日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

千葉市美術館 スイス現代美術展 リアルワールド

佐倉駅から普通列車で千葉へ。千葉駅で下りるのは実は初めて。モノレールが空を貫き、バス路線が物凄くたくさんあるなあ、という印象。バスで千葉市美術館へ向かう。

昭和初期に建てられた川崎銀行千葉支店の建物を、包み込むように新しいビルが建てられて、下のほうが千葉市中央区役所、上の階に千葉市美術館が入っている。最近はやりの方法ですね。

古い建物のなかはホールになっていて、貸し出しをしているらしい。なかなか素敵空間だった。

さて、建物の話はこれぐらいで、エレベータで8階の美術館へ。スイス現代美術展、リアルワールドを見る。暑苦しい、というか、主張の明確な作品が多い。演劇の映像を、その演劇が行われたセットから見させられる作品などは、直球まっすぐすぎてかえって困惑してしまった。
その中で面白かったのが、シャリヤー・ナシャットという人の「隠蔽と探索」という作品。スクリーンに映し出される、抑圧的な西洋文明を象徴するような建物。しかし、聞こえるのは蝉の鳴き声だけ、暑い夏の日ののどかな光景。しかし、そこに原色のフィルターが掛けられると、とたんに音が消え、代わりに息苦しい吐息が聞こえてくる。再びフィルターが外されると何もなかったように…そしてフィルターが掛けられて…の繰り返し。
「西洋文明の抑圧性や暴力性を認識させる」作品らしいのだが、私が感じたのはそういうことではなくて、外界と自身の距離感、と言ったらいいか。フィルターの掛からない建物、何事の無い日常、その中で社会の中に埋没して安寧を得ている自分と、フィルターを掛けたときの特殊な、唯一の存在としての自分。唯一の存在として認められたいと思いながらも、社会の中に埋没したい、忘れられたい、安寧を得たいと思う自分。その間の葛藤と言うか、それを自分の中で行き来するときの違和感や安心感というか、それを感じさせて背筋に寒さが走る作品だった。
帰りは歩いて千葉駅まで。駅構内で遅い昼飯、カレーを食べ、久里浜行き15時49分の快速、再びグリーン車の人となる。靴が雪でぐっちょりになってしまったので、新聞を読みつつ、読み終わった端から、丸めて靴の中に詰めていく。うつらうつらする間に横浜駅。幸いなことに、雪による遅延などの影響は受けなかった。綱島駅前で作ってもらっていた実印を受け取り、綱島温泉・東京園に寄って帰宅。
帰宅途中に寄ったスーパー、携帯電話で会話をしている若者。聞くともなしに聞いていると『…パクられて、事情聴取されたら余罪で恐喝で、家宅捜索受けたらシャブが出て…』とかなんとか。オソロシス