最近、自分の中で南インドブームと並んで現地系中華料理ムーブメントが来ておりまして、いろいろ楽しんでいるわけなんですが
この池袋の『火焔山』が西川口にある店の分店である、と知ったあたりからいろいろ調べて行くと、西川口に現地系の中華料理のお店が各種できており、盛り上がっているらしい、という話が聞こえてきた。
そういうわけで、現地に足を延ばしたわけです。西川口駅を降りてまず最初は、駅ビル、ビーンズの中に入っている中華惣菜店
いきなり、中華圏の朝食の定番、豆漿と油条を売る店が現れる。そしてよく売れて繁盛しているみたい。これ以外にも、横浜橋商店街でよく見るような、ガチ系中華総菜も売られている。
この軼菁亭、吉祥寺にある軼菁飯店の出店みたいなのだが、元の店はごく普通の日本的な中華料理店なので、この西川口に限っての進化らしい。イートインスペースではおばちゃんが巨大な油条をちぎって豆漿に漬けて食べており、本寸法だ…。
西口を降りてまず目に着くのが、このドリンクスタンド
街角小桟(マチカドショウコ)という名前の店、どっからどう見ても、中華圏の現地感たっぷりのドリンクスタンドである。店内のも溢れる現地感
タピオカミルクティーとかだけでなく、芋圓とか、焼き物とか、ガチな代物がいろいろ売られている。ちなみに、芋圓はイマイチです
そしてお客さんはみな、中国語を話す若者たちで、ドリンク片手におしゃべりして寛いでいるのである。なんかすごいことになっているぞ。
そして西口には、様々な中華料理屋の多いこと。そしてすべてから、ガチな香りがする。
メニューが日本人に何かを伝えようという意思をすでに放棄している
街を歩けばすぐに麻辣湯の店にあたるところ、日本にほかにどこがあろうか。池袋北口くらいか。しかし池袋以上に、生活に密着している感じがある
このビルは1階から3階まで間違いない香り。そして1階に入っている『周黒鴨』は…
中国では何百店舗もある、アヒルの首、水かき、口ばし、鎖骨の肉などをピリ辛に揚げたスナックを出すお店…なんですが、どうやら西川口の店は本土の店舗とはなんにも関係が無いらしい
中国全土で3000店舗!湖北省武漢の周黒鴨 VS 湖南省長沙の絶味鴨脖
同じように、こういう、鶏肉の部位を出すお店が西川口にもあるぞ、『麻辣鴨脖』こっちも美味そうですね…
道を歩いていれば、いくらでもこういう店舗にぶつかるのです。この『橋頭私家菜』は、2階に中華ネットカフェがあるのもポイント高い
お店のメニュー眺めているだけで楽しいなあ
もちろん、飲食店だけでなく、食材店舗もある。この店はバンコクストアとあるのだが、扱っているものはほとんど中華系食材だった。街の外国人勢力図が変遷したのだな、と推察できる
ほかのお店も覗いても、池袋にもあるようなタイプでしょ?と言うなかれ
水槽があって淡水魚がたくさん泳いでいたり、店内にチェアが置いてあって店員さんがラジオ聞いたりスマホいじりながら寛いでいる様子が、現地感を醸し出しているのである。
西口の密集地帯を少し離れて住宅街のほうに向かうと、現れるお店、『滕記熟食坊』は、このあたりのお店では老舗らしい。味坊鉄鍋荘で食べられそうなものを、さらっと揃えてるな
で、このお店のあたりにもいろいろ密集していて、池袋の火焔山の元の店舗もあったり。
そして、スーパーの中にも。イトーヨーカドー系のザ・プライス西川口店の一階にあるイートインコーナーなんですが、一見、普通の中華料理屋かな、と思うと
