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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

来年の自分の物語を組立ながら選ぶ『国立美術館オリジナルカレンダー』

国立美術館が持つ、豊富なコレクションの所蔵作品から、12点の作品を選んで自分だけのカレンダーを作ることができるサービス『国立美術館オリジナルカレンダー』

壁掛けタイプか卓上タイプを選び、掲載する作品を140点から12点選び(壁掛けタイプは2ヶ月ごとに6点選ぶタイプもあり)、何月に何を入れるかの配置を考えて、注文。PCからでもスマホからでも、、わかりやすいUIでさくさく選択できます。スマホで月ごとの配置を選ぶ画面は、こんな感じ

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お値段は、2,300円~2,900円とちょっとお高めですが、しっかりした作りのカレンダーが出来上がります。カレンダーの製作現場はこんな感じ(これは2年前のオルセー美術館展のグッズ製作のようすですが、カレンダーは同様に作られています)

「オルセー美術館展」公式オンデマンドグッズ工場潜入レポート! | 弐代目・青い日記帳

去年頼んだ卓上カレンダーも、1年間、しっかり愛用しました。すみません、余計な情報が多い写真ですが…

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昨年、いろいろ文句を言いつつも、楽しく注文した様子はこちら

昨年の記事で『もっと選択肢を増やしてほしい!』と言った効果があったのかどうか(?)、今年は選択肢がしっかり増えていました。その数140点、去年より40点くらい増えているぞ!

そんなわけで今回は、増えた選択肢を中心に、去年は選ばなかった作品ばかり、12点を選んでみました。

基本的な情報を再確認…国立美術館とは、東京国立近代美術館国立西洋美術館国立新美術館京都国立近代美術館国立国際美術館の5つ。コレクションを持たない国立新美術館以外は、いずれも素晴らしい所蔵品の持ち主。

先日、帯広で見た展覧会も、京都国立近代美術館のコレクションに、東京のそれを適宜加えた良い内容でした 

東京国立近代美術館の会員になると、他の近代美術館の常設展も見ることが出来る『MOMATサポーターズ』という制度もあり、自分も愛用しています。

国立博物館の会員制度がかなり変わってしまったけれど、こちらは変わらずにいて欲しいですね… 

そんなわけでだいぶん、前置きが長くなったけれど、今年の12枚、いきますよ

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1月.<新>ニコラ・ド・スタール 《アグリジェントの丘》国立国際美術館

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ニコラ・ド・スタールはロシア出身でポーランドに亡命後、欧州を転々とした後、41で自殺した人で、気になったら生涯を調べてみてほしい作家ですが。絵もなんだか不安になるようなものが、ちょいちょいありまして。去年は速水御舟のかわいい家を1月にしたので、今年も雪をかぶった家にしてみました。そうしたら、年明け早々、不安な気持ちになりそうで素敵です。今回、あたらしく増やされた選択肢から1枚。

 

2月.アルフレッド・スティーグリッツ《ターミナル》京都国立近代美術館

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近代写真の父、アルフレッド・スティーグリッツ。とても寒そうで素敵だったんでこれにしてみました。今回、選択肢が増えたというものの、写真作品と、工芸作品は、ひとつも追加されておらず。工芸はあまりカレンダー映えがしないから仕方ないと思うけれど、奈良原一高の写真とか、選択肢に増やしてほしいなー。まだ年数があまり経っていないから、権利関係が難しいのかな。

 

3月.国吉康雄《乳しぼりの女》国立国際美術館

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三ヶ月続けて、なんか不安を掻き立てそうな絵ずらばかり選んでしまった…。国吉康雄好きなんですが、もはや日本の画家というか、アメリカの画家だよね、国吉さん。じっと眺めているとなんか心が不安になってきて、しかしその不安さも相俟って、これから、冬が終わって!春が来るのだ!みたいな気持ちになれそうなので、これにしました。実際の季節が春なのかなわからず。ほんの目安として、それが何時の季節の絵なのかもわかると楽しいなー、と思いました。

 

4月.土田麦僊《湯女(ゆな)》東京国立近代美術館 

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竹橋の美術館でひとめ見た時に、とてもおおらかで、パッと心が晴れやかになった作品。土田麦僊大好き。最近は文展以降の日本画も比較的見るようになったものの、それ以前は明治中盤以降の日本画に、いまいち興味が持てず。でも、土田麦僊は好きだった。ここまでの三ヶ月間、なんだか不安になりそうな絵ばかりだったので、ここで一気に春にしましょう。自分なりのストーリーというか、1年間の物語を組立ながら絵を選べるところも、このカレンダーの楽しいところ。ストーリー通りの1年間になるかは、わからないけれど。

 

