香港最終日、朝から強い雨。雨音を聞きながらホテルのベッドでごろごろしているだけの海外旅行も良い…ような気もするが、いかんせん、セッカチで貧乏性なもので、いろいろ行きたくなってしまう。ということで、今日も朝からお出かけ。チェックアウトは一旦、ホテルに戻ってきてからにしよう。
まずは朝ごはん。上環周辺には朝から飲茶できる店もたくさんあり、ガイドブックに載っているお店もたくさんあるけれど、本日の店はここ。
Twitterで人のつぶやきを見て、よさそうだな、と思ったところ
朝は安いと聞いていたからやってきたけれど、結構立派な店構え。
エレベーターで3階にあがると、広い空間に丸テーブルがたくさん並んでおり、いずれの席も相席して大賑わいになっている。月曜日の8時過ぎからなかなかすごい。ある程度の年配の人が多いようだ。
相席するにしてもなかなか空きが見つからなかったんだけれど、60手前くらいのご夫婦がいるテーブルに空きスペースがあった…けれども椅子がない。座りたいぞ、という意思を店員さんに示していたら、椅子を並べてくれた。
飲茶の店は最初のお茶の注文がややハードルが高い。お茶を何にするかと問われるけれどメニューがあるわけでもなく、なんか知っているお茶を適当に言うことになるわけですが、同じテーブルのご夫妻がプーアルだったので、同じので、ということで。
で、さて、ごはんである。ご飯の注文は簡単、お茶が運ばれてくるのを待つ間に、テーブルに置いてある紙にチェックをつければよい。2つでいくらとか、単品でいくらとか、お値段が明朗なのは有難いんだけれど、やっぱり香港、上海や台湾に比べて、メニューがわからん…。漢字で書いてあるけど、イマイチ読解できる気がしない。
なんとかかんとか、2人で6品選んでおねえさんに紙を渡し、待つこと暫し。その間、周囲に運ばれてくるものが気になり、あれは何だろう…美味しそう…頼めばよかった…しかし何が何かわからないので頼みようが無い…なんて。
で、運ばれてきたお粥がまず美味い。そして、向かいの人が頼んでいて気になったものが自分のところにも来た。豆がいろいろ入った甘い粽みたいなものだ。
お店はお客さんが入れ替わりたちかわり。9時近くになると、少し落ち着いてくるかな
腸粉は、蒸したタイプと焼いたタイプ(蒸してから焼くのかな?)が来て、どっちも美味いぞ。メニューをよくわからずに頼むと同じようなものが来たりするけど、それもまた楽しみ。腸粉がかぶってしまった状態
そして3つの宝が載ったシュウマイ、これもよい…。にくだんごもうまい…
目の前のご夫婦は仲睦まじく新聞のクロスワードパズルをやっている。
お値段が手ごろで、何を食べても美味しくて、お値段も安いので、これは当りのお店だ。賑わっているのもわかる。夜は結構よいお値段がする店のようなので、朝の飲茶で来ることをオススメしておきます。
腹がくちくなって、外に出ると、相変わらずの雨
トラムは渋滞している
マカオ行きのフェリーが出るターミナルへ。またマカオに行くわけではなく、ターミナルビルの中の店でお土産の買い物。それから、上環の市場へ。街市というな、香港の市場は。あちこちに街市があるけれど、上環のそれはかなり大きいほうで、階別に売っているものが分かれている。イラストがかわいい
街市の上階には食堂もあって、ここでごはんを食べるのも楽しそうなのだった
出てから、夜に空港に向かうバスの乗り場を確認。皇后街というバス停。ホテルから歩いて5分とかからない場所だった、これは便利。40HKドルを残しておかないとね。
次は西營盤に向かうのだけれど、通り道だったのでホテルに荷物だけ置いて、またすぐにお出かけ。さて、西營盤である。
少し前まで、香港島の西側としては、地下鉄は上環が終点だったんだけれど、それが延伸された1つめの駅が西營盤。大きな市場があり、下町な雰囲気で、だけどお洒落な店もいろいろある面白い場所。上環から西營盤に向かう道自体も、ツバメの巣とか、漢方を扱う店が並んできて、見ているだけで楽しい。漢方の店も猫を飼っているところが多いのね、鼠除けかな。西營盤は道路にも街市がはみ出している
そしてもちろん、大きなビルの中にも、お店が密集している。街市は見ているだけで楽しい
この西營盤でジャンを買ったり、お菓子を買ったり。どちらを向いても高層マンションと坂道、アクセントの効いた香港の街並み
で、さて、今回の旅でライチと龍眼は街ので買って食べたのだけれど、それらと一緒に並んでいることが多い気になるものがあり。それがこれだった
街市で買ってホテルに戻り、さっそく食べてみる。中身はぶどうみたいな見た目と食感だけれど
ぶどうともまた違う、甘酸っぱいと同時に薬っぽい味もする。教えてもらったのだが、これは黄皮というのだという。種がピスタチオみたいな色合いだな
