日毎に敵と懶惰に戦う

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国立国際美術館『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』

金曜日、6時半前に家を出て、新横浜から7時9分の新幹線に乗車。東京はまだまだ寒いけれど雪の影響が消えつつある中、東海道新幹線三河安城から新大阪まで雪で徐行。30分ほど遅れて到着。

昼から京橋に移動して、仕事を終えたころには、吹雪になっていた。大阪では珍しい

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関西電力本店前も、雪のなかお疲れさまです

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で、さて、わたしは雪の中、国立国際美術館である

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開館 40 周年記念展 「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」展覧会 | NMAO:国立国際美術館

『トラベラー まだ見ぬ地を踏むために』開館40周年記念でコレクションと新作、パフォーマンスを全館で展開する企画。この館らしさ全開、投げっぱなしな現代美術展で、かなり困惑しながら見た。作品一覧の紙が配られる以外はキャプションも無い。

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しかしとにかく、相変わらず良いコレクションで、突然歌い出す監視員とか、小説を口伝で暗記するまで3時間くらい掛かって体験する作品があったり、藤井光の新作も良いし、ジャコメッティを巡る映像作品のあとにジャコメッティ作品がある流れや、とにかく全館で作品の海に放り出される感で、嫌いじゃない。

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iPhoneとヘッドホンを渡されて街の音を体感する大阪シンフォニーという作品(とても楽しい)とか、とにかく、人が大勢来て混むことは全く想定していない潔さがある。全般的に、現代美術よくわかんないんだよね、みたいな人を積極的に振り落としていきますという姿勢が感じられる展覧会であった。

第15回読売アンデパンダン展(自由にやらかし過ぎて主催が投げ出す直前の回ですね)をたまたま見て以来、現代美術の画廊周辺を精力的に見て回り数多くの写真を撮り続けた西山輝夫氏のスクラップブックをモチーフにした作品があった。私はこの方の存在を一昨年の六本木クロッシング展で知ったのだが…。

西山輝夫氏は、周囲に会話する相手もいないので、黙々と展覧会や画廊に通い写真をスクラップし続けたという。偶々見た展覧会から美術にハマって通い続ける素人という意味では自分も通じる処があるが自分はブログやTwitterという発信共有手段があり、西山氏はどのような胸中で何十年も、と想いを馳せる。

そして、キャプションも解説も不親切な今回の「トラベラー」展の海に放り出されて、解ったような顔をしつつ困惑し、しかしどこかワクワクとしている自分の前に西山輝夫氏の所業がポンと置かれたときに、まるで、そこに不思議な鏡が置かれて自分を見させられているかのような、不思議な感覚に陥ったのだ。

個別の作品についてあまり語れないので、全体の印象雑感みたいになってしまいまいたが。

で、さて、この展覧会の説明の少なさはこの美術館らしさとして良いのだが…一点、もやっとする点が。音声ガイドがある。そして有料である。通常ならそれは普通の事だが、ここまでキャプションも解説も不親切な展覧会という国立国際美術館らしいスタンスで、敢えてその上に作品理解のガイドラインとして音声ガイドを準備したなら、音声ガイドは無料で提供されてしかるべきなのではないか。そんなことを思ってしまった。

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図録を購入。2700円で、いま受け取れるのは1巻のみ。2巻はこれから行われるパフォーマンスの記録なども納めて、あとから送ってくれるという。

ところでここのショップ、エルマガの本がたくさん置いてあり、エルマガ好きな自分としては、全部ください、みたいな気持ちになって困るのだった…。

美術館を出るともう雪は止んでいる。新大阪から乗った東海道新幹線はまだ雪の影響があり、名古屋到着時点で17分遅れ、さらに床についた雪落とし。しかしその後回復運転に努めて、新横浜到着時点では12分遅れ。寒さに震えながら帰宅したのだった

在華坊(@zaikabou)/2018年01月26日 - Twilog