日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

G-tokyoを中心に、自転車で冬のアート巡り

東京で勢いのあるモダンアートのギャラリーが集結した『G-tokyo』などのイベントが、この週末に集中して開催されている。というわけで、私も出掛けてみようと思う。自転車で。
[@アートフェア・イベント]1月に開催されるアートフェア・イベント : loves art
9時前に自転車で家を出て、いつものように国道15号線を北上。鶴見川崎を過ぎて多摩川を渡り、蒲田を過ぎて、平和島で左折して環状七号線。やっぱり15号線のほうが路肩が広いし走りやすいよね…あと、結構アップダウンがあるのだな、と思いながら馬込を過ぎ、中原街道目黒通り駒沢通りと淡島通りと交差して井の頭通りを右折…あ、行き過ぎたのか、失敗。ちょっと戻って下北沢の街中に紛れ込む。相変わらずごちゃごちゃして、変わってないなあ、下北沢。野毛から35km。
下北沢での目的は、DocSeriさんのTwitterのつぶやき、および日記で知ったこれ
第N無人居住區 in 下北沢GAoh! - 妄想科學日報
販売物やご注意など - 第N無人居住区

DocSeriさんがアップしていた写真、あまりじっくり見ないで、ちょっとだけチラ見していたんですよ。だから、これはいったいなんなんだろう?もしかして、広い広い地下の大空間にダンボールで巨大な街が形成されているのか?みたいな変な誤解をしていたわけです。



勿論そうではなかったんだけど、ダンボールで作られた巨大なミニチュア(形容矛盾であるようだけれど、とにかく巨大なミニチュア!)が作り出す不思議な世界観に酔いましたですよ。あの、何というかな、方向性としては日曜アートなんだけど、やりこんで行くうちに突き抜けてしまった感じ。お好きな方には溜まらないかと。この『GAoh!』というスペースも1階が店舗になっており、楳図かずおがフューチャーされてたり、なかなか面白いところでござったよ。
さて次は六本木に向かう。淡島通りに出て、あずまんの母校、筑駒の前などを通り過ぎまして、渋谷から六本木通り、六本木ヒルズまではあっちゅうま。公共交通機関よりも早いような気がする。ここの52階で開催されている、『G-tokyo』へ
G-tokyo
チケット1000円なんだけれど、MAMC(森美術館の会員)に入っていたら、無料で入場できた。有難い。所謂アートフェア的な、白壁でギャラリーごとにブースを区切って展示、という方式は変わらないんだけれど、天井が広い空間をそれぞれのギャラリーが非常に広く使っており、凝った展示構成をしているところもあって、気合の入ったイベント。内輪感があまり無く、開かれた印象を受けた。だから、アートフェアではあるんだけれど、普通に美術館の展示を見に行ったような感覚かな。
SCAI THE BATHHOUSE、オオタファインアーツあたりは顔見世的勢ぞろいだったけれど、さすがに作品のレベルが高い。名和晃平、宮島達男、さわひらきあたり。ヒロミヨシイは泉太郎が相変わらず泉太郎だった。ミズマアートギャラリーの山口晃の電柱、良かったなあ。勿論、昨日のうちに即完売だったようですが…。
山本現代西尾康之とか、一人のアーティスト押しのところはコンセプトが明確で、これもまた良いですね。そして、タカ・イシイ・ギャラリーの水滴をテーマにした展示構成が、そこの空間だけ独立したようで非常に良かったです。アラタニウラノの西野達のドローイング見ていたら、『相変わらず下手だよねー』みたいにギャラリーの人と談笑している…おー、安齋重男さんだ。これから恵比寿に行くよ、なんて言ってた。
とにかくよくまとまっていてレベルが高くていい展覧会なんだけど、なんちゅうんでしょう、アートフェアだ!みたいな、不思議なワクワク感が無いかな…とは思いました。もうちょっと突っ込んでけば違うのかな。

