日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

悔しさ

11時過ぎに、なにげなくチャンネルを回していると、NHK教育で面白いものをやっていて釘付けになる。テレビ欄で、『考え方』が動きだす〜佐藤雅彦研究室のアニメーション・スタディ〜という番組だと知る。猛烈に悔しい。それはこの番組をはじめから見なかったこと、アンテナに引っ掛かっていなかったことももちろんなのだが、そんなことは小さな事で、自分がこれを見る側にいて、作る側にいないことだ。
番組は、最初から見ていないので良く分からぬが、数学やの公式やさまざまな理論を、アニメーションに落とし込んで視覚化してくれていた。そのアニメーションの一つずつが、実に美しく、実際はアニメーション自体が機能を持っているわけではないのだけれど、「機能美」という言葉を想起せずにはいられないのだ。目指すところとしては、「脳科学における芸術が芸術たる由縁」なのだと思うが、私の望みはそんなに大きな事じゃない。
中学生や高校生のころ。BASICの簡単なプログラミングで、様々な曲線直線がPC画面上に描かれていく美しさ。地球の廻りを月が(実際には、大きい円の廻りを小さい円が)まわり、コロイド曲線やサイクロイド曲線が走り、フラクタル図形に色が塗られていく…。こんな面白いおもちゃは世界に他に無いんじゃないかと思った。
こうやって、科学の面白さ、数学や物理学の美しさを見せて、小学生や中学生に科学に興味をみたせること。そんな、ぼんやりと考えていたことが、目の前で、テレビの画面で行なわれていて、興奮してみている自分がいる。
今の仕事に不満があるわけじゃない。自分で選んでいる道だし、やりがいはあるし、正当な対価はもらっている。この方向でいろいろと考えている、夢や思惑もある。でも、こういうものを見てしまうと、ついふらふらと、猛烈な後悔の念を感じてしまうことがある。具体的に、人生のどの時点のどの選択が後悔のもとか、と聞かれても、それは多分答えられない。自分がきちんと目の前の現実に向き合っていないからじゃないのか、とも思う。だけど、だけど、時々、あるのです。
そういえば最近、これと似たような思いをしたのは、あさりよしとおの『なつのロケット (Jets comics)』を読んだ時だったかな…
新年の決意を新たにするには良い機会かもしれない。