経惟 古希ノ写真』○

http://www.takaishiigallery.com/jp/exhibitions/2010/koki/
そうか、もう70歳なんだ。到底そうとは思えない、凄い写真の数々。あと、写真は体力かもしれない、と。6月5日まで

ShugoArts『戸谷成雄 ミニマルバロック

http://www.shugoarts.com/jp/
木彫りなのに、内臓を覗いているような、どろりとした感触。6月12日まで

ヒロミヨシイ『アーミー・デッカ』

http://www.kalons.net/j/gallery/galleries_32.html
どっかで見たような…という印象が、果たしてこの人の作品を別のところで見ているのか、あるいはほかの人の作品と勘違いしているのか…という写真を使った作品。6月19日まで。ここまで、例の倉庫ビル

無人島プロダクション八木良太 事象そのものへ』○

無人島プロダクション

清澄白河の駅から、東京都現代美術館に向かう途中に移転した無人島プロダクション。普段は存在しているけれど見えない、意識しないものを可視化・感触を現出させる作品、面白かった。ギャラリーの人も親切丁寧。5月29日まで

東京都現代美術館『Plastic Memories|いまを照らす方法』◎

http://www.mot-art-museum.jp/collection/index.htmltitle
常設展なんだけれど、もしも最初の部屋の作品を見ずに通りすぎてしまったら、あれあれあれ?という感じで終わってしまうかも。もちろん、ボルタンスキーの死んだスイス人の資料とか、私の大好きなものも出ているのだけれど。で、この企画展で見るべきものは、とにかく山川冬樹の『The Voice-Over』だ。父親の山川千秋、ニュースキャスターだった人ですね、この遺されたテープを繋ぎ合わせた作品で、昨年、ヨコハマ国際映像祭で見て大変な衝撃を受けた。未見の人は、是非。未見じゃない人は、まあ、別にいいや。6月20日まで
http://precog-jp.net/2006/09/alive_art_matsuri_vol2_the_voi.html

TARO NASU『春木麻衣子possibility in portraiture』○

TARO NASU
現代美術館から清洲橋通りに出て橋を渡り、馬喰町で寄り道。極めてコントラストの高い、面白い作品だった。このギャラリーは来るたびに思うけれど、あの階段、転がり落ちそうになる…。6月12日まで

ミヅマアートギャラリー会田誠 絵バカ』◎

MIZUMA ART GALLERY : 展覧会・イベント

靖国通りを西へ進み、一口坂を下って、お堀を渡って到着。あの広い空間にも入りきらないほどの、超ド級の大作。「灰色の山」は超シリアス、ジューサーミキサーの対になるような、サラリーマンの死体の山の作品。尋常ではない書き込み、まだ制作中らしい。3×7mのサイズ。「万札地肥瘠相見図」はさらに大きい、4.5×10.5m、もしも号であらわすと2000号とか。目がチカチカするような作品。でもね、その作品を見ている横のモニターからは、延々とよかまんよかまん言ってるもんだから、もう何が何だか…。そしてその後ろのスペースでは、会田誠さんと、三潴さんがまじめに打ち合わせしているとゆー。とにかく凄いことになってました。ともかく、これは必見。6月5日まで


そろそろ帰路につかないと、家に着く前に暗くなってしまう。というわけで、帰り路。四ツ谷から迎賓館の脇を抜けて、神宮外苑の銀杏並木を通る。246から外苑西通りに入り、西麻布。さらに進んで天現寺を左折、もう一か所寄り道

NADiff apart 『蜷川実花』○

NADiff Top

すっごいねー。上から下まで全部蜷川実花。まさに色の洪水!沼尻エリカの写真も良かったし、花も良いし、地下の作品もぐっときました。お好きな方は必見ですね。1階では、花の写真を使ったグッズも充実していて、本当に色の洪水!って感じになっていた。5月30日まで


というわけで、これでおしまい。中目黒に出て山手通りを南下、第一京浜に出て、まっすぐ進む。第二京浜よりも第一京浜のほうが確かにアップダウンは多いんだけれど、走り易いんだよね。信号が少ないからか、路肩が広いからか、舗装が良いのか。多摩川を渡ってペースよく進み、なんとか、薄暮のころに横浜駅。近所の八百屋で買い物して帰宅した。晩飯は、ステーキと、おかず数品、あとワインなど。特売で買った550円のチリワインが優秀、美味しゅうございました。

本日の走行距離は80km、廻ったギャラリー16軒、美術館1箇所。全部見るのに掛った費用は、高橋コレクション日比谷の300円、ヴァニラ画廊の500円、現代美術館の500円、これだけ。あとは無料。いま、全体的に質量が充実しているので、ギャラリー回りには最適かと。今回見逃しているものもいろいろあるしね。その際は、是非、自転車で。レンタサイクルもありますから。移動がスムーズで快適ですよ
都心を自転車で走るなら、レンタルという手もある - 日毎に敵と懶惰に戦う