日毎に敵と懶惰に戦う

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本物がジオラマに見える!

本屋で色々雑誌を立ち読みする中で、『GQ』のSONYWEGAの広告で目が止まる。本城直季という写真家の写真で、街の風景を同じ場所から同じ尺で撮影した写真を上下に並べている。で、一見、片方はジオラマに見えるのだが、じっくり観察すると実は両方本物、というもの。
なぜ実物の風景を撮影したのにジオラマに見えるのか?写真家本人のコメントとして「良く分からないけど…」なんて言っているけどまさかそんなはずはなく、一番重要な点が被写界深度の問題。被写界深度についてはここが詳しい。
http://www24.big.or.jp/~antares/photo_gallery/camera/camera3.html
ジオラマに見える写真は被写界深度が凄く浅く撮ってある。一定の対象物を撮影するときには、被写界深度が浅くなる条件は、搾りを開き、焦点距離を長く取る(望遠で撮る)ことなんだけど、この二つが同じ条件下では、対象物と撮影者の距離を近づけるほど被写体深度が浅くなる。だから、人間は被写界深度の浅い写真を見ると対象物がすごく近くにある=すごく小さいように感じることになり、風景写真が小さいなジオラマに見えてしまうのだろう。100の言葉より1の写真。違う人がデジタル手法で作ったものだけど、これ。
http://okamot.com/mt/archives/000659.html
ね、ジオラマに見えるでしょ。もう一つ(これは本城さんと同じ技法で撮影したものだそうです。はげさん、ご教授ありがとうございます)
http://okamot.com/photolog/archives/2004/11/23.php
本城直季さんの作品はかなり大迫力なので、GQを是非立ち読み(立ち読みかよ)してみるべし。具体的に、どのような機材と技術でこのような写真が撮れるのかは良く分からないけど。被写界深度以外にも何か秘訣があるのかもしれない。
この原理を逆に利用〜というか、こっちのが昔からあって、特撮に使われる技術なのだけど〜したのがいわゆるパンフォーカスで、被写体深度を無限遠まで深くすることで、ジオラマを本物に見せる技術。つぎのサイトのまんなかへん。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~suzuki-y/photo/phetc18.html
2001年宇宙の旅におけるパンフォーカス撮影が特に有名で、ジオラマが大宇宙空間に見える、大迫力映像が撮れたわけ。まあ、この部分はドラえもんから、というか、変ドラページ「なんだこりゃ」から得た知識なんだけど。
http://hendora.com/hendora/hendora08/hendora8.htm
まあともかく、本物の風景がジオラマに見えて大変面白い、ということで。