今日はいい天気だったけれど屋上には上がらず、昼飯。G-tokyoの入場料が無料になったので、ちょっと豪華に四川飯店で、汁なし黒胡麻坦々麺と陳健一麻婆豆腐御飯。うーん、確かに美味しかったけれど、なんちゅうんでしょう、華隆餐館のレベルの高さを改めて感じさせられた、と言うべきか。もうちょっとまーとらーの刺激が欲しかった。
再び自転車で移動、旧テレ朝通りから有栖川宮記念公園の脇を抜けて、広尾を商店街を抜けて坂道を登ってガーデンプレイス。写真美術館で、さてどれを見よう、と迷った挙句、まず、地下の『躍動するイメージ』へ。石田尚志の展覧会。
http://www.syabi.com/details/eizo_vol2.html
入り口入ると、アニメーションの源流を探る…みたいな、写真美術館コレクションが並んでおり、もう何回も見たよ…と思ったのだけれど。石田尚志の二つのアニメーションが凄いんだわこれが。抽象アニメーションの世界。『フーガの技法』のめくるめく世界も圧倒されるけど、特に『海の映画』これが凄い。是非見て欲しい。横浜美術館で滞在製作された、海のイメージと手描きのうねうね、水性の塗料がぬらぬらと怪しく垂れて、反復するイメージに次第次第に引き込まれて、上質のトリップムービーを見ているようだ。最初、ちょっと興奮しすぎてしまったのは、自転車乗って昼飯食って眠いところに暗い部屋に入って映像見ていたので、しばらくうつらうつら夢うつつで見ていたのですね。だから、エンドレスで繰り返される映像を断片的に反復してみていたのですね。自主的にトリップしていたという…(笑)改めて通しで見たら、それなりに理路整然としていて少し拍子抜けだったけれど、それにしても凄いわこれ。
それから、2階の『出発−6人のアーティストによる旅』も
http://www.syabi.com/details/sakka_vol8.html
うーん、こっちは。ちょっとオサレな観光写真展みたいで、イマイチ。さわひらきの映像は勿論良かったんだけれど、ちょっと航空会社のCMにも使えちゃうよ、みたいな妙にオサレなBGMであったなあはい、次へ。次は『NADiff a/p/a/r/t』で、柴田敏雄の写真展。うーん、ちょっとサイズが小さくて、よさがイマイチ出ていなかったけれど、ますます、具象を突き詰めた結果もう抽象になっちゃってるんじゃないのか、ってドボクの写真たちが素敵だった。ポストカードを数枚購入しました。
ここから次の目的に向かう途中、フランス大使館の前を通ってみたんだけれど!なんだこれ!歩道まで一杯の行列。これはなかなか、大変だわ。入場しても落ち着いて見られないでしょう。会期の初めにいっておいて良かったわあ。あのときは金曜日の夜遅くってのもあったけれど、怖いくらいに閑散としていて、非常にフリーダムでありましたよ
森美術館『医学と芸術』、そしてフランス大使館 - 日毎に敵と懶惰に戦う
会期は2月18日まで延長されたようですね。
さて、次に、麻布十番で、『Mancy's Tokyo』のアートフェア
【触れる】"Mancy's Tokyo Art Nights"開催、タグボート出展 - イベントニュース|現代アート販売(通販)のタグボート
例のアグネスでやっていたイベントに近い感覚。オサレレストランの個室スペースを使って、それぞれの部屋にギャラリーが作品を展示。で、この個室がなんか怪しげで、カラオケなのか、宴会場なのか、中に『Spa』と書かれた部屋があってベッドと風呂がありまして、え?なに?ここはラブホ?みたいな空間でしてな。
話をチラ聞きした限りだと、このイベント、開催が決まったのが昨年末の、本当にドン末であったらしい。だから作品がなかなか集まらなくて、人も本当に来るのかどうか心配で…などと。G-tokyoにあわせて何かやりましょう、ということだったんだろうなあ。全体的に非常に内輪感が強くて、G-tokyoとはテイストが違って、まあそれはそれで、なかなか楽しいイベントでございましたよ。作品としては大物はあんまり無くて、ちょっと部屋に飾ってみようか、的なものが多かったかな。海外のギャラリーでセカンダリみたいなところがあって、ちょっと首を捻りましたが。Mori Yu Galleryはさすが関西というか、商売上手な感じがしましたです。ワダファインアーツが、一番大きな空間使って、気合入ってましたね。
ま、なんだかんだといいながらも堪能して、さて帰ろう。麻布十番から南下して国道1号線に出て、五反田を過ぎて中原街道へ。丸子橋を渡って綱島街道、今日は綱島の実家に帰宅。走行距離70km。自転車だと電車賃は掛からないし、移動時間も割合早いし、酒は飲めない…いやいや、飲まずに済むし、健康的だし、良いことずくめである。