日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

オタク語りをしたがるのがオタクだというテーゼ

OTAKU展、その他: たけくまメモ
たけくま先生のblogで、東京都写真美術館OTAKU展に行ってきました、という話。私は2月26日の土曜日に行きました。
日毎に敵と懶惰に戦う−恵比寿でおたくを見ること
その時は土曜日にも関わらず比較的閑散としていて、展示をチェックする森川嘉一郎コミッショナーを遠巻きに眺めてハァハァしたりしたんですが。2月27日の新日曜美術館で取り上げられて、その後は観客が膨れ上がっているようだ、という話は漏れ聞いていました。だから、2月26日に書いた

日本で見る限りでは、いつも秋葉原で見慣れたものをまた見ている、という感覚しかないし、客筋も、恵比寿らしい感じがしない。恵比寿の客筋に異文化体験をさせるという役割も担えそうに無い。

という感想は的外れだったかな、と思っていたんですが…。たけくま先生のblogを読む限りでは、

観客の9割8分くらいがオタク

ちゅうことで、ああ、やっぱり、という。私が抱いたような「アキバに行けば見られるのに…」という類の感想をやはり多くの人が持ったようで、3月11日に森川嘉一郎磯崎新斎藤環が参加したフォーラムでも

 ・アキバのものをヴェネチアに展示する意味とそれを再び恵比寿の地に展示することの意味の違い
これは多くの人に聞かれたことすなわち、「アキバに行けば普通に見られるものをなぜわざわざ恵比寿で展示するのか」に応えたものだ。要するにおしゃれな恵比寿に異文化圏のアキバを持ってくることでその差異を意識させるというものだ。(後略)
「グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」フォーラム。 - 南方郵便機

という議論があったみたいです。だから、観客がオタクばかりでは、「おしゃれ恵比寿に異文化圏のアキバを持ってくることでその差異を意識させる」が機能しなかったんでは、と思うわけです。んで結局、私も思ったように、

これはやはり「凱旋帰国展」として、(自分も含めた)おたく達が「これがヴェネチアの空の下で……」と妄想を逞しくして、ハァハァしたりモニョったり怒ったりする、というのが正しい受け止め方なのかも

ということになるんだろうかなあ。やっぱりオタクはオタク語りが好きな人達(まあ、私もそれです)なのだなあ、という思いを新たにしました。

ところで、たけくま先生のblogの中で、大塚英志森川嘉一郎の対談に言及していて、伊藤剛のblogにも話が及んでいるわけですが、伊藤剛大塚英志に対する態度には、所謂オタク第一世代に対する複雑な感情を差っ引いて考える必要があるのではないかと。要するに唐沢俊一とのあれやこれやとか。