日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

ためしてガッテンに出たことはありますが

発掘!あるある大事典II』の捏造騒ぎが収束の気配を見せていませんが、じゃあ他の健康番組、みのもんたのおもいっきりテレビはどうなんだ、ためしてガッテンはどうなんだ、と疑問は膨らむところであります。
私、ためしてガッテンには5年以上前に一度出たことがあります。あの、ゼッケンつけて気勢を上げてる、恥ずかしい実験メンバーですね。そのときはストレッチの効果、というお題で、運動後にストレッチしたグループと、しないグループで違いが出るのか、という実験をしました。
『運動後に』なので、まずそれなりの強度の運動をしなきゃいけないわけです。それが、東京タワーを階段で上り下りする、という運動だったのです。テレビ的に絵になる素材ですね。で、上り下り一往復の予定だったのが、実験メンバーに確認して「あんまり疲れていない」と言うので、さらに二往復させられりしましたが…
私は運動後にストレッチをしないグループに入れられて、その日はそのまま帰宅。ストレッチをするグループは、階段の上り下り後、インストラクターの指導の元に、入念なストレッチをしていました。翌日は愛宕山に集合。筋肉の乳酸値?か何かを測定した後で、愛宕山の長い階段を、一番上から全員で、一斉に歩いて降りてきて、どちらのグループが早く下まで辿り着くか…という撮影。まあ、これもテレビ的に判りやすい絵ということで。
きちんと実験群と対照群を作っていますし、実験の際には健康科学の先生が同席していましたし、ストレッチの専門家の指導がありましたし、実験後にきちんと機器を使った測定もしていましたので、まあまあ良心的なのではないか、とは思いました。測定結果でも、有意な差は出ていたようです。まあ、nは随分小さいですけれど。全部で10人か12人くらいだったかな。
しかしながら、愛宕山の階段を下りてくるシーンは、ちょっと苦笑しつつ、ではありました。ものすごーくいい加減な実験だよね。確かに筋肉痛はかなり残っていたので、階段を下りるのが結構辛いのは事実だったんだけれど、全員で一斉に階段を下りさせる、という実験で明確な差が出るとは思えないし。個人差のほうが大きいだろうし。
そのときは、それなりにそれなりな絵が撮れたので、まあいいでしょう、ということでお開きになりました。別に嘘では無いのだけれど、テレビ的に判りやすい絵というヤツですね。実験データ自体はちゃんとしていたようなので、嘘は無いです。
あの番組、妙に古臭いと言うか、いかにもNHK、な絵作りを大切にしている番組のようで、担当者も『ワザとそう(古臭い、いかにもNHKに)見えるようにやってるんですよ』なんて言ってる部分があった。視聴者のほうでも、一斉に階段を下りてくる、というシーンにそれほどの意味は見出さないよね。まあ、余興だよね、という程度で。
だからなんだという話ではないんだけれど、テレビというのはどうしても見栄えのする絵を求めてしまうものだろうな、ということ。データに基づいて、ある程度判りやすい絵を撮る分にはまあ良いと思うけれど、完全に嘘付いちゃまずいんでしょうね。