日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

展覧会の情報収集は

http://blog.goo.ne.jp/pizz/e/640fc5a8be562d4909d0915d69c920e7
上記で情報源が網羅されていて、大変参考にさせていただいた。
最近は気になるイベントがあるとすべてblocに突っ込むようにしてます。blocの中では、「blocリンク」(お気に入り機能のようなもの)から情報を仕入れることが多いですね。特に、はてなでも書いているdigmさんのblocは、いつも情報が更新されていて、大変参考になります。
http://www.bloc.jp/digm/
私のblocは、メニューのところのblocから飛ぶことが出来ます。

拝啓、父上様

朝飯食いつつ、録画しておいたのを見た。おー、ちゃんとしたドラマじゃないですか。平日の夜に民放でやるとは思えないような。高島礼子がいい味出してたし、やっぱり八千草薫はいいですねえ。二宮和也の独白は相変わらず倉本聰であるけれど。エンディングテーマが森山良子ってのもいいですね。
道に迷った新人を探しに行くシーンで、神楽坂の路地をたっぷり見せてくれるのですが、そういうドラマの作り込みの仕方も安定していて、安心して楽しめそうなドラマ。期待が持てそう。

ART@AGNES 2007

6時起床。10時過ぎに出かけて、渋谷永田町経由で飯田橋へ。アグネス ホテル アンド アパートメンツ 東京へ向かう。

ホテルの客室をそのまま使い、現代美術のギャラリーが作品を出展するイベントが、今日明日で開かれるのであった。
http://www.artatagnes.com/
よく情報をしらべていなかったので、数部屋を使った小規模なものなのだろうかと思っていたのだが、現地に行って全室を使った大規模なものであることを知る。開始直後の11時30分に着いたのだが、すでにしてかなりの賑わい。なにしろホテルの客室であるから、大勢の人間が動くような動線があるわけではない。午後になったらさらに大変そうな雰囲気だった。
2Fから5Fにかけて31の客室に31ギャラリー。名前を聞いたことのある、あるいは訪ねたことのあるギャラリーばかり。まずは5Fから見ていった。どの客室も、部屋の壁、床、机の上はもとより、ベッドの上、引き出しの中、風呂場、あるいはベランダの外に至るまで、広くは無い空間を(それでも、割合客室の広いホテルではある)目一杯使って展示している。
5Fで目を惹くのがギャラリー小柳の内藤礼で、相変わらずひそやかな作品、というかここはギャラリーですと言われなければ、なんかゴミが落ちてるのかしらん、みたいな誤解をするだろう作品。西欧の人を思わせぶりに騙す悪い日本人っぽい。
成山画廊は一番大きい部屋を使っており、松井冬子のインタビュー映像を流していたりして、一番政治とお金の匂い…特に政治の匂いがする部屋となっていた(偏見です)。mori yu galleryの『パラモデル』の作品が、「沢田マンション」をモチーフにした作品など、ケンチクゲンバ的で面白かった。
4Fへはあまり興味を惹くものなし。3Fはyukari-art,inc.に淀川テクニックの作品あり。お風呂にゴミの匂いが…。施井泰平の、本の背表紙を並べたような作品が好きです。ここのギャラリーは若手の人の作品ばかりを扱ってるようで、ギャラリーの人も非常にフレンドリーだった。
東京画廊には、西澤千晴のチョコチョコと小さい人が蠢く作品がたくさん。エディション化して売るらしい。ここの画廊が商売上手そうですよね。ところで、画廊の人のblog、最近更新されないけどお元気でしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/BARNEY/
BOICE PLANNINGの部屋は、混雑していて、今回の作品の中で唯一見ることができなかった。何か映像のようだったけれど、何が見れたのでしょうか。
SCAI THE BATHHOUSEでは、宮島達男の作品、水の中にデジタル数字がゆらめく作品が綺麗。ボルタンスキーの蝋燭ゆらめく作品も良いし、今度個展をやるJeppe Heinという人の作品も、不思議面白い。全体として一番完成度の高い部屋になっていた。
2Fに下りて、hiromi yoshii。泉太郎と小金沢健人の映像作品が、ショートコントみたいな、非常に完成された作品になっていた。これは面白い。
そうそう、『ワラッテイイトモ、』のK.K.氏の作品が、水戸芸術館の『夏への扉』展に出るらしい。これは楽しみ。新作なのかな?
とにかく31もの代表的ギャラリーが集まっているので、これだけ幅広い作品を一同に見る機会はなかなか無く、明日お暇な方は是非訪れてみてはいかがでしょうか。ホテルの部屋で作品鑑賞という、不思議な体験もできますし。