実はこれ以外にも、やはりライチなどと並んで売れていることがある、小さいじゃがいもみたいなものも気になっていて。それは食べなかったな。食べておくんだった。
お部屋で黄皮も食べたら、そろそろ12時、チェックアウトしなきゃいけない時間だ。お土産をスーツケースに詰めて、荷物をホテルに預けて、さてお出かけしましょう。雨は引き続き降りしきる。トラムに乗って
あの有名な団地がある場所に行きたいのだけれど、それはトラムの電停(って表現で合っているだろうか)でいうと、83Eの柏架山道まで乗らないといけない。しかし、トラムは、遠くまで行っても、その手前の北角まで行くのしか来ない。乗り換える必要があるのかな…と、とりあえず北角行きに乗りまして
街を眺めながらのトラムの旅。天井が開いているのは、観光用のトラムだね。あれはあれで楽しそうだけれど、普通に運行するトラムにぼんやり乗っているほうが好きかな
一昨日の灣仔も過ぎて、北角へ。トラムが入りこむ狭い道沿いに街市がある素敵な路地を抜けて、トラムを乗り換える。結構混んでいて、2階ではなくて1階にのったなりですぐに到着、柏架山道。ま、どこに停まっているかはよくわからないので、GPSとにらめっこしながらアタリをつけて降りるわけですが。で、いきなり目の前に、どーん
壁か。なんだこれは。いくつかの団地が複雑に絡んでいるから、これの名前は何か、というのはなかなか判別つかないのだが、とにかく降りればすぐにわかるのである。そして中庭に入っていくと、どどーん
一面の団地…すごい。そこらじゅうに写真撮影している人がいる。雨の月曜日の昼下がりでこれだから、晴れた土日なんかすごいことになっているんだろうな
とはいえ、最初に入りこんだところは三方が団地で、もう一方は開いている。よく見る写真だと四方全部団地のはずだが…。GPSを見ても、言わば『日』の字の右の棒が抜けたような団地配列で、四方は囲まれてないはずなんですよ。
でも念のため、ともう一方の中庭のほうに入ると、なるほど。抜けている側に大きなマンションが別に建っていて、こうなるのだ。パノラマどーん!
ちょっとズルな感じはするけど、四方全部団地!かっちょいい
ぽけーっとして、空をずっと見上げていた。この団地、入っているお店もなかなか渋くて良いし、なんかタイ人コミュニティがあるのか、タイ料理屋が多かった
道路を挟んだ反対側に渡っても、どこを見てもマンションと団地だらけである
たまらん。ずいぶんと堪能いたしました。ありがとうございます。さて、みるだけもなんですから、ここで昼ご飯を済ませて行きましょう。通り沿いに賑わっている店があったので
入って、肉入りの麺をいただきます。地元の人で賑わっている店は、間違ったものは出さない
店から出てからも、目についた店でエッグタルトを買ってみたり、マンゴー餅?求肥の中にマンゴーの切り身を入れたような不思議な、しかし美味しいものを買い食いしたりしつつ、地下鉄に乗って金鐘まで。丘の上にある香港公園までビルの中の通路を抜けて、相変わらずの大雨の中、茶具文物館へ
建物の前では、大きな宜興紫砂のオブジェがおでむかえ
茶具文物館、入館は無料。1階のお茶の歴史や宜興紫砂壺の展示、工夫茶の解説動画(英語だけで、広東語も北京語もない)はなかなか充実していて面白い。だけど、2階に新しい茶器コンテストの入選作が並んでいるのは、初訪問で見てもな…という感じがしましたです。
しかして、それほど期待していなかったんだけれど、ここのショップが相当充実していたのである。茶器の品ぞろえがなかなかのもので、深圳や広州の茶葉市場あたりから仕入れてくるのだろうか。お値段も、香港のほかで買うより手頃。ついカッとなってしまい、景徳鎮の小ぶりな蓋碗を買ってしまった。いい買い物でした。
大雨は降りやまず。トラムに乗ってまた移動
灣仔で降りて、『金鳳茶餐廳』に駆け込むころには、いよいよ雨は本ぶり、土砂降りの勢い
そしてメニューは相変わらず難しい。別の中華圏と別のリテラシーがいる…
このお店が特に美味しいよ、という、パイナップルパンとエバミルク入り紅茶の定番メニュー。確かに美味い
近所のおっちゃんおばちゃんがふらっとやってきて、甘いもの食べて、おしゃべりして帰っていく。そんな、昔ながらの店。雰囲気がとても良い
雨宿りしていたかったけれど、何時までも止む気配が無いので、そろそろ腰をあげよう。雨に濡れる香港の街は、サイバーパンクの世界に足を踏み入れてしまいそう
三聯書店というオシャレ書店でいろいろと本を物色。日本の歴史の本が、なぜか表紙が山口晃画伯だった
本を眺めていると、台湾と香港の両方で出版している本がかなり多いんですね。台湾で出して香港でも売っている、ということなのかな。両方の値段が書いてあるんだけれど、台湾ドルに比べて香港ドルのほうが、3割くらい、お値段が高い
