日毎に敵と懶惰に戦う

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開館したばかりの国立現代美術館ソウル館、そして徳寿宮分館

韓国の国立現代美術館は、元から少し郊外のソウル大公園の中にあったのだけれど、都心部に新たに建設されたのが『国立現代美術館ソウル館』で、2013年11月13日にオープンしたばかり。

国立現代美術館 (韓国) - Wikipedia
景福宮のすぐ隣で民俗博物館の向かいにあり、オサレなカフェや雑貨屋が多い北韓文化村や、ギャラリーや古美術商がずらりと仁寺洞もすぐそばの便利な場所にあり、広大な敷地面積ながら低層で各方位に出入り口があるので、一種の文化ハブ的な立地、役割になっている。正面は最初の写真なんだけど、これは北側からのアプローチ

伝統と現代の共存、国立現代美術館ソウル館がオープン :: Korea.net : The official website of the Republic of Korea
元は軍施設や病院があった場所であり

病院の建物も一部活かした美術館は延床面積が52,125平方メートル。日本での類似の施設として思い浮かぶ東京都現代美術館が33,515平方メートルなので、アクセスが滅茶苦茶良いのに面積は1.5倍以上あり、さらにソウル大公園内に残る『果川館』はソウル館よりも展示面積は広いらしい。韓国は現代美術に力入れてるんだなー、と。
さらに、来年には地方に『清州館』もオープンするらしく。韓国は日本における東京集中以上にあらゆるものがソウルに集中している国であり
http://www.kankyo-u.ac.jp/f/innovation/torc_report/report17/17-seoul.pdf
文化施設もソウルへの集中度合いがすごいんだけど、地方にもいろいろ分散させていこうということなんだろうな。

美術館は地上への高さ制限がある代わりに地下の空間を広くとっており、地下から地上への吹き抜けをうまく利用して、天上高のある明るくて広大な空間を作り出している。



4,000ウォン払って入った内部の空間(入館料は展覧会によって変わるみたい)、中央には、ス・ドホの作品が。西洋建築の中に韓国の建築が作り出された作品。東京都現代美術館も一時期、常設の中央にス・ドホの作品がどーんとありましたね。



チェ・ウラムの作品は30分ごとに10分間動くしかけ。どうでもいいけど、韓国の美術館とか博物館、あたりかまわずあっちこっちで若いカップルがべたべたしている印象があるよね…


基本的にホワイトキューブの美術館なんだけれど、多様な空間構成を活かして、いろんなところで展示が展開されていた。




前庭では、若手建築家プロジェクトのコンペを通った構造物が展示中。子供が楽しそうに遊んでいる。


このプロジェクトについてのコンペ参加作品などを紹介する企画展示もあったな。


通常の展示スペースは1〜7まであり、その中の企画展示の2つの部屋以外はすべて撮影可能になっていた。

そのほか、スウェーデンの映画上映をやっていたり。ライブラリーも充実していたし、レクチャールームも非常に充実していて


ショップの品揃えなんかも含め、相当、本気を感じる、ここが文化の発信地であるぞ、と気合が貼っている美術館なのだった。

その後、徳寿宮の中にある、国立現代美術館の分館へも。宮殿の入場料1,000ウォンで入れるので、わりと人が入っていた。かつての宮殿の西洋館のひとつ。

2Fでコレクション展、1Fで個展を2つ開催中だった。ちょうど、今日から個展がスタートするところだったので、オープニングレセプションの最中。アルコールは出ないっぽいな。


JUNG,YUNG-YULの初期の抽象が良かった。常設は、社会問題に向き合うコーナーの作品が興味深かったな。


ソウル館と徳寿宮、そして今回は行かなかったけれど果川館の間には無料シャトルバスが運行されている。ソウル大公園までは地下鉄4号線が走っているんだけれど駅からも結構距離があるみたいなので、無料シャトルバスは便利でしょうね。そのあたりの情報も下記のサイトにあります
国立現代美術館 ソウル館|三清洞・ソウル北部(ソウル)の観光スポット|韓国旅行「コネスト」

ザハ・ハディド設計、ソウルの東大門デザインプラザがとんでもない


日本では2020年の東京オリンピックに向けて、新国立競技場の設計がザハ・ハディドに決まって以来、その『アンビルドの女王』と言われるとんでもない設計を巡って、激論が行われている。そんな中、お隣の韓国ソウルでは、ザハ・ハディドが設計した『東大門デザインプラザ』が完成、今年の3月21日にオープンした
東大門デザインプラザ(DDP)|東大門(ソウル)の観光スポット|韓国旅行「コネスト」
躯体が出来上がったのは2年くらい前らしく、実際にオープンするまでかなり時間を要し、当初予定よりも相当膨らんだ工賃、遺跡の発見などなど様々な議論を呼んでいるらしい
新国立競技場の設計者、ザハ・ハディド氏が韓国に造った建物もすごい
というわけで、ソウルに行くからには見にいかにゃなるまい、と行ってきた。地下鉄を東大門駅で降りると、すぐに東大門が見える(工事中で覆いがありましたが)

ほいでもって、そこから南のほうを見やれば、なにやら銀色の建物がすぐそこに

数分歩けばすぐに東大門デザインプラザ



建設中に朝鮮王朝時代の遺跡、水路の水門がみつかったとのことで、その遺跡も復元されている


とにかく、どこをみても直線が無い、曲線ばかりのデザインと、馬鹿でかさと、どこが何階だかよくわからない構造に圧倒されながら、ぐるぐる




出入り口はあちこちにあるんだけれど、外側から階段を上って、一番最上階までまずは行ってみることをお勧めする

ここから入ると、内部にはSF世界のような階段、そしてながーい白い通路があり、その通路沿いに、韓国人デザイナーのミュージアムや、韓国のデザインについての博物館が並んでいる





