日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

盆の水

自分の生き様は、まるで、盆に溜まった水を、こぼさないように、こぼさないように、しているような、そんな様だった。どの時点からだったかは忘れてしまった。産まれたときからそうだったのかもしれない。だから、だろうか。水を貯めては、気に入らなければ手放してまた貯めようとする、そんな人に憧れ、羨み、恋をした。ただ見ていた。そんな様を見ていた。だけど俺は、その、人の貯めた水を、それ違うじゃん、と、手放させた。自分の水をこぼさなかった。だけどそれは、抜けた底からだらしなく漏れていった。底の抜けた盆には何も溜まらない。