日毎に敵と懶惰に戦う

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横浜美術館『生誕120年記念 長谷川潔展』

日曜日。ぼんやりと起きだして、日記を書いたり朝飯にカップ麺食べたり。ぐずぐずしているうちに昼過ぎ。自転車で出掛けると、人が大勢、ああ、今日は宝塚記念か。野毛山カレー食堂で完熟トマトのチキンカレーを昼飯に。美味しいけどあまり特徴の無い味だな…豚汁おまけが嬉しかった。

自転車を走らせて、横浜美術館。最終日になってしまったけれど、本日のお目当てはこちら
横浜美術館
長谷川潔は学校の大先輩でもあり、作品に最初に出会ったのもその縁なのです。1995年に上野の森美術館で行われた『長谷川潔岡鹿之助二人展』を見に行き、その深い漆黒の美しさに惚れたのですね。そのときに買った図録は、まだ持っているぞ。最初に買った図録だ、これは。
今回は、初期の木版からはじまって、木版のぼかし摺り、木口木版、ドライポイント、エングレーヴィング、アクアチント、エッチング、メゾチント。生涯の作品が網羅されており、フランスに渡って研究し続けた、様々な技法の多彩さに目を見張る。ぼかし摺りの版木も展示されており、版木自体にはほどんど細工せず、色を載せていく段階で、まるで絵画を描くような工夫をしているのですね。
しかしやはり、長谷川潔は、後年のメゾチントが、本当に素晴らしい。あの静謐な線やぼかし具合、どこまでも深く、深く味わいのある黒さ。黒の中に溶け込まれてしまいそう。どうやったらこんな色が出せるのか。フランスで受けた文化勲章も、まさに、埋もれていた版画技術を掘り起こし、しかもそれまで以上のものに仕上げた功績によるものでありましょう。いや、本当に堪能しました。
今回の展覧会は、已む無く中止になった『プーシキン美術館展』のかわりに、急遽企画されたもの。そんんな中で、こんな素敵な展覧会を企画したことに拍手。まあ、作品207点、版木銅原版25点、その他資料多数、すべて横浜美術館所蔵品てのが凄いんですけどね。横浜美術館では

横浜美術館は、長い年月をかけて650点におよぶ版画作品を収集してきましたが、2005年には、パリのアトリエに残された1000点を超えるデッサン、水彩、下絵の寄贈を受け、内容をさらに充実させました。

ということで、それを受けて2006年に行われた展覧会
横浜美術館
があったればこそ、今回の急遽開催も可能となったのでしょう。ちなみに、これもちゃんと見に行っておったよ自分
横浜美術館『長谷川潔展』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
この日、あれ?見たことある人がいるな…と思ったら、白いスーツを着た林文子横浜市長で。秘書の男性一人をつれて、美術館の学芸員(逢坂館長ではなかった)の説明を受けながら、かなり熱心に鑑賞していた。あまり物々しい風でも無く、常設の日本画なども見て、お客さんも結構気が付いていたけれど、あ、横浜市長だね、という感じでちらと見るくらい。
コレクション展も鑑賞、川上澄生の特集展示があった。大好きなので嬉しい。エルンストの少女が見た湖の夢とか、河野通勢の自画像とか、フランシス・ベーコンの座像、日本画も彫刻も写真も、ここのコレクションはとても好きだ。日本画では今回、前田青邨六歌仙が、味わいがあってよかったなあ。
思ったよりも長居して、美術館近くにあるタリーズでコーヒー休憩。また自転車で赤レンガ倉庫方面に向かう。どこもここも靄がかかったような日。霧にけぶる横浜の風景も悪くないけれど。BankART Studio NYK に来たら、あら、今日までの『オープンスタジオ』最終日は16時終了か、タッチの差で逃して残念。でも、『雲のうえ』の14号を手に入れることが出来たので満足。『雲のうえ』は、本当にすばらしい情報誌です
北九州市情報誌『雲のうえ』が本当に素晴らしい - 日毎に敵と懶惰に戦う
小雨が降ってきて、また自転車を走らせて鎌倉街道、蒔田まで。本日の銭湯は、蒔田の福乃湯。この銭湯は、特徴が無いのが特徴、というか、イメージの中の銭湯を具現化したような大変良い銭湯、広い脱衣所、高い天井、並ぶカラン、たっぷりした浴槽、そしてペンキ画。わりと好きなのです。ただ、いつも空いてるのが心配。近所にいい銭湯、たくさんあるからなあ…
大岡川沿いをのんびり帰宅し、ちょっと伊勢佐木町ダイソーで土や種など購入。帰宅して小さなプランターに枝豆を植えてみる。育つか知らん。晩飯はスパゲティをまたゆでて、昨日買ってきた生ハムチーズの残り、テレビでは『江』を、はじめて、最初から、見てみた。これは…想像以上に忍耐力がいりますね…