台湾の國立故宮博物院から、白菜をはじめとした至宝が来日していることが話題になっており、最大240分待ち!とか、キトラ古墳展や清明上河図を彷彿とさせる事態になっております。が、もうひとつ、台湾からお宝が大量に来日している展覧会があるのですよ…
現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展
展覧会情報現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより
『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』
台湾の企業、YAGEO、ヤゲオ・コーポレーションは1977年創立ですが、チップ抵抗器・セラミックコンデンサ・インダクタなどの世界的メーカーで、現在はグループの社員数は1万人、年商は1,000億円近く
YAGEO
Yageo - Wikipedia, the free encyclopedia
創業者にして会長兼CEOであるピエールT.M.チェン氏(Mr. Pierre Tie Min Chen)は大のアート好き、そのチェン氏と家族、会社からの寄付で設立された台湾ヤゲオ財団のコレクションは、世界でも有数のアートコレクションであるとのこと。
ゲルハルト・リヒター 《叔母マリアンネ》 1965年 ヤゲオ財団蔵 ©Gerhard Richter, 2014
展示作品の写真は、主催者より提供を受けたものです。会場内は撮影禁止です
そのコレクションはフランシス・ベーコン、ザオ・ウーキー、アンディ・ウォーホル、サイ・トゥオンブリー、ゲルハルト・リヒター、杉本博司、蔡國強、ロン・ミュエク、ピーター・ドイグ、マーク・クイン…などなど、現在の美術シーンも美術市場もリードする一線級のアーティストの、それも一級品の作品ばかり。なのでとにかくお値段がすごい。表参道の駅に『大抵の作品の評価額はあなたの生涯年収より高いです』とかなんとか書かれたポスターが掲示されていたのを見て、ホゲッ!っとなりましたよ…
トーマス・シュトゥルート 《トカマク型装置(Asdex Upgrade)の内部2、マックス・プランク・プラズマ物理研究所、ガーヒンク》 2009年 ヤゲオ財団蔵 ©Thomas Struth
今回の展覧会には約40作家、約75点の作品が展示されているのですが、もちろん作品も凄いのだけれど、ただだらだら並んでいるだけではない。コレクターの名前を冠した展覧会数あれど、美術品をコレクションすることの意味に、経済的側面からも含めてこんな真摯に向き合った展覧会は前代未聞なんじゃないでしょうか。
普通、展覧会では美術品の値段なんて大きく取り上げないものだけれど、今回はキャプションにおいても、そのアーティストの美術的な意味と並んで、美術市場的な意味についても詳しく触れられており、キャプションが非常に読み応えのあるものになっている。コレクターにしてみれば、お値段は極めて重要なファクターだものね。昨今ありがちな『○×が×△しており、△○が表現されています』みたいな、見ればわかるワイ…みたいなキャプションとは一線を画しておりますよ。
美術館がコレクションすることと個人コレクターがコレクションすることとの意味の違い…例えば、特定の美術館でのプロジェクトで作成された作品はその美術館以外では所蔵しにくいけれどコレクターなら…とか、おおっぴらには展示しにくい作品の所蔵先としてのコレクターとか、評価の定まっていない新進の作家をコレクターが支える意味とか、美術館とコレクターが両立して存在していることの意味、についても学ぶものがあります。
マーク・クイン 《ミニチュアのヴィーナス》 2008年 ヤゲオ財団蔵 ©Marc Quinn
ピエールT.M.チェン氏の場合、とにかくアート大好き!生活のどこにでもアートがほしい!という人なので、オフィスにも、台湾はじめあちこちにある邸宅(日本にもあるよ)にもとにかくアートが山盛り。お風呂にマン・レイがあったりね。会場ではオフィスや自宅の写真も何点か見ることができますが、垂涎モノでありますよ…。この転職サイトの、YAGEOのオフィスの写真とかちら見しても、アートが溢れておる…という感じが伝わってきます…
http://tenshoku.internetcom.jp/work/415997
展示会場の構成はアンディ・ウォーホルやマン・レイからはじまり、次のコーナーでは中国の近現代作家が続きますが、このあたりは、なるほど、美術品のお値段はその国の経済状態に支えられているのだなあ…みたいな、まあなんでそんなにお高いのかしら…みたいな感想に。そしてそのコーナーを抜けると、マーク・ロスコ!がどどーん、さらに杉本博司や
杉本博司 《最後の晩餐》 1999年 ヤゲオ財団蔵 ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
リヒターがずらりと並ぶお部屋、ここがほんとに圧巻。続いてザオ・ウーキーがずらっと並ぶ部屋、その奥にはアンドレアス・グルスキーの巨大パネル…と、息つく暇も与えない迫力。力と勢いのある作品ばかり。途中途中で『コレクター チャレンジ』というキャプションがついた作品が20点ほどあるのですが、これは、『50億円でこの中から5点、作品をコレクションしてみよう!』というゲームの対象作品。
会場を出たところで、小さな模型のおうちに、作品のミニチュアを並べると、評価額を算出してくれるのです
自分は高いだろうなあ…と思いつつ、マーク・ロスコを混ぜてしまいまいたが、この5点の合計、なんと75億円で、ご予算から25億円もオーバーしてしまいました…。いろいろ入れ替えて遊ぶと楽しい。とにかく、世界有数のコレクションを、美術品のコレクションとはなんだろう?といろいろ考えながら見ることができる、興味深い展覧会なのでした。
東京国立近代美術館にて、会期は2014年6月20日(金)〜8月24日(日)、開館時間は10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)で月曜日は休館です。会期中は各種イベントも予定されています。
http://www.momat.go.jp/Honkan/core/
この展覧会の招待券をペアで3組6名様にプレゼントします。7月2日(水)までに、zaikabou(アットマーク)gmail.com宛に、発送先の住所氏名を明記の上、メールでお申込みください。抽選のうえ、発送させていただきます。いただいた住所氏名は、チケット発送以外には使用しません。すぐに破棄いたします。ご不安な方は抽選後に発送先をやりとりさせていただきますので、応募のメールには住所など明記していただかなくても結構です。
応募については、この記事をブックマークしてチケットほしい!と書いていただいても結構です。その場合は住所氏名は勿論書かないでください(笑)。抽選後にidコールなどでご連絡します。ブックマークしただけだと応募とはみなしませんので、チケットほしい場合は、ほしいと明言していただくようにお願いします。
【7月3日 ※応募締め切りました※ メールで7名様、ブックマークで7名様からご応募ありました、ありがとうございました。本日中に当選の方にはご案内いたします】
【7月3日その2 抽選の結果、ブックマークいただいた id:asanomi7様、id:r-taro様、メールで、7月1日20:29にいただいた n様、7月1日21:41にいただいた m様 にプレゼントいたします】
なお、同時に開催されているコレクション展のほうも見所満載なので、こちらもお見逃しなく。
展覧会情報所蔵作品展 「MOMAT コレクション」
テーマは前回と同様『何かがおこってる:1923、1945、そして』であり…
東京国立近代美術館『映画をめぐる美術』『MOMAT コレクション』『地震のあとで―東北を思う3』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
軍艦島などの映像、動物となり組のアニメ、亀倉雄策のポスター『原子エネルギーを平和産業に!』『東京オリンピック』『札幌オリンピック』が並んでいたりするなどは
前回と一緒なのですが、かなり入れ替わっている作品もあります。
日本画のコーナーにも妙にかわいいものが多かったな
新収蔵、吉川霊華『離騒』なども見ものです
というわけで、コレクション展含めてどうぞ