日毎に敵と懶惰に戦う

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千葉市美術館『赤瀬川原平の芸術原論展』、川村記念美術館『五木田智央』

土曜日だけれど、朝もはよから起きて朝飯、8時過ぎにはお出かけ。横浜駅から8時39分の横須賀線に乗って千葉へ

千葉市美術館で『赤瀬川原平の芸術原論展』を見る
千葉市美術館
高校生のころにトマソン路上観察を知っていろいろと本も読み漁り、その後美術に限らず、関心領域にその名前がちらつかずにはおかない赤瀬川源平は、私の人生のいくらかを形成した人と行っても過言ではなく、展覧会を楽しみにしていたところの直前の訃報はかなりショックだった。で、その展覧会である。
まさに活動総覧といってよい、500点以上の大回顧展、最後の方はやや駆け足になったけれども、それでもも2時間近くかかった。
初期の絵画からはじまって、ネオ・ダダ、読売アンデパンダン、コラージュ、ハイレッド・センター、千円札裁判、草月とか各種コラボ、櫻画報、パロディ、漫画、新左翼応援的なもの、美学校トマソン路上観察、ライカ同盟、そして老人力、一昨年描いた作品まで、あらゆるものがある。ハイレッド・センターの個展案内文とか、千円札裁判の時の朝日新聞に出した抗議文とお返事(記者の字が汚くて読みにくいw)とか、首都圏清掃整理促進運動の参加呼びかけ文とか、1973年の事件人物を一枚にまとめたポスターとか、ガロに載った漫画とか、じっくり読んじゃうから時間かかる。そして面白い、ニヤニヤ笑いながら見てしまう。
赤瀬川原平は、戦後の美術と社会の関わりの変容を独自の視点から見つめ続けた人だな、と。だからこれは戦後美術史そのものの展覧会かもしれない。そして、赤瀬川原平って自分の筋はしっかり持ってるんだけど、展示解説文読んでても、それぞれのコーナーごとに取り組んでたものに急速に興味を失ってて、次へ、という感じで。常に独自の視点でその時々で、新しい、面白いことをし続けてきたひとなんだな、と改めて思った。

500ページくらいある分厚い図録も買ってしまった。2300円。図版も作品ほぼ網羅、しっかり沢山掲載されているし、山下裕二の解説からはじまって、巻末には『赤瀬川原平について-関係者の証言』という1ページのエッセイを17人が書いていて、メンバーが篠原有司男、中西夏之、谷川晃一、足立正生、杉本昌純(千円札裁判の弁護人)、林静一松田哲夫南伸坊、田中耕平、末井昭久住昌之荒俣宏秋山祐徳太子藤森照信坪内祐三、中村政人、山口晃というラインナップ。あらためて、かかわった領域の広さを思う。
昼飯、時間があまりないのでどうしよいか…と、目に留まったのがこの店

千葉市美術館の斜向かい、中華料理『宝家』で、もやしそば470円

店傾いてるし、中のレトロ具合も凄いし、大げさにいうと店の奥が煤けていて見通せないくらいの凄味があるし、厨房のおじさんは手が震えているし、大丈夫かしらん…と思ったけれど、あっさり醤油味の美味いラーメンだった。全体的にすごく安い。別のお客さんが食べてたチキンライス470円が気になった…。

急いで食べ終えて、千葉市美術館から川村記念美術館行きの無料バスに乗車する。この展覧会期間だけ土日祝に運航されているバス。川村記念美術館はとても遠いイメージがあるんだけれど、千葉市美術館から国道51号線で行くととても近いのね。乗客は4人しかいかなったけど…30分くらいで到着

久しぶりの川村記念美術館

企画展の五木田智央展
開催中の展覧会 | DIC川村記念美術館

これは撮影が自由だった。モノクロームの独特の筆致が特徴的な画面は、リズム感があって、じっくり見てるとなかなか、ハマる



小さな画面を組み合わせた作品、個別に見ているとかなり遊んでいて、楽しい


そして常設展

やっぱり、ここのコレクションは素晴らしいし、静かな環境でじっくり見られるのが良いなあ。贅沢ですよ。ロスコ・ルームで居眠りするの、好き。薄暗い空間で、眺めているうちにうつらうつらして、はっと目覚めると赤い壁面が迫ってくるような、なんとも言えない不思議なかんじが良い。日本画のコーナーにある、橋本関雪の木蘭、好き。あと、尾形光琳の屏風もいかにも琳派!って感じで。
売ってしまった『アンナの光』が展示されていたニューマン・ルームはしばらく閉めていたけれど、また開けていて、彫刻が2点だけ置かれていた。なんだかガランとして所在なさげだったけれど、窓の外の風景も含めて、よい部屋ですからね…『アンナの光』の、まさにそのために設計された部屋なんでしょうが、活用してほしいです。
13時50分の無料送迎バスでJR佐倉駅へ。14時14分の普通列車で千葉、14時40分の横須賀線に乗車、都内。その後、蕎麦屋で晩飯食ったりして、夜帰宅。ちょっと酒房ぴーに寄って

帰宅いたしました
在華坊(@zaikabou)/2014年11月08日 - Twilog