銀座へ…

飯田橋の駅前で昼ごはん。『わがん』という店で、『健康美人丼』なるものを食う。とろろ、納豆、オクラ、海藻、きのこ、生卵、体に良さそうで美味い。飯田橋から有楽町線に乗り、有楽町。銀座方面に歩いて、メゾンエルメス8階のフォーラムで木村伊兵衛のパリの写真展。50年代のパリの街風景が美しい。このころのパリの若い女性の写真など見ますと、とっさに思い出すのが、ドイツ軍撤退後にパリ市民に糾弾される、ドイツ兵といい仲になってたパリジェンヌの皆さん、の映像なんですけれども。
メゾンエルメスって初めて行ったのですが、店内にいったん入らないとギャラリーに行けないのね。ちょっと気後れいたします。けれどもさすが、8階のギャラリーはレンゾ・ピアノ素敵空間。
銀座をぶらり。ブランドのビルとか、銀座は新しい建物がどんどんできる。今日見かけたのはこんなのとか

これはだいぶ前からあるかな

ギンザ・グラフィック・ギャラリーの展示も少し覗いてから、汐留方面へと足を進める。

本当に本当に大丈夫か、汐留イタリア街

さて、本誌はこれまで、汐留のイタリア街(チッタ・イタリア→ヴィータイタリア→コムーネ汐留)の悲劇的喜劇を度々お伝えしてきたわけだが
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20041206#1148628306
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20051228#1135756718
そのイタリアの街に、とうとう、中核となるような施設が12月に出来たよ、という話をききつけた
http://homepage2.nifty.com/comune-shiodome/home.htm
『汐留イタリア クリエイティブ・センター』『イタリアと日本を中心に、多様なジャンルの新しくかつ秀逸なデザインを紹介、その魅力をあますところなく皆様にお伝えすることを目的としたデザインセンターです。』だそうである。これは行かねば、というわけで、もっとも賑わいそうな土曜日にやってきたわけである。

ご覧のとおり。なかなかの賑わいである。目立つのは警備員と新聞片手のオッチャン。まあ、ようするに、場外馬券売り場に来るオッチャンくらいしか居ないわけですが。

これが場外馬券売り場。悪い冗談ではないらしい。何を考えているのか良くわからない。この建物をはじめとして、言っては悪いが若干ハリボテ的イタリア建築が並んでいて、そして場外馬券売り場以外は閑散としている。

