アモーレな宿で目覚めて6時前。海岸に出てみると、熱心なカメラ女子が撮影大会の真っ最中だった
メレ山さんではなかったです。朝の海岸はとても静かだ
部屋に戻ってしばらくだらだらして、7時くらいに窓の外を見たら、カメラ女子が引き上げるところだった。ちょっと撮影大会頑張りすぎだろう…
7時30分に朝食はあっさりしたもので、チェックアウトを済ませていると8時30分にお願いしていたタクシーが8時15分には到着、すぐに乗り込んで家浦へ。本日は電動自転車を借りるつもりだったんだけれど、なんだか風が強いし、港についてみれはすでにレンタサイクルに人が並んでいる…。そして唐櫃に向かうバスがもうすぐ出るところだ。自転車はやめて、荷物を預けてすぐにバスへ。反時計回りの路線にかなり長いこと揺られて唐櫃浜にたどり着く
家浦に比べると小さな集落だけれど、宇野と小豆島を結ぶフェリーはこちらの港にも寄り道するのです。まずはオラファー・エリアソンの作品
どっしりした石造りの蔵の中、さらさらと落ちてくる霧雨に光があたり、とても綺麗な虹が出来上がる作品。真っ暗な空間と光の美しさのコントラストがとても印象的な作品。この唐櫃の浜には、とても立派な蔵や家が多いように思う。このトマソン物件的な階段は謎でしたが
海岸線を歩き、クリスチャン・ボルタンスキーの心臓音のアーカイブに向かう。10時オープンのところ、40分くらい前に到着したのに、すでに行列が…
作品がある海岸は行き止まりで、ここに来る人以外、通る人間も無く、本当に静かで…
なんだけれど、どんどん行列が伸びるぞ
10時になることには、行列は60人以上いたんじゃないだろうか。それでも、決して予定時間より前にはオープンしないところが素敵です。10時になって通されて、まずは心臓音とともに電球が明滅する部屋へ。越後妻有りの『最後の学校』に、鏡が沢山ある部屋と心臓音で電球が明滅する部屋がありますが、これを組み合わせたような作品
大地の祭り−また、自転車に乗って - 日毎に敵と懶惰に戦う
録音された音なのに、心臓の鼓動を聞いているとなんだか不安な気持ちになってきて、このまま、音が止まって電球が永遠に光を発しなくなるのではないか、静寂と暗闇に包まれてしまうのではないか、そんな気持ちになってくる。次に、これまで各地で記録された心臓音を検索して、聞くことができる部屋。混雑しているので並んで、3人分までにしてくださいね、と言われて。窓の外に静かな海が見える部屋で、自分の心臓音を探す…あった、妻有で録音した自分の心音が
大地の芸術祭〜雨の松之山を自転車で… - 日毎に敵と懶惰に戦う
これが自分の心臓音なのだろうか…。なんだかぜんぜん無関係な音のような気もする。そしてこの心音に合わせて電球が明滅し、関係ない人が不安になったりするのだろうか。とても不思議な感覚。そしてこの心臓の音が、ずっと残ってゆく。静かな窓の外の海を見ながら、聞く心臓の音…。空間の作りこみも気合いの入った作品で、とにかく、しかし、こんな混雑した状態で追い立てられるように…ではなく、もっと落ち着いて訪れたかったよね…。おみやげに、小さなボトルを購入。ボルタンスキー大好きですから…
また歩いて、浜に戻る。バスに乗って移動しないと。しかし美味しそうな食堂がある。おばあちゃんがタコ飯を売っている。バス停にいると、タコ飯を売っていたおばあちゃんが割り箸を持って自転車でやってきて、さっき買った人に、箸を渡し忘れたような気がして、いないかなあ、と探している。ああ、そう、こんなふうに、作品から作品を渡り歩いて、急いで通りすぎるためのイベントではないのだよね、きっと。瀬戸内国際芸術祭は。豊島は、またゆっくり訪れたい、そう思ったのだった。
バスが坂道を上り、途中、開館前の豊島美術館が見えて
唐櫃岡、清水前。こんこんとわき出る清水の祠にある作品。水も美味しい
この作品については、いずれも島の人から
【瀬戸内国際芸術祭】青木野枝の作品は、唐櫃の清水の隣接地に作り、唐櫃の清水本体には手をつけないという話だったのですが、本体の祠にも手を入れていました。地元への冒涜であり、芸術以前のモラルの問題でした。
http://twitter.com/#!/ieuraport_watch/status/18251264837
青木さんの作品は過去にちょっと話題にのぼりましたが、清水の世話係の人たちとも良い関係を築かれ、また豊島の他の場所でも青木さんの人柄の良さを聞く機会がありました。作品自体も島の人が撤去を望むなら、すぐに応じるとのこと。柵についても作品ではなく、島の人から頼まれて制作されたそうです。
http://twitter.com/#!/teshimain/status/25661527729
という意見が出ており、正しい間違っているというよりも、1000人いる島ですから、それぞれの立場、考えがある、ということなのでしょう。
この周辺にはいろいろと面白い作品もあるのだけれど、島キッチンは本日も大行列なので
路地を巡って
牛を見て
またバスであわただしく、家浦に移動。
またまた、イル・ヴェントで食べた醤すし
味付けが良くて美味かったなあ
その後、船の時間までしばらくあるので、民家カフェのようなところで珈琲を飲んで一休み。さっき見た牛さんが出したものだろうか?島の牛乳も美味かった。豊島は確かに作品とバスは混んでいるのだけれど、島は本当にのんびりしていて、落ち着いて訪れたい島なのだった。さあ、そろそろ、高速船で男木島に移動しよう
直島、犬島、高松の便は整理券を配布して非常な混雑ですが、この男木島に向かう便は比較的空いている。もちろん、並んでほぼ満員になる程度には混んでいるのですが…。豊島から男木島に渡り、フェリーで高松に抜けるコースは割合オススメかもしれない。短い時間の船旅で辿りつく男木島は、斜面に家がへばりついている島
島の路地から路地へ歩くと
現れる作品
そして家の向こうに見える海
ああ、素晴らしい島だ
そして、路地から海岸に出てきたところにある元公民館の作品、大岩オスカールの『大岩島』
本当に急ぎあしになってしまったけれど…
臨時便のフェリーに乗って、島を出る。この次の日、9月26日の夕方に島の鉄工所から火災。鉄工所の方が一人亡くなり、大岩オスカールの作品があった建物も消失、作品も永遠に失われることになった。
http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2010092712283482/
http://yukarisme.exblog.jp/14096481/
心残りなような気がしながら去る島
女木島は眺めただけで
高松に到着
一番大きなグッズ売り場でお土産を買いこみ、高松駅から列車に乗って(行き止まりのホームの雰囲気はほんとうに素敵だ)
琴平駅にたどり着き、歩いて本日のお宿。なかなか綺麗で良いお宿で、食事も美味かったし、温泉もなかなか良かった。ただ、温まるけれどもなんだかすぐに冷めやすいね、と話していたのは、このせいなのかもしれない(笑)
四国新聞社