日毎に敵と懶惰に戦う

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選挙の掲示板ポスター貼りをしてみた

4月10日に都知事選の投票があってああいう結果になり、マスコミ的には統一地方選挙に対する関心も概ね薄れてきた感があるけれど。市町村長、議員選挙のを中心とした後半戦が4月24日投票で行われる。東京都の相当数の区の、区議会議員選挙と区長選挙も、4月17日告示、4月24日投開票で行われる。
そんな中、ある人に声を掛けられて、世田谷区議会議員選挙のポスター貼りを手伝うことになった。具体的に誰?という話なのだが。特定候補に対する投票をお願いする、応援を呼び掛けるような書き方をすると公職選挙法上問題があるものの、淡々と名前を書くぐらいはまあ…という話のようなので、一応。上川あやさんのポスターです。
ポスターと言っても、あっちこっちのお宅にお願いして貼らせて貰う、というのではなく、街頭にある掲示板、これですね

これに貼る作業。ここには17日の告示日、9時以降にならないと貼り付けることが出来ない。そして投票日は24日。大変期間がみじかく、なるべく早めにポスターを貼らないといけない。そして世田谷区は東京都の特別区でもっとも人口の多い区。面積も、大田区に継いで2番目。大田区の面積は埋立地羽田空港拡張に伴う広さなので、実質的に世田谷区が1番広いのだ。
人口87万人の区に、区議会議員選挙の定数は50人、立候補者は82人。区内各地に設置された掲示板の総数は900近く!これ全部に、17日9時以降、なるべくすばやくポスターを貼っていかないといけない。公明党自民党なら手はいくらもあるだろうけれど、無所属で、ボランティアに頼って人海戦術で…ということになるわけですね。そんなわけで、候補者については名前と経歴を薄々知っていたぐらいの自分にもたまたま声が掛り、ポスター貼りのお手伝いは初体験、面白そうなので行って来た訳です。
事前にポスターの貼り方、注意点の確認など1時間ほどレクチャーを受けて、さて当日。朝の8時に豪徳寺にある選挙事務所へ。(このあたりの写真は、投票を呼び掛けるような内容の文言が大々的に写らざるを得ないので、割愛します…)。今回は、900箇所あまりの掲示板に、30組ほどに分かれてポスター貼りをするとのこと。事前に選挙管理委員会から掲示板の一覧表と地図が手渡しされており、事務所スタッフの人がボランティアの皆さんに地区分けを実施。自分はAさんと2人で車に同乗、さらに誘ってくれたKさんはスクーターで、3人で手分けして多摩川流域の48箇所を受け持つことになった。

担当地区分を抜き出した地図をいただきました。どういう順番でまわろうか…

世田谷区は広いので、地域ごとの特色もいろいろ。人口密集地帯だったら徒歩や自転車で廻るのが早いけれど、多摩川流域は砧公園をはじめ大きな公園が多く、掲示板ごとの距離も離れるため、スクーターや車のほうが便利なんですね。自分は車の運転が出来ないので、助手席に座ってナビ役…なんだけれど。あなたもご存知でしょう、タクシー運転手も『世田谷の道を覚えれば一人前』と言われていることを。
国道20号線、246号線、環状7号線、環状8号線など、渋滞必至の大幹線に分断されたそれぞれの地区に、田園地帯がスプール状に宅地化された結果、あぜ道をそのまま車道にしたような、細くて一方通行でグリッドの明確でない道が縦横無尽に走っている。特に多摩川流域では、武蔵野台地が多摩川に落ち込む国分寺崖線の急斜面と、蛇行する河川や緑道による分断が、ますます混迷を深くしている。地図上ではすぐそこなのに、大回りしないと車ではたどり着けない!みたいな状況が頻発するわけです。
最初の地点『98-6』を目指すうちに9時になり、9時に選管事務所に集まった候補者による抽選の結果、届け出順、即ちポスターを貼る位置は『4』になりました、と連絡が入る。立候補者が82人もいるので、アホみたいに広い掲示板から貼る位置を探すだけでも大変です…あった!貼りやすい位置でありがたい!

