日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

大地の芸術祭2018を自転車で巡り『醸す森』へ

毎年行っている越後妻有、3年に1度の大地の芸術祭の季節がやってきた。もちろん、今年も行かねばならぬ。

大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレは、ご存じのとおり広大な里山に作品が点在しており、通常は車でまわるか、ツアーバスなどで回るか…ということになる。しかし、自分は車は運転しないし、ツアーバスで大勢でぞろぞろも嫌だし。なので、自転車を借りて廻ることが多かった 

 今回もわりと良い自転車を貸してくれるみたいだし、電動自転車を借りれば山のほうの作品にも気軽にアクセスできるのだが…。レンタサイクルにした場合、1日ごとのレンタルになるし、同じ場所に返さねばならぬ。それで行動がだいぶん制約される。

それならば…ということで、今回は輪行して行くことにした。これまで、飛行機輪行や 

船の輪行はしているものの 

新幹線での輪行ははじめて。飛行機や船よりは気軽なものなのであります。前日にさっぱり支度をしておらず、当日の5時頃から旅支度。自転車で桜木町の駅まででて、だいぶん年季が入ってきた輪行袋に詰め詰め

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6時1分の京浜東北線を東京まで乗り通し、7時の新幹線に乗る。越後湯沢までわずか1時間10分。自由席後ろの場所を確保できてらくらく輪行

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駅前でさっそく自転車を組み立てて

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さあ走り出しましょう。しばらく国道17号線を進み、左折して国道353号線に入ると、ゆるゆると坂道がはじまり

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カーブを描くかっこいいスノーシェードを見ながら、えっちらおっちら坂道を進む

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スノーシェードかっこいい…

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やはり体力が落ちており、そして9時前からだいぶん暑くなっていて、どこかに自動販売機は無いか…と思っても見当たらないまま、十二峠のトンネルを潜ってしまうと

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あとは下り主体だ

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開店したばかりの休憩所で、500mlのペットボトルの冷たい水があっという間に空く。なんと、水の美味いことよ…

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まず最初に、今回の新作の中でも注目されている清津峡渓谷トンネルに向かうのだけれど…

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なんだが、もう、自転車で走っているだけで楽しくなってきて。強い日差し、棚田、河岸段丘、スノーシェード、草いきれ、木陰に吹く風、山奥まで舗装された道、蝉しぐれ、自転車で汗だくで上って爽快に下る道、かまぼこ倉庫、コンクリートの擁壁、青空と白くふわふわの雲、高圧鉄塔、冷たい水、色付く稲穂、静かな古民家、スイカときゅうりとナス…あぁ、夏の妻有だなあ…。こういうのを隅々まで感じたくて、自分はわざわざ、自転車で来るのだな

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清津峡渓谷が近づくと、だいぶん前から車が渋滞している。なんだこれは…と思ったら

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なんと、作品が大人気過ぎて、9時半の段階からすでに駐車場待ちの渋滞が起きているのですね。これは自転車大勝利。ほかに勝てる場面があまりありませんが

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自転車を置いて向かった先の清津峡渓谷トンネル、この春にリニューアルされた、渓谷を眺めるためのトンネル。今回最初の作品なので、ここで3500円のパスポートを買って入場

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薄暗い道を700mほど先に進むと…

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こんな空間の

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さらに先に、渓谷を見通す空間が。渓谷の冷たい冷たい水を引き込んだ池にはだしを浸すことができる。そして、その水面と天井に映る渓谷がとても美しい…はずなのだけれど

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なかなか、人が多くてばちゃばちゃ歩くので、期待される景観はなかなか得られないのだった…

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しかしとにかく、今回の見どころの作品でありまして、もう少し空いている時間に来たいところですね

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トンネルを出た無料の足湯に浸かり

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渓谷沿いにあるお土産屋でひとやすみ

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さて、次の作品へ。駐車場待ちの渋滞はさらにひどくなっており、11時の時点で120台ほどの車が並んでいる。その行列に殿あたりに次の作品、N54 「うつすいえ」

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日差しの強い里と、日陰の屋内の対比がよく表現されている 

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ところでわたくしの自転車でありますが

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KhodaaBloomの「FARNA 700F」というフラットバーロードで、重量8.9kg、コンポはTiagraだけどブレーキだけ105の安心設計、25Cで走りやすさに特化、お値段10万以下と、輪行して1日100kmくらいまで気軽に乗り回すのに最適な子でありますよ

FARNA 700F|FARNA|自転車|コーダーブルーム

また自転車に乗り、次に向かう清津倉庫美術館

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ここ、磯辺行久の展覧会が行われており、磯辺行久は大地の芸術祭初期から、かつて流れていた信濃川の軌跡を辿ったりする作品を作っている人なのだが…

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そうだ、この人、このワッペンの人だよなぁ。それが、ランドスケープ系のひとになったのですね

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信濃川流域の地形に思いをはせながら先に進み…

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青木野枝の作品を見たりするのだが…

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しかし、それにしても暑い。自動販売機がどこかに無いか…と走ることとなり、そんな時に目に留まったのが

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冷やしスイカありますの字。もちろん、いただきます。

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ああ…生き返る…。先日、広州でも救われたスイカ。スイカ大好き。だいぶん元気が出て、ゆるゆるハシリながら、おなじみの『たくさんの失われた窓のために』は、吹き抜ける風と青空をいつまでも眺めていたくなる作品

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この家の作品も、18年前からあるのだな

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飯山線の沿線に出て、さて、昼飯。小規模なショッピングモールの中にある定食屋で食べたランチセットがすごいボリュームだったが