新しく出来たばかりの『汐留イタリア クリエイティブ・センター』も、ご覧のとおりほとんど人がいない。

いない。
いないのは仕方が無い。オープニング企画と銘打って、『イタリアの真摯な先達と出会い、そしてイタリアデザインを知る三つの展覧会を開催!』とあるので、共通チケット1200円なりを払って見物してみることにする。チケット売り場、私と売り子のおねーさんしかいないのに、ものすごくただっぴろくて閑散としていて…寂しい。
『イタリアデザイン界のマエストリ達』。28人のデザイナーの象徴的な作品を展示、ということなのだが、私以外にお客さんがいない。展示のほうも、デザインされた家具などはちゃんと並んでいるのだが、展示の仕方が安っぽい見本市みたいで、興を削ぐ。『各巨匠達に捧げられた』というビデオを各デザイナーごとのコーナーで見ることができるのだが、どうも見せ方が親切じゃないんだよなあ。
もちろん、作品の数々は本物できちんとしていることは請け負っておく。ビデオのほうも、デザイナーがそれぞれ真摯に語っていて(ひとしきり語った後にトーキーみたいな字幕が出る構成の難はおくとして)、じっくり見たならば学ぶものは多い。流暢なイタリア語を聴いてるだけでも気持ち良いし(多分に私の趣味ですが)。
エットレ・ソットサス 定理に基づいたデザイン』ここも私以外誰もいない。エットレ・ソットサスのデザインした家具自体は仰天するような品々で(しかし、今の視点で見ると変なチープさもあるのだが…)楽しいのだが、とにかく展示空間が殺風景で、白い間仕切り壁の間を縫っていくと、なんの解説もなしに作品がポンポンポンと置いてある、という風情。
『再現・1960・ミラノ』1960年のミラノ・トリエンナーレで、日本は金賞を受賞している。その展示空間を再現しつつ、ミラノトリエンナーレを振り返る、という展示。再現された展示空間はモダンで素敵なものなのだが、建てられたばかりのビルのはずなのに、音楽流しているのがラジカセとか、なんか変。というか、壁が明らかに完成していないんですが。これで仕上がりでいいんですか?というようなむき出し。コンクリ打ちっぱなしってレベルじゃねーぞ、という。本当にまだ完成してないのかも。ただ、ミラノ・トリエンナーレの歴史を振り返るパネル展示は面白かった。
でねー、最後のパネル展示を見ていて思ったのだが、どうもイタリアのデザインというのは、コンセプトで突っ走っている、最先端を行ってあとから見てチープになるようなものでも平気で作る、一点豪華主義であとは知らない、バランスよりインパクト、みたいな印象を受けるんですよね。や、これは本当に素人の独断なんですが。それで、今回の三つの展示全体のよくわからなさも、そういうイタリア気質みたいなものを体現している、メタレベルでもイタリアを表現しているのではないかな、と思います。そう思って、アンケートにも『メタレベルでイタリアを体現していると感じました。大変味わい深かったです。』と書いてみました。
見終わって、なんだかどっと疲れたので、お茶をすることに。フェラリーニという店に入る。北イタリアの食材屋さんらしい。
http://www.ferrarini-ifp.jp/
店内、食材の売り場の奥にイートインスペースがあって、とても広くて居心地がいい。椅子も座り心地良い。高い天井、オープンカウンターにはハリボテのパルミジャーノ・レッジャーノとプロシュートがたくさんディスプレイされている。しかし、やはりここも閑散とした店内。
アフォガードとエスプレッソを注文。アフォガードは、ジェラートの盛りが良いのは結構なことであるけれど、盛りが良すぎるために、エスプレッソを掛けてもエスプレッソが冷えてしまう。ただのエスプレッソ味アイスクリームになってしまう。アフォガードって、こういうバランスで良いのだっけ?それでも、まあ、美味しくいただく。
店内見回すうちに好奇心の虫が辛抱堪らなくなり、メニューを再度貰って眺めるに、パルミジャーノ・レッジャーノ、プロシュート、オリーブオイル、パスタ、バルサミコ…ああ、じゅるじゅる、食欲をソソラレル、なんか食おう。パルミジャーノ・レッジャーノと熟成期間の違うバルサミコ3種類、という一皿を頼む。1200円なり。
出てきたのは、ちょっとびっくりするようなチーズの固まり、ドライフルーツ、クルミ、そして、見た目もそれぞれかなり違う9年、12年、25年のバルサミコ。25年物、後で売り場で見たら100ccで3万円近くするらしい。無骨なチーズの固まり、いやさ大層美味そうなのだが、若干どうしたものか困惑していたら『バケットお持ちしましょうか』と給仕さん。ご好意にすがる。
チーズやパンにつけて食べてみると、9年モノはまだ酸味が強い。もちろん美味いのだが。12年になると途端にトロリ、として甘さが際立つようになり、25年になると味に深みが加わり、曰く言いがたい幸せ広がる、という感じ。ワインも欲しくなる所だが、止まらなくなるので水で我慢しつつ、これまた美味いチーズとバルサミコを慈しむように味わう。
暫くすると、スーツ姿の女性…おそらく店の偉い人なのだろう…がやってきて、店内を見回している。天気の良い土曜の昼下がりだというのにこの人の入り。そりゃあ、居ても立ってもいられないでしょう…。やがて一人でチーズとバルサミコを貪る変な客(まあ、ちょっと尋常じゃないよね…)に話しかけてきた。
展示会にこられたのですか?と言うので感想などを話して、失礼とは思いつつも『それにしても空いていますね…』と言うと、『そうなんですよ…土日は閑散としてます。平日も夜になると人がいないし…。展示会は、1万人くらい(一ヶ月に、か?)は来るって聞いていたのに』。おそらく、街だか建物だかの計画者からは、『展示会に客が来るだろうからこの店にも人が来ますよ』みたいに言われていたのだろう。そのアテが見事に外れている、ドウシテクレヨウ…というオーラ全開であった。本当にどうしたもんだろうか。
食材コーナーを眺めるに、美味そうなものが一杯並んでいて、お店の人も親切に説明してくれるし、良いお店だと思う。チーズとハムが大好きな人は是非行かれたし。もう一軒あるカフェも、素敵な家具やインテリアに囲まれた雰囲気の良さそうなカフェだった。
それにしても、汐留イタリア街、どうなっちゃんだろうか。少しずつだらだらとオープンしているのもインパクトが無くて良くないのだと思うし、それどころではない問題もたくさん抱えているような気がするし。

六本木もぶらついて

馬券売り場帰りの人たちと同道して大門まで歩き、大江戸線で六本木。オープン迫る東京ミッドタウン

いよいよ来週オープン、楽しみですね、の国立新美術館

を眺めつつ路地をぶらぶらと歩き、六本木ヒルズの舟和でおみやげを買って帰宅した。