日毎に敵と懶惰に戦う

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横浜美術館『水の情景』

7時起床。連休が終わりに近づくにつれ、体調が芳しく無くなっていくのは何故なんだ…。
今日は雨。それもかなり強い雨。家で片付けなど。
1時過ぎ、横浜のほうで行こうか知らん、と腰を上げて、みなとみらい。横浜美術館の『水の情景-モネ、大観から現代まで』展に行く。雨の日には丁度良い。
美術館を入って、まず目に付くのが淀川テクニックの花輪。淀川で拾ったゴミで作られた…んだよね?横浜のゴミじゃないよね?…花輪が出迎えてくれる。『モネ、大観から…』と銘打つ展覧会でいきなり淀川テクニック。これは面白くなりそう。
展覧会は四部構成なのだが、それぞれにおいて、浮世絵から泰西名画、日本画、そして写真や映像作品、インスタレーションと、実にバラエティにとんだ品揃えになっている。浮世絵のすぐ隣で、出来立てほやほやの映像作品が上映されているのは面白い。ただ、ちょっと詰め込みすぎて、散漫に目移りしちゃう所もあったけれど…
古典的なところでは、モネもいいのだけれど、クールベの波の絵が一枚の壁面に5つ並べられており、あの独特の暗い色、ノルマンディの海が迫力がある。そして、クールベを正面に左を見れば、柴田敏雄の、ダムを滑り落ちる水を切り取った写真。右を見れば、クォン・ブムンの雪降る海岸の写真。いずれも動きのある水なのだけれど、それぞれの躍動感の温度差をひとところに座って眺めると面白い。
通路に出ると、ガラスの天井を打つ雨の音がぱらぱらと聞こえてきて、なかなか情感があるのだ。雨の日に来て正解。
高嶺格の幻想的な作品もいいし、しかし石田尚志の映像が凄い。コマドリ実写のアニメーションなのだが、水をモチーフにした作品で、まるで流れるように覆われていく、じわじわと侵食されていくような壁面、眺めていて引き込まれる。素敵。
ロバート・キャパ沢田教一ベトナム戦争の写真があると思えば、大観やら、菱田春草徳岡神泉などもあり、いろいろと楽しめる密度の高い展示に仕上がっていた。
常設展も。米田知子の震災の跡地の写真とか、長谷川潔の作品から水を題材にしたセレクション、そして斉藤義重の大型の作品など。鏑木清方の美人が良かった。須田一政の写真も面白く、写真に捉えられているおっさん、おばさんが、一様に強烈過ぎてくらくらする。全体、行って損無い展覧会だと思った。
http://blog.goo.ne.jp/lysander/e/7b701a72d90f1dba391cfdb831cc756e
こちらのblogの解説がとても詳しかったです