東大門デザインプラザの名前のとおり、ここはアジアの最先端デザイン発信地を目指して作られたところで、内部ではミュージアムのほか、コンベンションセンターやイベントスペース、ショップなどが点在している。しているんだけれど、とにかく構造がわけがわからないので、迷います…




あちらの出口、こちらの入口、出たり入ったりしていると、わけがわからなくなってくるのだった…。ちなみに行くときは東大門駅から歩いたけれど、地下で東大門歴史文化公園という駅ともつながっていて便利です




とにかく、これを作るのは大変だったろうなあ…というのと、これからメンテナンスしていくのが大変だろうなあ…という考えばかりが浮かぶ建物だったけれど、これがビルバオのあれみたいにお客を呼べるランドマークになるのであれば、お安いものなのかもしれない。今のソウルの街にはそれぐらいの熱気というか、気概があるということなんだろう。難しいことはともかく、馬鹿建築愛好家におかれては、ソウル近いのできれいなうちに見ておくべし!と思うのでした。内部をぐるぐる歩く分にはお金もかかりません

ソウル最終日、昌徳宮などへ

木曜日、長かったようでまことに短い韓国の旅も本日が最終日。ゆうべ肉を食いすぎたのであまり何か食べる…という気にもならず、チェックアウトして南大門方面をぶらぶら


会賢の駅から地下鉄に乗り、恵化の駅へ。このあたりはソウル大の病院などがある地域で、カフェみたいなものも結構あったのだけれど、なぜかマクドナルドで初デラックスブレックファーストの暴挙に…

これが5,200ウォン。まあ日本とほぼ同水準なんだけど、デフレ飯が溢れている日本と比べると、相対的に割安に感じるんだよね。お腹が満たされて(味も日本と一緒やね…)昌慶宮を見学。

文禄慶長の役で燃えて…という解説が多く、そのたびにすみませんすみませんという気持ちになるな…

宮殿の玉座の奥にかならず飾ってある絵、かならず赤と白の丸(太陽と月?)が描いてあるんですが、なんとなく、チープな感じが…

この昌慶宮から裏でつながっている昌徳宮へも。ここは世界遺産になってます。立派な建物は仁政殿。さすがに迫力がある


ここは楽善斎という奥がちょっと趣のある建物で、梨本宮方子さんも、晩年をここで過ごしたそうです


さて、昌徳宮の奥には秘苑という広大な、山をそのまま活かしたような庭があって、ここの見学はガイドツアーに参加が必要。日本語ツアーは10:30と16:30で、各回100人限定。秘苑の入口で整理券に引き換えて貰いました(宮殿共通10,000ウォンチケットを買っていたので、これで入れるのです)

このあたりはチャングムの撮影に使いましたとか

イサンの王様が作った図書館ですとか

これを作った19代目の王様のドラマがトンイ…とか

朝鮮王朝舞台にどんだけドラマ作ってるんだ…という感じなんだけれど、ツアー参加者も、みんな、韓国ドラマよく見てるようで、感心して聞いている。会話しているの聞いていると、徳川15代は言えなくても、朝鮮王朝27代は全部言えそうな人が結構おるなー、なんて思ったり。解説のガイドさんも、非常に日本語が堪能で、とっさの冗談とかも言えるような人だった


険しい山坂を上り下りした秘苑の一番奥には、王様が稲を育てる実習をしたという田んぼもあり。入口からここまで往復するのに普通に歩くだけで30分くらいかかるよ

宮殿内には、宮殿的なつくりの建物がほとんどだけれど、両班の屋敷を模した建物もあり。男性と女性のエリアが分かれているんですね


オンドルの部屋は床下から薪を入れて温めます。普通は薪なんだけど、宮殿の場合、彩色している建物が煤けないように炭を使ったそうで。現代はオンドルというとお湯ですね


ムクゲの花が咲きました

とにかく非常に広大で、昌徳宮は見ごたえのある場所なのだった。さすがに世界遺産

そうそう、敷地の外にマンション群が見えて

韓国はとにかく団地天国なんですが
@nifty:デイリーポータルZ:韓国は団地天国だった
このあたりから見えるのは、郊外には巨大な集合住宅ができあがる以前の、古くから中心部にある集合住宅なのかもしれないね。しっかり見学して、安国の駅の近くで昼飯。スンドウフチゲ美味しゅうございました

その後は国立現代美術館を見たけれど別の項目で。そして仁寺洞に並ぶギャラリーを眺めて


鐘路3街から地下鉄で東大門に出て東大門デザインプラザへ。それもまた別の項目で。東大門歴史文化公園から地下鉄に乗って市庁に出て徳寿宮の国立現代美術館分館を見て、ホテルに戻って預けていた荷物を受け取り一休み。
さて帰りましょう。市庁からまた地下鉄に乗って弘大入口、空港急行に乗って金浦空港に出てチェックインして荷物を預け、フードコートで晩飯はジャージャー麺5,000ウォン

それにしても、5日間で金浦空港から市内への往復含めて20回くらい電車に乗ったけど、公共交通機関に使った費用は2000円足らず。公共交通機関が安いって素晴らしい…。金浦空港は古いけど、まあ施設はお手軽で整ってる空港ですね、映画館もあったりしたな

そんなこんなで控えめな免税店を眺めて、帰りもアシアナ航空でわずか2時間ちょっとで羽田へ。福岡あたりに行くのと変わらない感覚だよなー。なかなか荷物が出てこなかったものの、無事に帰宅したのでした。楽しかった、気軽に行けるしまた来よう
在華坊(@zaikabou)/2014年08月14日 - Twilog