1枚だけ貼ってあるところが、4番ですよ。今回、歯切れの悪い写真が多いですが済みませんねえ、事情が事情なもので。ポスターを貼るための道具は、4辺に両面テープを着けたポスター、ぞうきん、そして画鋲。設置後に風雨にさらされて汚れた掲示板を拭いてホコリを落とし、

しっかりした両面テープでポスターを貼り付け、上から画鋲で補強する。シールタイプでべったり貼り付けられるポスターの候補、画鋲ではなくホチキスのようなものでバッチンと固定する候補、いろいろいるけれど、ぞうきんで拭いてポスターをべたっと貼り付けて隅を固定する、という手順は皆変わりません。最初の掲示板からは、地図を頼りに、なるべく近い地点を結んで(一方通行にはまらないようにしながら!)ポスターを貼り付けていきます

はじめてから17枚貼りつけるまでは、すべて1番乗りだった。かなり区の外れの場所だったので、最初には貼りに来ない陣営が多いのかなあ。なにしろ82人の候補分をどんどん違う人が来ては貼っていくので、混んじゃうと大変なことになるらしいのですよ。自民党とか公明党とか、沢山立候補している組織は、一度に何枚も貼ったりしますからね。で、まわっていくと、凄いところにある掲示板も。えええ?

どうすんのこれ…

左上の『78』の位置とか、脚立があっても無理だよこれ…。選挙カーで乗り付けてお立ち台の上から貼りつけるかするしかないのでは。これも凄い

世田谷、とくにこのあたりは、先ほども述べたように国分寺崖線にもへばりつくように家が建っているので、結構無茶な坂道の途中にも掲示板があるのですね…。掲示板が設置できる所ってパブリックな場所、学校とか公民館とか公園の前がメインだから、結構限られているんだよね。そのほか、これは小川沿いとか

わかりますか右側にあるの。車に乗って、地図を頼りに、掲示板を探す作業がだんだん楽しくなってくる。ずどーんとした広い通り沿いに多いってより、見通しの利かない場所にひょいと現れることが多いのですね。オリエンテーリングみたい!楽しい!結局、2時間弱かかって、全部1番乗りで最初の担当地域『96』と『97』の合計17箇所を貼り終わり、さて。事務所にいるボランティアの差配をする人(この方もボランティア)に連絡して、ちょっとお隣の区域も手伝うことに。ところがこっちは、貼る位置が変わって一番上。

わかりますか、4番が一番上にあるの。引き続き歯切れの悪い写真ですみません。世田谷区は何しろ人口が多いので政令指定都市になる野望があり、将来の区を想定して、世田谷、北沢、玉川、砧、烏山、の5つの支所があるのですね。ほいで、選挙にあたっては『砧・烏山(A)』『玉川(B)』『北沢(C)』『世田谷(D)』の4つの地区分けを行っていて、公平を期すために、同じ番号でも地区によってポスターを貼る位置が変わるのです。さっきまでの地区は『砧・烏山(A)』で貼りやすい位置だったけれど、こんどは『玉川(B)』で一番上になったのですね。この位置だと手が届かなくて貼り付けできないので、事務所で借りてきた脚立が活躍。脚立に登り、ゴシゴシ拭いて、ベタッと貼り付けて、画鋲でパチン。共同作業もテンポが良くなってきて、どんどん貼るよ

このあたりになると、他の候補のスタッフの人と出会うこともちょくちょく。自民党のポスターを貼っているのはいかにも自営業、商店主という感じの気さくなおっちゃんだったり、公明党のポスターを貼っているのはいかにも某学会のみなさんだったり、みんなの党のポスターを貼っている赤帽さんは仕事なのか普段の職業が赤帽なだけのボランティアなのか、いろいろ特徴があって、鉢合わせになるのも楽しい。そして掲示板も不思議な場所に沢山。川沿いでななめっているもの

道路のほうを向いていない?と思ったら

あ、なるほど、隣接した歩道のほうを向いているよね

緑道にある掲示板も多く、車で入っていけないので車泣かせ。少し離れた場所に車を止めて、自分だけ貼りに行ったり。そんなこんなで、ちょっと休憩をはさみつつ、一方通行の罠にはまって渋滞する幹線に出てしまったり、逆に舗装路地でバックせざるを得なくなったり、さっきまで通れた道がいきなり歩行者天国になっていたり、世田谷め…という感じの行脚が続きます。それにしても、砧公園をはじめ緑は多く、ほんとうにまあ、住宅環境の結構なところでございますわね!2時過ぎになるとかなりの枠は埋まって

空いているところのほうが少ないくらいになって

結局、担当した箇所は37箇所。楽しいオリエンテーリングが終わったのでした。これが当日のGPSのログじゃ
ポスター貼ったよ - Driving trip | EveryTrail
なかなか得がたい体験をさせていただいて楽しかったです、というお話なのでした