日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

十和田市現代美術館

3日間ほど、東北を旅してこようと思う。行き先はどこでも良かったのだけれど、十和田市現代美術館が開館したので、ここを訪問すること、および、昔行って大変感銘を受けた、鉛温泉を再訪することを柱にして。あとは適当にやろうと思う。前日までに、三沢空港までの特割航空券と、八戸と鉛温泉の宿泊だけ確保しておいた。
6時起床。あわわ、いきなり変な時間。目覚ましかけないから…。前日までに支度を整えておいたので10分で出かけて、横浜からバスに乗り、臨海部の光景に萌え萌えしながら羽田空港着。混雑するゲートを抜けて、ラウンジでパンと牛乳とトマトジュースとコーヒーで朝飯。この時しか役に立たないゴールドカード。
三沢行きはJALのMD81で、バスで乗り場まで移動したのだけれど、乗り込んでみてびっくり!アテンダントのうち2人、JALらしからぬ若くて清楚な美人、それも相当な美人…。もう1人は新人さんっぽかったけれど、若干垢抜けない印象があるが、これまたアテンダントの人らしからぬ好印象な美人さん。なんでこんなローカル線に、こんな美人さんばっかり!三沢便は旧JASの運行だったので、それが影響しているのかなんなのか。
東北の山々を眼下に見下ろし、太平洋に少し出たと思ううち、基地の中に居心地悪そうに間借りしている三沢空港に到着。羽田4便を維持するための署名活動をしている出口のゲートを抜けて、バスに乗って三沢駅、レトロで味わい深いこの駅からは、十和田観光鉄道の人となる。車両は旧東急の7000系

単線を30分弱走り、十和田市の駅。うーん…なんか寂しい駅だなあ…。駅で蕎麦を食べて、ここから20分ほど歩くと、十和田市官庁街通りの真ん中に、4月26日にオープンしたばかりの十和田市現代美術館がある。

この美術館も、やはり、寂れてしまった十和田市の再生のために作られたわけで。この美術館がある『官庁街通り』という通り一帯を、アートによるまちづくりで盛り上げるための『Arts Towada』という企画の目玉なわけですね。でねー、この目抜き通り。日本の道百選にも選ばれている、大変キレイに整備された道なのだけれど、キレイすぎるんだね。商店が何にも無くて、官庁がずらーっと並んでいるだけ。桜の並木はあるんだけれど。だから、魅力という言葉の解釈次第だけれど、私からしてみりゃ魅力の欠片もないわけです。なんか方策があるとすれば、たとえば横浜の日本大通りみたいにカフェの社会実験とかそういう方向もあるんだろうけれど、ここの街みたいな人口密度では成功しないでしょう、多分。
だからまあ、方向性として、アートというのはアリかなー。とは思う。ただ、今の段階ではなんとも言えませんね。この美術館以外、見るところは何もないから。これまでアート関係のイベントは何度かあったみたいだけれど、開館に合わせては、特に何もしていなかったみたい。この美術館が今後どのように活かされて、そして街に根付いていくか次第でしょう。ただ、この美術館に投入された予算(16億5千万円、そのうち、作品購入費5億円)についてはやはり賛否両論あるみたいで、美術館のシンボル的な馬の彫刻

に引っ掛けて、『ウマより医者を!』というプラカードを掲げた一団がデモ行進していました。
…で、さて、美術館。この建築は西沢立衛の作品で、街のなかに美術館が溶け込むような…という発想の元、ガラスの通路で繋がった、それぞれ独立した箱から成り立っている

展示されている作品は、基本的に恒久設置される、22の常設展示が中心。建物も、作品に合わせて作られているとのこと。こういう、常設の作品がメインになる美術館としては、磯崎新奈義町現代美術館とか、安藤忠雄地中美術館とか、結構ありますけれど、この流れですね。そして、21人22作品というのは非常に多い。でねー。面白い作品はいくつかある。だけど、これ恒久設置なの?というクオリティのものもいくつもある。企画展示室はごく狭くて、常設を目的に訪れることになりそうな美術館なのだけれど、再訪しようって気になるかなー、は疑問でした。そして、どうとでも再利用できそうな箱の空間が多い。奈義町とか地中とかは、その作品のためだけ!という空間にぴったり収まっているんだけれど、この美術館は、何とでも使いまわしができそうなホワイトキューブが多いです。


ほいでもって、ここならばのこれ!的な目玉が無いような気がする。再訪うんぬん、ってのも、それのせいなのかなあ。作品について、いくつか。ロン・ミュエクの作るでっかいおばちゃんは、やっぱり西洋人じゃないと駄目なのかなー。青森のおばあちゃんは作れないんだろうか。オノ・ヨーコは相変わらず、気持ちよいほどコンセプチュアルなだけの作品。ハンス・オブ・デ・ビークの、夜のドライブインレストランを再現したような作品、非日常的な体験が出来るという意味では面白くて好きです。非日常的体験という意味では、栗林隆も良かった。美術館の中にさりげなく配置されている、森北伸とか山極満博の作品もいいっすね。
天井の高いカフェ空間でエスプレッソを飲んで。

美術館をあとにしたのでありました。