日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

櫛野展正のアウトサイドジャパン展

金曜日、朝は横浜で仕事、昼から移動して九段下で打ち合わせ。その後、東京ドームシティへ

ぼくのかんがえたさいきょうのかいじんを描き続けてる人、根本敬の紀行に出てきがちな人、セルフ車掌氏、珍スポット的な資料館を作っちゃう人…日常生活のどこかで見掛け「そういう人」の箱に仕舞いあとは考察を巡らせてこなかった人。『櫛野展正のアウトサイドジャパン展』はそのパンドラの箱を開ける

そこに、ド派手成人式、バーのマスター、異様な収集癖のある人、帽子おじさん、オカンアート、近所の発明家おじさん…普通に付き合いはあるがちと変わった人だなという表現欲が、途切れることなくグラデーションを描いて迫ってくる。あなたはどこかに線を引けるのか?と。私達の感触を分かつものは何か

つまり、芸術としては顧みられることの無かった市井の表現欲を「所謂アールブリュット」も分け隔てなく含め大量に並べてみること。大量であるが故に、私達が無意識のうちに引いていた線が無効化され、地続きになり、人間の生の、そして自分の「表現欲」と裸で向き合うことになる、そういう展覧会だった

しかし…自分が学生時代に落語研究会で、変な古書店と付き合い、その後もブログやTwitterで自己顕示欲に塗れ、周囲も含めて表現欲の業に取り憑かれた人を数多く見てきたせいもあり、なんだか懐かしい同窓会のような気持ちで眺める展覧会であり、美術界への問題提起みたいな受け取りは出来ないのだった

入り口入ってすぐ、自分の考えた芸人のコンビ名、設定、ネタなどを1000組以上創造し続けてきた人が、その芸人の持ちネタや特徴について語る映像が流れていて、これが見事に、オタクの皆さんならよくご存知の「コミケのブースに来て一方的に捲し立てて語り何も買わずに去る人」のそれだったり…

とにかく、なんだか、懐かしいものをたくさん眺めるような展覧会だったのです

在華坊(@zaikabou)/2019年05月17日 - Twilog