日毎に敵と懶惰に戦う

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東京国立近代美術館 MOMATコレクション『誰がためにたたかう?』

土曜日、なんとか一週間が終わって、お休み。朝から家事を済ませて9時前に出掛け、東京国立博物館鳥獣戯画展が朝から阿鼻叫喚になっているのをTwitterで眺めつつ、竹橋へ。開館と同時に入った東京国立近代美術館は、私以外誰もいない空間だった

さて、もとより常設展に安定感のあったこの美術館、特にリニューアル以降はテーマ性の高い常設展を行ってきたこの美術館
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戦後70年の迎えた今年、『誰がためにたたかう?』というテーマで踏み込んできた。
MOMAT コレクション | 東京国立近代美術館
最初の部屋のハイライトコーナーは、おなじみの作品が並ぶ。土田麦僊のおおらかさは好きだなあ

古賀春江の『海』は、そのうち重要文化財に指定されるんだろうなあ…


『野生の証明』と名づけられたテーマ展最初の部屋は、鳥獣戯画展に対抗したのかな?というような擬人化された動物たち。竹内栖鳳『草相撲』、靉光『素描図巻』、藤田嗣治『動物宴』…



続く部屋で殉教者のモチーフが続いたその先には、戦争画が続く。通常、戦争画は3階に降りたところに並んでいたのだけれど、今回は4階にずらっと揃っている


そこにあるのは、開戦初期の明るい、空へのあこがれを抱えた、陰り無いナショナリズムへの駆動装置としての戦争画


空の広い戦争画ばかりを並べていた意図が、階下に下った時に見えてくる。


そこにならぶのは、地を這いずり、玉砕、敗戦へと至る泥沼の地上戦。そして傷痍軍人の肖像。

山下菊二に中村宏

今回も東近美は踏み込んでメッセージを伝えにきている。さらに展覧会は岡本太郎Chim↑Pom河原温の浴室が並び、静聴せよ!と、三島由紀夫森村泰昌の『烈火の季節/なにものかへのレクイエム』があり

日本画のコーナーにも戦争画

さらに普段、テーマ性のある常設展と比較的切断されていることが多い2階へとさらに連なり、特に注目は山城知佳子『肉屋の女』が出ている。


初出は森美術館会田誠展の併設だった。
展覧会について | MAMプロジェクト 018:山城知佳子 | 森美術館
3面スクリーン構成から、1面に再構成されたのだろうか。肉を売る女、その肉をメタファーに、沖縄の基地の問題、本土との関係、ジェンダーの問題等を重層的に告発している作品。

山城知佳子は次回のあいちトリエンナーレにも参加するそうなので、楽しみ。というわけで、コレクション展もしっかり見て欲しい東京国立近代美術館なのだった。
美術館を出て、四谷三丁目へ。フルーツパーラーフクナガで、久しぶりにパフェ。美味しいね…

喫茶店でだらだらとして、四谷から日本橋へ。金子半之助の天丼で遅い昼飯。日本橋周辺をぶらぶらし、神田から秋葉原へ。夜まで都内でうろうろしていたんだけれど、20時24分に小笠原近海できわめて震度の深い巨大地震
地震が起きた時、買い物してレジに並んでたんだけど、ゆっさゆっさ揺れて、みんなで天井見上げつつ、何事もなかったように次の方ー!って呼ばれたんで、あっはい、と会計を済ませた。その後、JRは長い時間止まっていたけれど、都営浅草線と京急線でずっと座って帰れたので特に支障なし。大門から品川あたりは積み残しあり、羽田に向かう海外の人が大荷物抱えて慣れない満員電車に右往左往とか、なかなか大変そうでありました。
在華坊(@zaikabou)/2015年05月30日 - Twilog