日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

ロンドンパリの旅4日目 切符を買わずにライへ向かうこと、ロンドンの中華街で食について考えること

旅の4日目、おはようございます。今日はちょっと郊外へ行こうと思う。とりあえずホテルのあさごはん。正体不明の機械、一昨日から気になっていたのだが

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セルフサーブパンケーキプレス…?OKボタンを押してみると、おお、機械内の左のほうにボタッと液が落ちてきて、ベルトコンベヤがゆっくりと右に動き

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パンケーキがぐにゃあ、と落ちてきたのでした。そんなわけであさごはん。パンケーキ以外にもこれだけ食べてます、毎朝食べすぎです。サラダにカッテージチーズを入れるの、なかなか良い

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ホテルを出て、地下鉄でセントパンクラス駅へ

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今日はサウスイースタン鉄道で南下するのだが、窓口や自動券売機がどこにあるのかよくわからない。2階に上がって改札前まで来ても券売機も無い。しかし、コンタクトレス決済でとりあえず乗れるようだ。えいやっ、とクレジットカードをタッチしたら入れてしまったので、そのまま乗ります

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で、乗車したのがsoutheastern high speed。当初は早いなー、と思いながら呑気に乗ってたんですが

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これ、普通に215km/hとか出てますね…。明らかに特急料金が必要な列車ですよね。少なくとも特急料金は別に払う必要があるよね…?どうしよう。どっかで清算すればいいか…と呑気に構えて、アシュフォード駅でローカル線にお乗り換え

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羊が見えるのんびりした丘陵地帯を走る

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で、検札の車掌氏が来たので、なんも知らんていでクレジットカードを見せたら、やはりいかんらしい。言うのをなんとか聞き取ると、要するに、これで乗れるのはロンドン都市圏だけなんだよ、とのこと。ですよね…

そんなわけで、車掌氏、ハンディターミナルから切符を発券してくれた。2人で£16.40

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見れば、さっき乗り換えたアシュフォードと、今日の目的地のライの間の、オフピーク往復チケット。セントパンクラスからアシュフォードの間のチケットはアシュフォードでなんとかしてね、ということだろう。よくわからん外国人に親切に対応していただき、ありがとうございます…。どこの国でも信頼できるのは国鉄職員なり。

いや、この車掌氏は上下分離のウワモノの人だろうから、国鉄職員ではないのかな(このあたり、イギリスの上下分離方式の仕組みがどうなっているのか、よくわからないのだけれど)

ともかく切符も手に入れたので堂々とライの駅で下車

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ライはちょっと郊外の田舎町で、こじんまりとしていて昔の雰囲気が残っていると最近人気で、日本人向けのガイドブックにも時々乗っている。

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しかし、やはり、かなり観光地化されていて、ほんとの田舎がお望みなら拍子抜けかもしれない。

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とは言え、なかなか散歩するのは楽しい。そして観光してるのはイギリス人でも老夫妻とかが多い。

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町中から少し離れると、ロードサイド感がある住宅が並んでいて、興味深くちょっと覗いたりしてしまう。歩いていると道から普通に見える感じでリビングで過ごしているな。あまりカーテン閉めたりしないのかな

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町の真ん中に教会があり、その中へ

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ちょっと寄付すると塔に登れるようになっており、この塔からの眺めがとても良かった。古い建物の屋根の連なりの向こうに牧草地が見えていて

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おなかが減ったので、Cobbles tea room というところでアフタヌーンティー

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小さな雰囲気の良いティーハウス。

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粉が押し寄せてきて、特別特徴が強いわけでは無いが、なんか英国が迫ってくるサンドイッチ、スコーン、ハンドメイドケーキに、ホテルのそれとは違うお茶の時間が過ごせて満足

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とにかく、粉。リーブはブロークン、ミルクたっぷり入れて飲んでね、という感じですね。

アンティークショップも目当てだったんだけれど、火曜日は閉まっている店も多い。しかしいずれにしてもお土産色が強く、いかにもアンティークショップらしいところは少ない。少し街から離れて、羊を見ながら散歩。それもまたよし

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鉄道の踏切があって、そこの前になにやら貼られている

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TALK TO US If things are getting to you イギリスの『命の電話』なのだろうか、と思って調べたら、世界で最初のそういう組織らしい。if things are getting to you って、なんか詩的だな

駅に戻る途中、最後に除いた店がなかなか良いアンティークショップで、ティーカップなど少し惹かれるものはあったけど、買わず。しかし見られて満足です。またライから列車に乗ってアシュフォードへ。

改札氏に、コンタクトレスで乗ってしまったのだ、と伝えると、改札出てすぐの緑の窓口(ではないですが)に行け、ということで。窓口氏に事情を話して(どの程度正確に伝わっているか不明だが)切符を発券してもらった

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ロンドンのターミナルからアシュフォードまで、ハイスピードにも乗れる往復チケット。スーパーオフピーク価格で£34.30。おそらく、一番安く買えるパターンなのでは。なんか、英語も拙い旅行者にありがとうございます…

