日毎に敵と懶惰に戦う

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国立西洋美術館『クラーナハ展』萌え絵師売り絵師のクラーナハに現代との繋がりを見るのこと

日曜日、午前中はテレビ見てお茶など飲んでのんびりして、洗濯槽のクリーニングなどもしまして、昼過ぎにお出かけ。今日も良い天気。御徒町で降りてお昼ご飯

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南インド料理の老舗、アーンドラ・キッチンですね。こちらで、休日メニューのスペシャミールスいただきました。

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お皿が多くて嬉しい。カレーはどれもよい具合のスパイスの利き具合で、パスティマライスとサンバルとラッサムはおかわり自由。この、ラッサムがですね、よい酸味で、どのカレーと合わせてごはんと混ぜ混ぜしても美味しくて、幸せでしたわー

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しかしこう、いろいろ食べてくると、どれもそれぞれに美味しいんだけど、巣鴨のお店はもう一度行きたくなるなー、また行こう。夜に行こう。 

混雑するアメ横をぶらぶら歩いてお散歩。アメ横、台湾屋台飯を出す店が何軒かあるけど、そういうとことに外国人観光客(特に中韓台の人)がいると、わざわざ日本で入らなくても良いのでは…という気持ちになるな。

上野のおやまにのぼり、国立西洋美術館へ。世界遺産の指定以来、混んでますなー。いままでは人気のある企画展は混んでいたけど常設はガラガラだったのが、常設が混んでいるのよね、最近

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ル・コルビュジエの設計と言っても、コルビュジエはちゃちゃっとスケッチ書いたくらいで、ほとんど前川國男、坂倉準三、吉阪隆正の仕事だろ!と言われれば、まあそうなんですけども。

敗戦後、美術館作らないと松方コレクションは返してあげないよー、とフランスに言われて、建築家の選定にあたってもフランスの影響がなんらかあったでしょうし、それでル・コルビュジエ(スイス産まれ、フランスで活動)が選ばれたんでしょうから、まあ、胸を張ってコルビュジエの作品です!と言ってもいいのではないか…とも、思うのでした。

さて、本日のお目当てはクラーナハである

クラーナハ展-500年度の誘惑』を見るために、地階の企画展スペースへ。これが、空いている。クラーナハの知名度は確かにそれほど高くないだろうし、そもそも近年、西洋美術の展覧会はあまり混まなくなっていますからね。落ち着いて見られるのはいいけどね。

クラーナハザクセン選帝侯フリードリヒ3世の宮廷画家であり、ルターの肖像画でも有名な人。展覧会の最初のほうでは、そのあたりの皆さんの肖像画が沢山並ぶのだけれど、これが一見して特長的というか、こんなにカッコヨクなく顔を描いてしまって大丈夫なのか、みたいなのが並ぶ。そして子供を描いてもさっぱりかわいくない。早熟なブッタみたいなのばっかり。や、ま、子供と言っても、キリストとか天使であるので、早熟で間違っていないのだが…

そしてその後に裸婦がたくさん続くわけですが、これがですね、西洋美術において宗教画という建前で好きなものを描くというのはみなさんご存知の通りで、創作におけるこのような姿勢は抗日モノという建前で創作意欲が爆発した好き勝手な映画を作りまくるちょっと前の中国まで変わらないわけですが、クラーナハはそのあたりが極端である。つやつやした肌で、薄布をまとっていたり、被服のヒダの書き込みがかえって官能性を協調しているような、萌え絵師もかくや!というできばえ。

そして解説も奮っていて、要約すると

『これは〇〇というテーマですが、要するにえっちな画です』『なるほど』
『これは△△というテーマですが、要するにえっちな画です』『はい』
『これは××というテーマですが、要するにえっちな…』『もうわかったわ!』

という…。主題はともかく官能的なのを描きたかったんだよ!ということを大声で叫んでいるような、たいへん親切な解説が並んでいて、笑ってしまうのです。

クラーナハさん、たいへんに商売上手で、工房を抱えて、同じような人気のあるモチーフで絵をたくさん描きまくっていて、パーツ単位の順列組み合わせで絵を量産していたり、現代の売り絵師、萌え絵師の真っ青を商魂を発揮してるのですね。そういうクラーナハの側面を、今回の展覧会においては現代美術も大量動員して強調している。

パズーキは、世界中の複製画の半数以上を作成しているという中国の大芬油画村の画家100人に、クラーナハの官能的な裸体画『正義の寓意』を模写させるというインスタレーションを行なっていて、美術品における大量生産という問題を浮かび上がらせている。今回の展覧会、その作成された複製を、壁一面にズラッと並べており、たいへんインパクトがある。

このズラッとならぶインパクトで一発殴ってから、理屈で内臓から抉りにくるような、そういうことをする展覧会でありまして。

ともかく、萌え絵師で売り絵師のクラーナハに、現代との繋がりをいろいろと見ることができる、なかなか稀有な展覧会なのです。実物を見なければ実感できないそのつやつやな質感含めて、是非現物を見ていただきたい展覧会なのでした。 

すっかり満足して美術館を出る。東京国立博物館にもちょっと言って、鍋島の器を見たり。 17時をまわるとすっかり夜の帳が下りて、桜を模したイルミネーションを見ながら上野広小路方面へ

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御徒町から電車で帰宅。近所のスーパーで牛肉がたいへんお安くなっていたので、ほんじつはすき焼きにしたのでした

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はい、おやすみなさい

在華坊(@zaikabou)/2016年11月13日 - Twilog