日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

映画バトン

id:a2004さんから。「アートや巨大建築」とのお題だったのですが、要望に答えられそうに無くてごめんなさい。あんまり映画見ないもので

◆所有している映画の本数&最後に買ったDVD
映画は10本くらい?映像の世紀のDVD-BOXとか、バミリオン・プレジャー・ナイト5枚組とか、東京スキャナー東京静脈とか、DVDそのものはそこそこ買ってるんですが…。最後に買ったのはこれ

砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

砂の器 デジタルリマスター版 [DVD]

先日のリマスター版のリバイバル上映を見て、やっぱりたいしたもんだ、と感心。全編これロードムービーなのですね。東北、山陰、伊勢、大阪…列車内、駅、バス、或いは夜の米原駅での乗り換え…今西刑事が旅する様子が必要以上に執拗に描かれる。そして、後半での和賀英良=本浦秀夫の旅。その風景がリマスター版でより綺麗になっていて、感心し、思わずamazonで予約してしまった。そして、先週、ようやく納品されたという。
しかしもともと、私、この作品そのものへの思い入れというよりも、学生の頃に、みんなで国立国語研究所の先生とか丹波哲郎とか加藤嘉の物まねで盛り上がった記憶のほうがウェイトが高くて。あと、笠智衆の無駄に長い手紙とか。前にも書いたけど、日本映画って結局役者の存在感だと思います。「生きる」の志村喬とか、「飢餓海峡」の三國連太郎とか、奇形的な存在感に支えられた映画が大好きなのです。物まねされて、してなんぼ。
この映画も、結局、「そんなすと、すらねえ!うあああああああ」にとどめさすわけです。

◆最近見た映画
実は今年、映画館で見た映画は「ベルヴィル・ランデブー感想12)」「オペラ座の怪人感想)」「砂の器感想)」のたった3本なのです。少ない…
ということで、一番最近、テレビで見た映画

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け [DVD]

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け [DVD]

油の乗った作品。「男はつらいよ」の文法を、作り手も観客も共有している。熟知している。けれども、マンネリでダレていない。そんな、幸せな時期の作品だと思います。生きの良い伝統芸能を見る気分。役者が見せ場見せ場できっちり仕事をしている。テンポが良い。見ているほうの顔が思わずほころんでくる、そんな幸せな映画。私はこの映画を、公開当時の映画館で見たかった。どんなに爆笑の渦に巻き込まれていたか想像に難くない。宇野重吉の味わいもまた良いのです。

◆最も思い入れのある作品を2つ

DVD無いのですね、フェリーニの『8 1/2』。高校生の頃テレビで見て、最初はなんだこれ、とぼんやり見てたんですが、徐々に引き込まれて最後には歓喜の涙を流していました。喜びの感動の涙ってのは珍しいです。マルチェロ・マストロヤンニが夢想するシーン、一つ一つの美しさよ。特にハーレムの狂乱が、楽しゅうてやがて哀しき…で忘れられない。そして歓喜の大団円。「人生は祭りだ」は、私の生涯の座右の銘です。

生きる [DVD]

生きる [DVD]

勿論、感動大作なわけですが、しかしこの映画、やはり志村喬の一世一代のキチガイ演技。これです。これに尽きる。以下、好きなシーン…と書き出していこうとしたんですけど、志村喬が出ているシーンはすべて名シーンなので書ききれません。特に、といえば、伊藤雄之助と場末の飲み屋で会話しているシーン、あと、小田切みきと喫茶店で会話するシーン。

◆建築スキー的な視点から2つ

ベルリン・天使の詩 [DVD]

ベルリン・天使の詩 [DVD]

うざったい女の一人語りは忘れてください。誰も聞いてません。ストーリーもどうでもいい。結末も知らない。これはねえ、ベルリン萌え、天使萌え、ピーター・フォーク萌え映画です。特に図書館のシーンが激萌え。悶えるほど。建物の撮り方を弁えている。バスに乗るシーン、ピーター・フォークの語り、あと、人間になった後のベルリンの壁を背に歩くシーン、 コーヒーの熱さに感動するシーン。以上。

家族 [DVD]

家族 [DVD]

なんと言っても圧巻の大阪の街、そして万博。迫る建物、迫る車、迫る人波、迫る太陽の塔、疲れきる倍賞千恵子笠智衆。都会と、それに畏怖する人をここまで印象的に描いた映画を私は他に知らない。それ以外にも、徳山のコンビナート、富士の製紙工場など、旅の途上で巨大な工場が印象的に登場する。ところが、東京の街は、くすんだ下町しか出てこないのですね。これが不思議。