アシュフォードからまた速い列車に乗る。このサウスイースタンハイスピード、220km/h出るけど座席指定無しでリクライニングもしない車両で、城際列車味がある。列車はセントパンクラスへ。ちなみにサウスイースタンハイスピードで南下するには、ロンドンのターミナルはセントパンクラス以外にもあるみたいですね

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駅のスーパーやドラッグストアなどでお買い物。M&S(マークスアンドスペンサー)の酒売り場が楽しい。

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ビール缶のデザインが素敵なものばかりだし、オリジナルのカクテルシリーズが素敵。いくつか購入。

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地下鉄で移動して、デパートのフォートナム&メイソンを覗く。1階の売り場はほぼお茶とジャムと…という感じだけれど、食品の品揃えが良くて、ハロッズよりこっちのほうが面白い。マーマーレードがいろんな種類があって、買いこみたくなる。瓶なので重いけれど

2階にアンティークのティーカップコーナーがあり、お値段もおおむね妥当な金額で、さんざん悩み、また明日も来ましょう、ということになる。

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その後、ピカデリーサーカスをぶらぶら

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で、晩御飯である。悩ましい。いろいろ思案した挙句、中華街に行くか…?ということになった。ロンドンは欧州でも最大の中華街があるのですよ

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春節を控えた中華街はとても賑やかで、法輪功が活動していたり

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中華食材の店に入っても中国語ばかり聞こえてきて、匂いも親しみを持てるそれで

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ああ、なんだか地元に帰ってきたみたい!というお気持ちに。異国で祖国の風にあたって安心する体験をしてしまった。いや、中国は私の祖国ではないのですが。でもとっても落ち着くわー。

晩飯は中華料理を食べるために、いろんな店をのぞく。大抵の店には、メニューが表に貼られている。そもそもロンドンの飲食店、店の前に値段がわかりやすく明示してあるところが多い。

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しかし、見ていくと気が付くのだが、メニューがよくわからないロンドンっ子のためにだろう、どの店にもセットメニューがあるのだ。他は漢字併記なのに、英語でしか書かれないセットメニュー

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その意味するところは何なのか。我々はその謎を解くため、一軒の店に入る。もちろん、店のマダムは中国語で歓迎してくれる。すみません日本人です。

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日本で外食をよくする人はご存じだと思うが、中華やエスニックの店で、日本語で書かれたメニューの中に、日本語での表記が無く、現地の言葉でしか書かれないメニューというのが時々ある。これはジャパナイズされない現地の味ということで、むしろ喜んで頼みたくなるのだ

では、ロンドンの中華のセットメニューはどういう意味か。まさに逆なのですね。漢字読める人間は頼むなよ?という、ロンドナイズされた中華なのだ。薄々察した我々は、ここは絶対、セットメニューにすべきだと。ロンドンの中華とは何なのか、調べる必要がある。

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1品目のスープは、冷凍ワンタンを入れた鳥粉と塩味だけの家庭の味的スープで、まぁ店で出すレベルじゃないけどこんなもんか…しょっぱいだけ嬉しい…と思ってちょっと油断していたら、2品目から怪しくなってきた。

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フライした鶏肉の破片のようなものが、北京ダックのテイで出てくるのだ。なんなんだこれは。ちゃんと皮に挟んで食べたが、なんというか、味気ない…

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続いての続いての豚肉の甘酢、甘すぎる。甘いといいう目的を過不足なく達成した味

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さらに怒涛のように。野菜炒めは味が無い。無いのだ。鶏肉の豆豉炒めは何がどうおかしいか表現しずらいが、何かがおかしい。最後の卵炒飯に至っては、炊いた飯に油をまとわせただけの謎飯で、そもそも炒飯とは言えない。いちばんつらかった。

どれもこれも、本格中華の光明が刺す以前の日本の家庭の中華から、味の素の力と料理に対する基本リテラシーを差っ引いたような味がする。いや、日本人だと入れるであろう醤油が入ってないのが大きいのかな。とにかく味が平板で、奥行きが皆無なのだ。満腹が近づくと、中華なのにイギリスの飯を食べてる感覚そのままに…。

お断りしておきたいのだが、おそらくどの店も旨いものも作れるはずなのだ。隣で飯を食っていた中国人は単品でわりと美味しそうなものを食べていたし、ある程度弁えたイギリス人でも、このセットメニューは頼まないのだ。このセットメニューは、イギリス人としても中華がよくわからん人が頼んでしまうメニューなのだ。

はじめから負けに来た勝負とは言え、なかなか厳しいものを感じつつ、しかし、いい経験をさせてもらった…と店を出たのだった。お値段は2人で£37、日本円で5000円ちょっと。ロンドンで、腹いっぱい、いろんなものが出てきたにしては安いね…

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ちゃんとした中華を頼むとどうなるかも試してみたいし、一方でイタリアンやインドははじめからちゃんとしたものを受容している風であるし、そもそもイギリス料理ってどういうものなのかも含めて、1週間に満たない滞在では、やはり触れられるのはほんの一端でしか無いのだ

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楽しい体験を終えた我々はホテルに戻ったのでした

在華坊(@zaikabou)/2020年01月21日 - Twilog