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artscapeで村田真氏の「日展」レビューを読む

日展の季節が迫ってきた。11月1日から六本木の国立新美術館で開催される。この時期になるたび、読み返したくなるのが村田真氏の日展レビューで、辛辣だがどこかおかしみがある。

日展全体への絶望から、近年では洋画に対して特に辛辣になっていのが興味深い

  

作品そのものはあいかわらずだが、驚いたのはガイド本の「洋画」の巻頭に本江邦夫氏が文章を寄せていること。さすがに「絵画」についての一般論を述べるにとどまり、「洋画」にも「日展」にもまったく触れていないが、その絵画論が日展の洋画批判として深読みできる仕掛け

第41回日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

毎年恒例の日展見物も10回を超えた。展示作品は10年、いや100年一日のごとしなので、見た感想は5年前も10年前も変わらない。だから見ないで書いたとしてもハズレはない。裏返せば、もはや見る必要もないということだ。そのことを確認するために今年も足を運ぶなう。

第42回「日展」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

別に震災や原発事故をテーマにしなければならない義務はないが、しかしまるでそんな出来事などなかったかのようにエキゾチックな異国の情景を描いたり、ロココな衣装を着けた時代錯誤の女性像を描いたり、ましてや東北では壊滅状態に陥った漁村や漁港をのどかに描いた風景画(なぜか日展には多い)を見ていると、怒りを通り越して絶望的な無力感に襲われる。

第43回日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

洋画の中山忠彦は着せ替え人形のごとく毎年服を替えただけの奥さんを何十年も描いているし(しかもほとんど年をとらない!)

第45回 日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

  

外部からも審査員を迎えて心機一転……したかな? ではさっそく入ってみよう。3秒後、なんだほとんど変わってねーじゃん。

洋画は大半の画家がいつものモチーフをいつもの調子で描いて十年一日のごとし。なかには中学生並みの絵も入選 

改組新第1回日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

  

 どっちかといえば日本画のほうが新しさを感じる。  

改組 新 第2回日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

洋画を見る。感動はないが、感想を少し。最初の部屋の壁一面に特選10点が並んでいるが、驚くことにすべて学生レベル。

改組 新 第3回日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

はっきりいって、洋画部門にこんな冒険作は1点もなかった。果たして「洋画」が立ち腐れているのか

改組 新 第5回 日展:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

 

 

日展はやはり見てこそいろいろなコメントができるイベントなので、午後4時以降の400円になるタイミングなどに、見に行くことをお勧めしたい

開催概要 - 公益社団法人日展

 

6年前、いろいろ話題になった年に見に行った感想文がこちらです

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