日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

国立新美術館『20世紀美術探検』

7時起床。9時過ぎに出掛けて、美容院へ。適当にばっさりとやってもらい、さっぱりする。そのまま東横線に乗り、渋谷から銀座線、千代田線と乗り換えて乃木坂駅乃木坂駅から国立新美術館へは、専用の出口があるのであった(上の写真)
月曜日に一度訪れたこの美術館ではあるけれど、仕事の合間のドタバタであったので、じっくり見るのは今日がはじめて。先日は『大味な…』と言ったが、やはりスケール感があって開放的で悪くは無い。



ごった返す、というほどではないが、それなりの人出。しかし、3階のレストランは昼時ということもあって長蛇の列で、ありつくまで大変そうだった。このレストランは夜10時までやっており、7時半以降は予約も受け付けるらしい。値段もそれほど高くないので、平日の夜など、良いかも知れぬ。
さて、『20世紀美術探検』である。開館記念展ということで、大規模な…いやおまえ、大規模すぎるだろ、という展覧会。会場の入り口でマップをくれるのだが、作品を少し見始めた後でマップを開いてみて、その規模の大きさにずっこける。
そして見ていくうちに…最初は『良くもこれだけ集めたものだ』と感心しつつ呆然とし、そのうち『集めりゃいいってもんじゃねーぞ』と腹立たしくも悪態をつきたくなり、もうしばらく見ていくと『沢山並べるという事の、数の価値というものも、あるのかもしれない…』と諦め、いや、自分に言い聞かせる。そんな展覧会。
徹底して『物』『物質』に拘ったそのラインナップは、静物画とそのバリエーション、オブジェなどからはじまり、もはや自分が何を見たか思い出せないほどの、氾濫としか言いようの無い、まさに『物質世界を生きる』我々を自覚せざるを得ない展示となっている。疲れる。またメタ言及か。そんなにメタ好きか。メタって言ってりゃいいと思ってないか自分(すみません、ちょっと疲れてます)。
レディメイドもお腹一杯、ゲップが出るほどで、部屋を遷るごとにテーマはあるのだが、同じ人の同じような作品が反復して並べられていたりして、さながら分類学の迷路に迷い込んだよう。選定された作品は本当に諸々雑多で、楽しみ方によっては実に面白い美術展ではあると思った。
そうそう、以前、竹中工務店のギャラリーで見た『第三インターナショナルのモニュメント』のCG再現映像、なんてものもあった。
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060204#1139065531
最後にある田中功起はとても良いので、ここまでで疲れて走り去ることなく、ゆっくり眺めましょう。
それから、1つ気になった点を。絵画を吊るす為のレールが白い壁に走っており、なんだか興ざめ、というか、全体、展示方法に工夫が見られない。展示されている作品のクオリティは高いのに、展示空間の構成が、田舎の公民館並じゃないか、と思った。特に第1部。
これ以外に、無料の企画展示が2つ。
『日本の表現力』は、文化庁メディア芸術祭関連の企画展。以前言及した、『日本のメディア芸術100選』関連ですね
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20061031#1162270337
無料なので、大変に混雑していた。アート/エンタ/アニメ/マンガとあり、各年代ごとに陳列されているのだが、やはりアニメとテレビゲームばかりが目立っていた。アートの展示は肩身が狭そう。マンガは、代表的作品が1ページだけ紹介されているのだが、ドラゴンボールは『クリリンのことかーっ!』だった。そういうもんなのか。後半のメディアアートは、ICCで見たことがあるようなヤツが沢山。
黒川紀章展』は、これまでの作品の紹介なのだが、黒川先生、!を多用した文章がエキセントリックね。展示全体が、なんだかとても血圧が高かった。そのわりに、後半の『キーワードライヴ』の部分が脱力系。バランスを取ったのだろうか。
全体、キュレーターの人、これから頑張ろうね、と言いたくなる国立新美術館なのであった。地下の売店は悪く無かったよ。

横浜へ

国立新美術館を出て、ミッドタウン方面へ。坂道を上って、六本木へ。チュングエンコーヒーでフォーでも食べようと思ったのだが、違う店に変わってしまっていた。折角なのでその『Rバーガー』なる店に入り、肉まんの皮様の不思議なパンズに八丁味噌味の豚肉が入った不思議な食べ物を食べた。まあ、悪くは無い。
六本木駅から地下鉄に乗り、中目黒乗換え、日本大通りまで。

ZAIMサポーターズ・スクール『アートと市民をつなぐ市民メディアの役割』

横浜スタジアムのすぐ側に、『ZAIM』という建物。かつては関東財務局だった建物なのだが、現在、2年間限定で、次回の横浜トリエンナーレ2008に向けた準備施設となっている。
ここの建物で今日行われるイベントが『ZAIMサポーターズ・スクール』というもので、横浜トリエンナーレ2008に向けて、ボランティアの育成をしたり、アートと市民の関わりを考えたりする場になっている。
2005年のトリエンナーレ以降、勉強会をしたり、青森に合宿に行ったりしていたらしいのだが、第7回目の今回、興味を持って参加してみることにした。
http://www.ycan.jp/archives/2007/01/7_zaim.html
今回は『市民メディア』がテーマと言うことで、ポッドキャスティングで実況しながら。ギャラリー情報の冊子を作っている人、2005年のときに、ポッドキャスティングでアーティストのインタビューをしていた人、ヨコハマシティアートニュースという、トリエンナーレミニコミ誌を作っている人。実際にアートに関わるメディア活動をしている人の話を聞く。
メディア、媒体の意味、伝えるということ、伝えたいこと、伝える必要のあること、アートとメディアをめぐる広範な話題について言及されていて、非常に興味深かった。全般に渡って深く掘り下げられたわけではないけれども、やはり経験している人の話は重みがあるし、いろんな考えるヒント、きっかけを得ることができたように思う。面白かった。皆さん、自分のやっていること、その影響に対して、凄く自覚的。想像以上に。
ただ、やっぱり、こういう活動に関わっている人は、横浜に行ったり取手に行ったり妻有に行ったり…と、同じ人がぐるぐると狭い世界で廻っているのかもしれない、という印象はちょっと持った(いや、勿論、それぞれの地域に根付いた地元の人達はいるわけだけれど)。どんな芸術も、量が質を支える部分があるわけで、耳目を引くような花火はもっと上げるべきだと、自分は思う。
アートに関わる市民メディアってのは、美術館の外にそれぞれの美術展をキュレーションしているようなものなのかも、しれない。自分は、こういう、適当なブログを更新しているだけだけれども、いろんな人に興味を持って美術館に足を運んでもらえたらな、とちょっとは思っているわけです。もう少し、積極的にいろいろ関わってみてもいいのかもなあ。
会場を後にして、電車で戻り、近所の酒屋に寄って帰宅。