日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

杉本博司 時間の終わり

日比谷公園を出て、千代田線で乃木坂まで。六本木トンネルをくぐり、歩いて六本木ヒルズ。昼飯にTeでバジルのパスタ。んー、相変わらず微妙。

荷物が重いので100円のコインロッカーに荷物を預けて、森美術館へ。杉本博司「時間の終わり」展である。いや、凄い。凄いよこれ。私、失礼ながら杉本博司を知らなかったのだが、写真の可能性をこういう風に追求している芸術家がいるのか、とまず感動した。写真ってすごいんだ。
現実を写し取っているもののはずなのに、光と影、ピント、露光時間、さまざまなことをとことんまで突き止めていくと、現実なのか虚構なのか、そもそも現実を模倣した写真以外の方法による虚構が、写真に写し取られることによって現実と虚構を曖昧にされていたり。
最後、建築物を「焦点距離を無限の2倍にして」(この意味自体よくわからないけど)撮影した、ものすごいボケボケの写真があるのだが。てっきり、「模型を写したけど本物みたいでしょ」という作品かとおもってしまったのだ。いやさ、私の読解力の無さ底の浅さを笑わば笑え、って話なんだが、それだけ私の中で、現実と虚構が混乱していたのだ。なんと言うのだろ、静溢なんだけど、物凄い躍動感に溢れているというのか。んー、自分の陳腐な語彙が情けない。
例えば、三十三間堂の観音様。7年間交渉して撮影の許可を貰って、近世以降の装飾を一切排して、人工の光もまったく排して、朝の自然光のなかで輝く仏様を撮影。しかし、写真はその当時には絶対になかったのだ。ではその拘りの末に撮影されたものとはなんなんだろう。「写真に撮られた時点で現実ではなく虚構だ」というある意味での基本テーゼをひねらせてねじらせていったところ、突き詰めたところで現れてくるなんだか良くわからないもの。
とにかく、会場の作り、見せ方のこだわりが半端じゃないし、自然光を取り込んでいて、森美術館ってこういう使い方もできるんだ、という発見があったり、何度見てもその度に驚きと発見がありそうな素敵展覧会。いやあ、オススメですよこれは。
展望台からミッドタウンプロジェクトの進捗などを眺めてから、52階のミュージアムショップによって、横浜トリエンナーレのスタンプラリーの台帳を貰った。
http://www.yokohama2005.jp/jp/stamp.php
5つ集めると、Tシャツがもらえるそうな。ほとんど行く予定の展覧会ばかりなので、これも楽しみにしてみよう。スタンプ台帳自体もなかなか素敵な作り出し、スタンプもかわいい。