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ボリューム以外に特筆すべき点は無かったことは、まあ。ごはんを食べている最中、新潟で行方不明になっていた女性が十日町で遺体で発見されたニュースをやっていた。その林道、ここから2kmと離れていない場所だった

また走り出して、松之山方面に少し坂を上り、津南町内にある作品、磯辺行久『サイフォン導水管のモニュメント』と『土石流のモニュメント』

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自然の力、水や地震の力を、利用したり、破壊されたり、してきた歴史が作り出す景観。 土石流のモニュメントは、2011年3月12日、あの、東日本大震災の翌日の早朝にあった長野県北部地震、その時にがけ崩れが起きた場所。不思議な形の堰堤。ペーパークラフトまで作られていた

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もう少しがんばって坂道を登り、峠を越えると松之山に入る

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この赤い橋の先にある集落は、集落の人が名画なりきりコスプレ写真を展示していたなー、と思いつつ

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力強い看板に、おう…となった。さらに少し進み、左折して川を遡れば

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『最後の教室』妻有に来たら、ここは必ず来なければ夏が越せない、そういう、ボルタンスキーの作品。藁の匂い、心臓の鼓動、ゆらめく魂、そういうものをまた見ることが出来た

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なお、二階の新作は…涼しくてよかったですね…。どうも、ボルタンスキー、こないだの庭園美術館の作品あたりからいろいろ微妙な感じがするのだが…

そして、近所にある塩田千春の『家の記憶』は

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黒糸で呪縛されながら、まだ記憶の中ではないぞ!生きてるぞ!と言わんばかりに、時を経るごとに、凄みを増してませんか、この作品。けっこう怖いよ…

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お盆の妻有では、死者がすぐそこにいるような気がする。強烈な日差しと、一歩家の中に入れば薄暗い、そのコントラストが、人を危うい境界に連れて行くのだろうか

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『黎の家』の家財道具にも圧倒されつつ

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坂道をのぼっていくと、松之山の交差点に出る。この近所でも雪にまつわる作品があったりするのだが、なんだがだいぶん、活動限界感があってな…。自転車で巡っていると、作品を見ることもよりも先に進みたい…みたいのが優先してしまう場合があるのが欠点ではありますね…早々にお宿に向かう。

今回、三省ハウスに泊まろうと思っていたのだけれど、もう予約が一杯で、十日町市観光協会のサイトでみつけたところに予約したのだ。松之山の交差点からさらに100m以上登った先の、黒倉の集落、以前は「おふくろ館」という宿泊施設だったところがリニューアルされて

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醸す森、という宿泊施設

醸す森 [kamosu mori] – 新潟県十日町市松之山のバル&ホステル(バー/ランチ/ディナー/宿泊/ドミトリーなど)

いかにも地方創生意識高い系な雰囲気があってどうかなー、と思ったんだけれど

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リニューアルしたてで、ドミトリーのベッド周りや温泉も綺麗だし、眺めも良いし、静かでよいところ。Wi-Fiもあるね。温泉からの眺めもなかなか良い

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洗濯機あるなら乾燥機も欲しいとか、ドミトリーでも荷物置き場とか衣紋掛けとかもうすこし…とか、ドミトリーの大本の電源が切られると充電すらできなくなるのはどうなのか、とか、自販機が無いので夜に水が飲めなくて困る、とか(これ、2日後には水が用意されていたという情報が!)、ちょっと思うところもありましたが

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ここ、醸す森という名前の通り、日本酒やワインの品ぞろえがかなり良いようで、それに期待しつつ、風呂に入って汗を流し、着替えて、だんだん涼しくなってくる外でのんびり過ごしていたら(標高460mだから、わりと涼しくなる)

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さて、ごはんの時間。窓際の座席に通されて、なるほど、これは、窓のそとに夕焼けが。よい眺め。箸置きは、地元で採れる山椒の葉

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宿泊客向けのコースがですね、まず1品目から

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シャルキュトリー、妻有ポークのハムなど勿論なのだが、切り干し大根のピクルスとか、良くて、非常に美味い。なんかびっくりしてしまった。ビールを飲みほして

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これはワインか?ワインも品揃え良いぞ

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しかしやはり日本酒にしましょう。日本酒もよい品揃えだ

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高千代の愛山の純米吟醸頼んだらふしぎな形態でサーブされて、しかし美味いぞこれは

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続く、タコのカルパッチョもなかなかだし、そして妻有ポークの自家製ベーコンのサラダとか出て来て、これまた良い

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そして夕陽はいよいよ綺麗になってくる

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お酒は『あべ』のシルバーを追加で。さらに出てきた佐渡産黒豚のソテー、自家製みそやそのへんでとれた山椒、こりゃまた美味い…

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パンも出てきて、それも自家製で。なんだか、これで、1泊2食で8000円くらいで泊まれて良いのだろうか、という宿だ。自分のように、泊まるのは寝りゃれりゃいいや、飯を頼む、という人間にはドンピシャだ…。とりあえずのコースはここまでで、アラカルトのメニューが提示される

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なんか、いいですねえ、これは。ワインのみながらいつまでダラダラやりたくなるような素敵なメニュー。いや、いいですよここ。自分はフライドポテトにハイボールでゆるゆるやりましたが

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このフライドポテトについているのがマスカルポーネに地元産のはちみつで、芋!油!糖分!と、なんだか犯罪的なものなのだった

外は突然のどしゃぶりになり、そんなものも眺めつつ、夜はゆっくり過ぎて行く…と思いきや、疲れもあって早々に寝てしまったのだった…。もっと遅くまでダラダラ飲み続けたいところであった…

在華坊(@zaikabou)/2018年08月14日 - Twilog