日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

今日の徘徊日記

7時過ぎに起床。9時半ごろに出かけて、代々木経由千駄ヶ谷へ。東京体育館のプールで泳ぐ。1時間20分くらいで2.6km。もう少しペースを安定させたいが…。
上がって、千駄ヶ谷から秋葉原経由で有楽町へ。献血をしに行き、検査もして、さて採血、というところまでたどり着いて『あの…』と声を掛けられる。白血球の数値がかなり高いらしい。要するに体の免疫機能が活発化している状況なので、風邪の引きはじめなのではないか、などと指摘され、今日は献血できないことに。以前もプールに行ってから献血しに行き、同様の理由で断られかけたことはあったが、本当に断られたのは初めてだ。なにか、プールに入った後は、私の体は雑菌か何かと戦っているのだろうか。
それでは仕方ありません、諦めて出て、有楽町駅前の中園亭で昼飯。中国人の給仕の姐さんの、いい具合なやる気の無さに和む店。坦々麺を食べる。具が少ないが、結構美味い。狭い厨房に4人もいるので、きちんと作っている店なのだろうなあ、とは思われる。ただし、追加で頼んだ杏仁豆腐は、まあ、いいや。

上野の山で

それから、再び山手線の人となって上野へ。妙に込んでいる上野公園を通り、行列が出来ている国立科学博物館の横を抜けて、東京国立博物館へ。
中国国家博物館名品展『悠久の美』を、一応、パスポートがあるので見たが、さして興味もわかず。漢代の『金縷玉衣』という、肉体の不滅を願い、死者の亡骸を包むために、玉製のパネルを金の糸で繋ぎ合わせて作られた衣はちと興味深い。それと、蓋の上に129人もの人物が並んでいる青銅器『祭祀場面貯貝器』も面白い造形だった。しっかしねえ、どうもこの手の「日中国交回復35周年」みたいな冠の着く展覧会って、中国に幾ら払ったのか知らん、とかしか、興味が沸かなくて…
上の展覧会は、特別展の会場の半分しか使用しておらず、もう半分は『マーオリ—楽園の神々—』という、追加料金の要らない展示。ニュージーランドの博物館からごっそり借りてきたらしく、興味深いものがいろいろあった。日用品でも、非常に装飾的なものが多いのですね。
常設展では国宝の小野道風の書、仁清の壷などが目玉だったが、十種香の道具が精緻な造りで、飽きずに眺めてしまった。

博物館を出て、上野の山を下る。不忍池の畔に出るが、そうか、この不思議なホテルも、もうすぐ取り壊しなのだなあ。

http://blog.goo.ne.jp/asabata/e/928b8b832db81e970eecce5be7427e8a

表参道にも出て

湯島の駅まで出て、千代田線で表参道へ。そういえば、表参道の新潟館が、去年の12月にリニューアルしたらしいな…と寄って行く事にする。以前はガランとしたイベントスペースだった1階部分が見事な物販コーナーになっていて、うまそうな餅が半額だったので買い込む。酒も美味そうなのがいろいろあるし、新潟の名産品が、ああ、みな美味そうだ。ほたるいかの塩辛だけで我慢我慢。
それから、NADiffに寄ったところ、森山大道の写真展をやっていたので、コントラストの強い写真をじっくり。新宮晋のオブジェの小さなのがいくつか飾られていて、扇風機の風に揺れるのをわくわくと暫く眺めていた。
http://www.wind-caravan.org/
表参道を後にして、半蔵門線田園都市線二子玉川大井町線尾山台へ。

古きよき時代

尾山台の駅で降りるのは初めて。いい感じの商店街が延びている。この駅で降りたのは、そう、ふふふ、もちろん、昨日言及した洋菓子店に行くためなのだよ。なお、表題は店の名の日本語訳である。
フェデリコ・カルパッチョ氏の本から引用するならば

Au bon vieux temps”は一口では食べきれない、いや違った、一口では語りきれない深みと技と感性と比類なき情熱と他にはみられない創造力とまごうかたなき独自性とここならではの想像力と他の何ものにもかえられないオリジナリティと比肩するもののないイマジネイションと脱帽するしかないパッションとインクレディブルなテクニックとアンクロワヤーブルなデコラシオンとスプレンディッドなシュペリオティを持っている。

あ、いや、かえって胡散臭くなったことはお詫びしたいのだが、そのつまり、この歯に衣着せぬガイジンが、大層素晴らしいと言おうとしていることだけは確かなのである。
尾山台の駅から商店街を歩いて数分、暖かい色の、居心地のよさそうな店内に入ると、おお、ここは天国か。チョコレート、フルーツ系、焼き菓子、パン、膨大な種類の、どれもこれも美味そうな品々が所狭しと並んでいる。そしてショーケースにはケーキ。このケーキ、というか生菓子が、どれもこれも惚れ惚れするような美しい仕上げで創造性に溢れて…あ、いや、同じような文章になりかねないので端折るけれども、とにかくその見た目の美しさが比類ない。すげー仕事。
ここはホストクラブかしらん?というほどの沢山の若い職人さんが店頭に立っており、店で修行している若者なのだろう。じっくりじろじろ、幸せな気分で右往左往しつつ店内を徘徊していたが、いつまでも浸っているわけにもいかないので、焼き菓子とフルーツケーキを幾らか購入。チョコレートやケーキは次回に廻そうではありませんか、とひとりごちて、しかししかし去りがたく。
店内に喫茶スペースも小さいながらあったので、我慢できずに、『アリ・ババ』というラム酒漬けサバランと、紅茶を頼む。この紅茶が、また、美味い。そしてお菓子。少し押すとラム酒が染み出るほどで、口に含むとお酒も強いのだが、なんだろうか、ああ、う、う、美味い…。なんとも複雑な、幸せなお味。陶然として、慈しむようにチビチビと食べて、しかし何時かは無くなるのだった。
ああ、素敵なお店だった…幸せな気分のまま、そぼ降る小雨の中、電車を乗り継いで帰宅した。一人暮らしするなら尾山台も良い。オーボンヴュータンの情報はこちらで。
http://www.cakepia.info/shop/recommendation/au_bon_vieux_temps/index.html