また出て、すぐ隣の有名な亀ゼリーの店へ。ここのははじめからカップ入りだ。味は良いけど
亀ゼリーなんて、お年寄りの食べ物か…と思っていたけれど、この店には子供向けの亀ゼリーもある。そして、そのあたりで働いているような若いお嬢さんが仕事上がりに亀ゼリー屋に入ってきて、亀ゼリーを食べているうちに友達が来て、待ち合わせて去っていく…なんて光景を目にした。亀ゼリーは、そういう、日常的な食べ物なんですなあ。
さてどうしよう、概ね、目的も達した。まだ空港に向かうまでは少し時間がある。ちょっとはアートも、ということにして。香港藝術中心へ。その道すがら、ちょうど会社帰りの時間で、地下鉄の駅に向かう遊歩道などは大混雑している。道路も大渋滞
その間を縫って香港藝術中心にたどり着く。大雨警報が出ている看板が出ている
香港、アートフェアが大々的に行われたりしているわりに、美術館はそれほど充実していない。その代わり、街場にギャラリーがたくさんあり、どこも賑わっている。ここ、香港藝術中心も美術館というよりも、劇場とギャラリーが組み合わさったような施設。で、美大の卒展みたいなものをやっていた
かなり広いスペースで
まとまってはいるけど、あんまり勢いのある感じではなかったかな…たまたま、見たのがそうだった、のかもしれませんが。香港でアートを楽しもう、というのは、旅行者の立場だとちょっとハードルが高いのかもしれない。
その後はなぜか、雨の中を、屋根のある陸橋をつたったりしながら、ひたすら歩き。空を見上げ
空港快速の香港駅につながるショッピングセンターでは、チームラボの作品があった
子供向けの、自分で絵を描いた乗り物が画面の中を他の乗り物と一緒に走るよ、的な作品らしいけど。
閑散としており…まあ平日の夜ですからね。そんなこんなを眺めたり、また買い物を少ししたりしてホテルに戻ったのが20時半ごろ。荷物を受け取ってバス乗り場へ。雨はまったく弱まらず、バス停が近くてまだ助かった
空港に向かうバスはA11だけれど、なかなか来ない。途中でE11というバスが来て、これは少し安い値段で空港に行ってくれるらしく、そちらに乗る人も大勢いたけれど。停留所にたくさん止まるんですね。だからA11のバスを根気強く待つことにしたら、20分ほど待ってやってきた。
ところでここで豆知識ですが、オクトパスカード、残高がデポジット分に食い込んでも使えるんですね。50ドルのデポジットのうち、35ドルまで食い込むことができる。ただし、一旦マイナスになるとチャージするまで使えなくなりますが。帰国時の最後のバスとかで、この食い込み分を使うというのは良いアイデアかもです。
バスは渋滞も無く、上環から32分で空港に到着。空港快速の半額以下で、そもそもの乗車時間自体もほとんど変わらず、上環からの時間は圧倒的に早い。すばらしい
帰りもJALなんだけれど、コードシェア便で、機材はキャセイパシフィック。荷物を一旦整理してからキャセイの窓口で預けて、出国審査を済ませ、空港内へ。キャセイの窓口からここまで15分くらいである、早い。まだフライトまで3時間もあるぞ。
とにかく広い香港国際空港ですが
3時間、行く当てもなくふらふら、というわけではない。行く場所があるのだ。ターミナル内の電車に乗って
やってきたのは、キャセイパシフィックのラウンジ、ザ・ピア。香港国際空港内にはキャセイのラウンジがいくつもあるんですが、ここは去年新装オープンしたばかりで評判が良いそうなので
で、はいってみたら、なるほどである。とにかく広い、質感が良い
食べ物のコーナー、バーのコーナー、ヌードルのコーナー…飲食が充実しすぎである。セルフサービスじゃなくて、ちゃんとカクテルとか暖かいヌードルとか、作ってくれるのです
お茶のコーナーでは、茶葉が各種用意してあって、お姉さんが淹れてくれる…
なにこれすごい、ずっといられる。というわけで、遅いばんごはんを
アルコールから、ノンアルコールカクテルなんかも充実していて、素晴らしい…。キャセイパシフィック特製のこの緑の何か、美味しい
ごくらくごくらく。シャワーもあるので浴びてみたら、立派な個室がたくさん並んでいて、アメニティはイソップであった
ちょっと時間に余裕を見てき過ぎたかな、と思ったけれど、これはゆっくりできる。今回の深夜便の選択、まるまる遊んでからラウンジも堪能できるよい選択だったやもしれぬ。
で、空港到着時には不明だった帰国便のゲートが明らかになり、1km以上離れていることがわかったので、少し早めに出まして。もう、シャワーも浴びたから、身も心も軽く
無事に搭乗し、もう、お腹もいっぱいだから、すぐに寝るのでした…さようなら、香港…