5月.<新>石井茂雄 《不安な都市シリーズ-共犯》国立国際美術館

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パッと晴れやかになったあと、いきなり精神が突っ走ってしまった感じでこれ。よくわからないエネルギーに満ちている。去年、石井茂雄の暴力シリーズなら戒厳状態も欲しい!と書いたんですが、それは追加されなかったけど、作品が追加されたのは嬉しい。しかし、ほんとうは、東京国立近代美術館に、中村宏とか山下菊二とか追加して欲しいのですよ。5月はメーデーもありますから、石井茂雄にしてみたのです。

 

6月.国立西洋美術館

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今回、選択できる作品が40くらい増えたなー、と思っていたら、西洋美術館が世界遺産になったので調子に乗ってしまったか、自分のところの建物の写真ばかり20枚近く選択肢に増やしていて、笑ってしまった。そんなにいらない。国立西洋美術館館内写真カレンダーが作れてしまう。いちおう、祝・世界遺産ということで、ご祝儀代わりに、国立西洋美術館が開館した6月に入れてみました。

 

7月.<新>ジョゼフ・ヴェルネ 《夏の夕べ、イタリア風景》国立西洋美術館

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海景図、風景図ばかり描き、その光や大気の表現は後の印象派の魁にもなった、18世紀の風景画家、ジョゼフ・ヴェルネ。ちょっと幻想的な夏の風景。あんまり印象派の絵とかばかり絵を選んでしまうと、いかにもな『名画カレンダー』風になって、せっかく自分で選ぶ価値はいずこに…となるんですけれども。これなんかは、少し怪しげなところもあって、いいかなと。もちろん、各位、好きな絵を各位選ぶのがいちばんですけどね。

 

8月.<新>和田三造《南風》東京国立近代美術館

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今年から加わったこれ、東京国立近代美術館のコレクションの中でも、かなり印象が強くて有名な作品ですよね。第一回文展で最高賞を受賞した作品。東京国立近代美術館のコレクションには、この和田三造が後に描いた『興亜曼荼羅』もある。亜細亜民族の協同(大東亜共栄圏)を訴えながらあきらかに欧州的な伝統的構図をとる異様な作品になっている。『南風』も、和田三造の経験を基にしながら、敢えてドラマチックな構図に描き出した、どこか不自然な作品。8月、夏、明るい海、そして敗戦。そんなチグハグな記憶のを繋ぎ合わせる作品を、この月に。 

 

9月.<新>福田平八郎《雨》東京国立近代美術館

 

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これも、東京国立近代美術館が所蔵する日本画の中で、とても好きな作品。屋根瓦に雨が降る様子を、スタイリッシュに描いている。わたしはモダン日本画で、本来、琳派以来の世界に通用する日本画というのはこういうものだったのではないか、と思うのですけれども(琳派に通じる福田平八郎という視点は、山下裕二先生がおっしゃってます)、日本画は別の方向に進んでいってしまうんですよね。そんなことを思いながら、長雨の9月に、これを。

 

10月.<新>徳岡神泉《刈田》東京国立近代美術館

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これも、9月の福田平八郎に通じる部分があるような、徳岡神泉の、刈り取られたあとの田んぼを描いた作品。とてもスタイリッシュ、かつ、幽玄。徳岡神泉は土田麦僊、竹内栖鳳に連なるような作家で、やはり私は京都の日本画が好きだな、と思う次第。10月の刈田に、この作品を。 

 

11月.マリー=ガブリエル・カペ《自画像》国立西洋美術館

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この絵、国立西洋美術館のコレクションでも目を惹く“美人”、絵葉書の売上げがとても良い作品だそうで。三菱一号館美術館高橋明也館長が西洋美術館にいたころに、強く主張して購入したものだそうです。とくに11月に選んだ理由は無いんですが、まあ、秋やからね…選んでみました。よくわからないけど。

 

12月.岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》東京国立近代美術館

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東京国立近代美術館のコレクションの中でも、特に代表的な作品。去年の12月は、松本竣介『Y市の橋』を入れて、横浜市民として過去の記憶と未来への思いを託してみましたが、今回は岸田劉生で。土手の向こうに見えるかもしれない世界に、来年への思いを託して、この土手を。 

 

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そんなわけで、来年のカレンダーの絵柄を一覧にしてみると、こんな感じ

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 来年のこの月はどんな自分になって何をしているか、そんなストーリーを思い浮かべながら、作品を選んでいく過程もなかなか楽しいカレンダー。

個人的には、やはり選択できる作品数は引き続きどんどん増やして欲しいのと、戦争記録画も選択できるようにしてほしい!という希望は相変わらずですが(まあ、ないだろうなあ)

 

12月18日(日)までに注文すればカレンダーは今年中に届きますので、ご注文の方はお早めに!