日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

文藝春秋12月号

渡邉恒雄独占手記」、本屋でざっと立ち読みしたが、改めて読むため駅で購入。ついでに読んだ「大会議中国爆発」(すごいタイトルだね、どうも)が面白い。
出席者は石川好(作家・新日中友好二十一世紀委員会委員)、津上俊哉(東亜キャピタル社長・中西輝政京都大学教授)、上村幸治毎日新聞中国総局長)、富坂聰(ジャーナリスト)、藤野文晤(藤野中国研究所所長・元伊藤忠中国総代表)の皆さん。
以下敬称略で。中西は予想通り、藤野は笑っちゃうほど中華万歳、石川と津上は比較的冷静に分析、富坂は事実整理に終始、という中で、上村が面白い。毎日新聞中国総局長なんて聞くと、9割方の人は中国寄り発言を期待するだろうが、主な発言を拾ってみると
「アジア諸国といいますが、靖国参拝を問題にしているのは、中国と韓国と北朝鮮です。」
「(靖国参拝を受けての対応は)私は、江沢民がカードの切り方を間違えたと思います。」
「一連の反日事件をみていて強く感じるのは、中国当局の情報操作ですね。たとえばサッカー騒動のあとには、中国の新聞や外交官が出てきて、「靖国問題国民感情が傷ついたから、こうした事件が起きた」と”解説”するわけです。しかし、ブーイング事件の様子を見ても、「尖閣を返せ」という横断幕は目にするけれど、靖国なんて誰も言っていない。さらにおかしいのは、いまだに中国の幹部がわれわれ日本人記者を呼んで、「日中友好の妨げになるようなことは書くべきではない」とお説教する。サッカー騒動でも、「日本のメディアが誇張して書いた。あなたたちが煽るから、こんなことになった」というようなことを平気で言う。文革時代に「『林彪が失脚した』とは書くな」と命じたセンスと、根本では変わっていません。」
「中国の反日感情をけしからんと言っていてもはじまりません。むしろ必要なのは、中国の「反日」の実態、背景についての徹底的な分析と研究でしょう‥」
などと、極めて冷静な発言。確かに朝日新聞と違って、文革の時には毎日も、他の新聞と一緒に中国から追い出されてます。でも、普段の論調からすると結構びっくりした。あるいは、私が毎日の論調を勝手に決め付けているだけなのかも。
全体の論調としては、(中西と藤野はおいといて)色々問題はあるけどそれでも中国は不可欠なので、得したり損したりしながら付き合っていくしかないという内容。そりゃそうですね。対談としてはみんな言いたい事を言っているだけであんまり面白くない。
ナベツネ独白は必読です。