土曜日、午前中はゆるゆる過ごして、昼からお出掛け。
他の高級磁器のコピーからはじまり中国日本の影響が色濃いヘレンド窯の磁器は、よくよく見るとわりと適当だったり間が抜けていたりしてバラエティに富んでいて楽しい。この鳥はどうなの…?え、これ、猫…?
みたいのがいろいろあるぞ
他の産地の高い磁器セットの補充のために完コピー作りからはじめて、工場が放火で焼けたところから再興して火事の絵が入った皿を作ったり、不況の影響で一旦生産が止まったり、一時軍需工場になったり、ハンガリーがソ連邦になって共産主義宣伝画的な磁器を作っていたり、ヘレンド窯、なかなか波乱万丈なのだった。
ソヴィエト時代に作っていた磁器、戦勝10周年記念で作られた、工場とか描かれているティーセットが面白くて、こういうのもっと見せて!と思ったんですが、それだけだった…。カタログには、労働者をかたどった磁器人形もあったんですが。でも展覧会としては楽しくて良かったです。そして珍しくお客さんよく入ってました
銀座線で移動して三越前へ。三井記念美術館『国宝 雪松図と花鳥』を見る
雪松図屏風や卯花墻や、円山応挙作が沢山あるのも良いけど、応挙や若冲にも強い影響を与えたろう沈南蘋の花鳥画と、巻物に鳥達がずらりと描かれた渡辺始興の鳥類真写図巻がとても良く、じっくり。三井家の鳥好きぶりという切り口も興味深くて、よい展覧会でした。
それにしても…三井記念美術館、声の高いお年寄りが多くて、監視員や警備員に注意されている場面を何度も見かけた。作品の話をしていて自然に声が大きくなって…みたいのはもっと許容しても良いと思うんだけど、展示室内でまったく関係ない話を声高にするのは、ちょっとなぁ…。
向かいの木屋がセールをやっていたのでまな板を買い、東京駅まで歩いて、桜木町へ。横浜美術館に出る。本日は、パトロンプロジェクトというところの主催で
現在開催中の『石内都展』を見る会。展覧会自体は以前に一度見ているんですが
閉館後の美術館でゆっくり見られる機会ということで、行ってきた。以下、画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
最初は、横浜のアパート、遊郭を撮影したシリーズからはじまる。真金町、野毛町、平沼、永楽町…。どこかで見た風景をたくさんみつける。
懐かしい風景…じゃない、まだ横浜の生きている風景
KAATの隣にかつてあった互楽荘。
しかし、今でも米軍施設があり、黄金町の記憶が新しい横浜にとって、過去はすぐそこの地続き。
とにかく、横浜の関内関外を彷徨って暮らしている身にとって、横浜の部屋に並ぶ写真は身に迫る、すぐそこにある、剥き出しの、あぶない刑事でもいつも見ていた、横浜の世界
そしてみなさん、覚えてらっしゃいますか。わたしはひと目見て、はっとすぐに思い出した。
この展覧会、黄金町バザールでもっとも思い出深い、日ノ出町の竜宮の風呂場の写真があるのだ
常設展のスペースにある横須賀の写真と合わせて、横浜に住む身としては、見ておきたい展覧会。そしてもちろん、それだけでなく
その肌に直接触れていた布から、時を超えて、身につけていた人の息遣い、体温、痛み、想い、色々なものがギュッと塊になって押し寄せてくる。
確かに多く過去の記憶を呼び起こす写真だけれど、横浜にしても、絹にしても、傷痕にしても、フリーダ・カーロにしても、被爆者の遺品にしても、すべて現在との繋がりを強く意識する、そんな写真が並ぶ展覧会なのだった。
コレクション展のシュルレアリスムもものすごい充実ぶりなので、合わせてみること…いや、合わせてみると疲れちゃうから、2回見に来ることをお勧めしたい。
終了後、ぶらぶら歩き、日ノ出町の星々で久しぶりに麻婆豆腐を食べて、帰宅したのだった