この吉時餃子がですね、メニューをよくよく見ると、東北特色砂鍋米線とあるぞ。日本で普通に食える場所があったのか!と思うようなものが、さらっとスーパーのイートインにある恐ろしさ…。このお店、よくよく見ると魅力的な手書きの張り紙がたくさん並んでおり、厨房で仕事している中国人シェフが、フリーダムにメニュー開発している様子がありありとうかがえるのである。西川口、凄い。
さて、本日の目当てのお店はこちら
『ザムザムの泉』は先月オープンしたばかりのハラール蘭州料理の店。こじんまりとした店舗ながらどれも大変丁寧に作られた本格派の蘭州料理が出てきた。
まだ試行錯誤中で、メニューは全部出てくるのではなく、日によってこの中からどれかが食べられるみたい。この日は3,7,8,9です、ということで、全部頼んでみた。
まず出てきたこの焼きそばが美味しい。そしてそれよりも臊子麺が野菜たっぷりの優しい味で美味しかった。
蘭州牛肉麺は月末から提供するということで、また食べに行かねばなりませんね。
あと、水餃子もいいけど、特に手工河州包子が面白い
人参と牛肉が入った昔ながらの蘭州の味
ニラと卵が入った最近の流行りの蘭州の味
どちらも未体験の味で楽しい。香醋も自家製ラー油も、何につけても美味い。仕事ぶりが丁寧過ぎて、大丈夫か不安になるくらいの店ですが、ぜひ、我が道を進んで欲しいですね。
すっかり満腹になって、またぶらぶら。駅前まで戻ってきて、不動産屋の看板を見ると、外国籍OK物件がいちばん目立つ場所に掲示されている
別の店では、ご予約の方いらっしゃいませ、の看板に、実にバラエティに富んだアイデンティティの人の名前が並んでいる。より中国の人向けに特化した不動産屋などもあるらしい。
このような店舗は主に西口に集中しているのだが、東口を出ても、駅前に素敵な点心の店があったり
中華食材の店は、一見、池袋とか大久保とか中華街にもある普通な感じかな、と思いきや
店内で惣菜を作って量り売りをしており、現地感がだいぶん違うのだった。そして生活への密着感。そう、西川口の様相は、これまでの中華街に比べてさらに、人々が定着してそこで普通に暮らしを営んでいる、感があるのですね。観光化されない中華街化。中華圏の生活が、活きている
風俗が一掃されたのちも家賃が安かったところに集ってきたり、隣の蕨の団地が中華系コミュニティになっていたり、いろんな要因があって現状のようになっているみたい。とにかく、今の西川口、そしてさらに変化するであろう西川口、これは今後の日本社会にとって注目すべき存在であろうし、とにかくいろんな飯が食えることが嬉しいので、一度は訪れることをお勧めしたい。
Twitterで呟いたら妙に反応が良く、いろいろまとめられていた。ほかのひとのコメントなども、別の視点から参考になると思います。
すっかり満足して西川口をあとにして、今日はさっぱり歩いていないので歩かねば…ということで、有楽町からぶらぶら
歩いて歩いて、外苑前まで。
南青山『白白庵』茶器作家の展覧会「煎茶上等」明日まで。本日のワークショップ『日本酒と煎茶の器くらべ』に参加したら、日本酒佐々木達郎、静岡茶石橋章子、器が新見麻沙子と角居康宏、それぞれ本人から解説聴きながら、良い器で良い酒と良い茶を堪能するという、とんでもなく贅沢なイベントだった。
たっぷりの煎茶を角居さんの器で抽す出汁みたいなアミノ酸爆弾しずく茶に驚き、
厳選された日本酒の旨味を素晴らしい器で味わい、お茶はお浸しになってツマミになり、
最後には幻のお茶「やまかい」を日本酒「姿」に浸し、新見さんの窯変天目な器で飲む。こんな贅沢して良いのかしら
とにかく幸せな時間だったのです
幸せな気分で横浜に戻り、流浪ぴーで少し過ごして、帰宅したのでした