日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

ランドスケープ 柴田敏雄

実家で9時起床。朝飯にキムチチャーハンご馳走様です。のんびりまったり。
2時過ぎに出かけて、恵比寿へ。NADiffをちょっと覗いてから、恵比寿ガーデンプレイスへ赴き、マクドナルドで軽く昼飯を食ってから東京都写真美術館へ行く。今日のお目当ては、『ランドスケープ 柴田敏雄展』であります。
http://www.syabi.com/details/shibata.html
ダムやコンクリートの造作物、高速道路など、ちょっと勘違いすると昨今の土木萌えの系譜の人かと勘違いしがちになるけれど、柴田敏雄は1980年代以降、精力的に活動している人であり、海外の美術館でも所蔵が多いという。しかしながら、日本の美術館での本格的な展覧会ははじめてであるとのこと。先日の
TOKYO CONTEMPORARY ART FAIR 2008 - 日毎に敵と懶惰に戦う
で知り、ああ、これは見に来なければなりますまい、とやってきたのです。
大判に引き伸ばされた写真は、8×10インチのカメラで撮影されていて、隅々までびっちりピントが合っており、被写体以外の余計な情緒を差し挟さませない。そしてその被写体は、例えばダムのコンクリートの塊、たとえば道路を通すにあたり抉られた山、山止めのコンクリート、ダムからの水路、ダムを流れ落ちる水など。自然を映すのではなく、人工物のみを映すのではなく。自然に抗い、挑戦したコンクリートによって、自然も造作物も不自然に歪む、そのせめぎあいを写し続ける。
『その作品は環境問題を声高に主張する訳ではありませんが』と解説にあるけれど、声を低くしたとしても単純に環境問題を告発しているわけではない。自然に抗いながら、完全には抗し切れなかった結果として、奇妙に傾いたコンクリートの組み合わせ、意図せず生み出された不思議なデザイン、さまざまな山止めの加工のパッチワーク、テトラポットと川の流れが作り出す、不思議な風景。そういう、『見られることを意識しない土木の美』が、まさに写しだされているわけであり。その意図せざる造形が美しいのです。これこそまさに、機能美と言うのさえ憚られるほどストイックな『視線に無頓着な』芸術ではないか
ドボク・サミットに行ってきた - 日毎に敵と懶惰に戦う
自然に抗っているけれど、完全に抗えていない、コンクリートのグロテスクな姿ではあるけれど、それは共生と言ってもいいのかもしれない風景。壁の杉浦さんが愛でそうな、ダムの放水路の素敵な壁面なんかもあるわけであり。とにかく、柴田敏雄の本格的展覧会は日本初であるとのことなので、ドボク萌えな方は必見であると思う。本人の作品解説で見たという方の感想が面白かった
ランドスケープ 柴田敏雄展 - 近況@p-note.net
ワタシは借りなかったけれど、音声ガイドもあった。柴田さんは割合語り好きな感じのようだ。2月1日には対談もあるらしい。その後、別の展覧会も
http://www.syabi.com/details/imagi.html
ちょっと企画に試行錯誤している感じで、焦点の定まらない、とりあえずコレクション並べてみました的な展覧会でした。恵比寿駅に出て、品川経由、京浜急行で帰宅。